荻窪風土記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 151
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101034089

作品紹介・あらすじ

満州事変、2・26事件、太平洋戦争…時世の大きなうねりの中に、荻窪の風土と市井の変遷を捉え、親交を結んだ土地っ子や隣人、文学青年〓れした知友たちの人生を軽妙な筆で描き出す。名匠が半生の思いをこめた自伝的長編。

感想・レビュー・書評

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  • <b>ご近所文豪の穏やかで優しい目線の随想録</b>

    地元民として、荻窪から見た近代史、郷土史としても大変興味深かった。
    著者の押しつけがましくない自然体の語り口も心地よい。

    関東大震災の避難生活(早稲田球場、中央線線路避難)、
    戦時下の徴用船の騒動などの若かりし頃の活動的なエピソードから、
    先輩格としての文士らとの交流・支援と続き、
    戦後、地元に回帰するも何やら死を想起させるエピソードが増えて、
    やがて、特段意識していないと言いながらも老境の身を穏やかな荻窪の地で想うところで終わっている。

    その他
    ・時系列の記述がやや奔放で不親切。回想の入れ子構造が多用。
    ・地理的描写も地元関係者でないと付いていくのが至難の技。
    ・意外と太宰との交流の記述は少ない。触れたくなかったのかもしれない。
    ・「荻窪」以外の記述も意外と多い。転居前は当然として、阿佐ヶ谷将棋会の比重が大きい。
    しかし、当時の文学窶れの人は、ダメ人間なのに特権階級意識が高そうで、面倒くさそうである。
    よくサークルクラッシャーしないものだが、著者のような存在が大きいのかもしれない。
    ・二二六事件は、著者は花火のような銃声を聞いているだけなのだが、以降伝聞→資料と進めていくところが無理なくさすがである。

  • 中学時代、大学時代、そして今。
    住み慣れた杉並区の、よく知る土地のいまとは異なる姿にも、
    昔の人々の生活の違いにも、興味深く読めた。
    土地勘の無い方でも、なんかのんびりした時代の雰囲気を楽しめるはず。

  • タイトルから荻窪周辺の話だけかと思いきや、学生時代に関東大震災にあったときの話(早稲田界隈)や、マレーへ従軍したときの話(海音寺潮五郎や小栗虫太郎が出てくる……!)なども入っていて、自伝に近いエッセイですね。
    たまに話の時代が前後したりして、そこが逆に思いつくまま自由に語ってる感じで、近所のおじさんの面白話みたいな。
    本当に色んな文士達が出てきて、井伏さんの交友関係の広さ、慕われっぷりが感じられて面白かった。(太宰治が可愛いんだ……)

  • この小説は著者自身が言ってますが、著者の住んでいる周りの事柄など周辺の起きた事を日記調にまとめたものです。それなので、当時の「荻窪」周辺の事が解ります。

  • 何よりも小山清のことに触れられているのが嬉しい。本当に井伏さんはたくさんの弟子に慕われた、面倒見のいい兄貴分だったんだろうなぁ。一度お目にかかりたかった。

  • 「胴村」という記述を久世光彦のエッセイ以下ではじめて目にした。クビになって胴ばかりの退役軍人が住む町のこと。

  • 東京暮らしを懐かしむため・・には時代が違いすぎだけどもやはり懐かしい。

  • 荻窪を知る人なら面白いかも。
    とりとめもない私的日記な感じで、私にはちょっとつらかった。

  • 最後の最後に七賢人会を作る井伏さんがキュート。

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著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『太宰治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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