あなたの右手は蜂蜜の香り (新潮文庫)

  • 新潮社 (2021年12月23日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101034812

作品紹介・あらすじ

私があなたを、檻から助け出す。どんなことをしてでも、必ず――。幼い私を守った銃弾が、あなたからお母さんを奪った。あの日から、あなたの声が聞こえる。「ここからだして、かえりたい」。人生のすべてを懸け、血のにじむ努力を重ね、ついにあなたのそばに辿り着いた雨子は、その唯一つの願いを叶えられるのか。真っ直ぐな想いに言葉にできない熱い涙がこみ上げる。少女(あたし)と子熊(あなた)の、愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「誰かを本気で救いたいなら、大切なものを捨てなきゃいけないよ。」

    自分のせいで子グマ(あなた)のお母さんが殺されてしまった罪悪感から本気で人生を懸けてあなたを救おうとするお話。
    そんなことまでしちゃうの!?ってぐらい普通の人間からしたらあり得ないことまでやってのける主人公にびっくりしますが、〝普通〟っていう誰が考えたかわからない基準で生きる大人たちが嫌いな雨子にとっては、自分のやってることが正しいと思ってるんだなあって思うと冷静に読めました
    本当にやることがぶっ飛んでますが、最後までサラッと読める作品です。 

  • 読み終わった時、なぜか絶望という言葉が浮かんだ。誰にとって正しくて、誰にとって正しくないのか。

  • 動物園にいる動物たちは、幸せなのか?檻の中に閉じ込めておくことは可愛そうと思うのは人間の単なるエゴではないのか…読みながら動物園の存在意義を思わず考えてしまった。本作の「あなた」は本当に檻から出たいのか疑問に感じながら読み進めていったが、結果的に山に帰ったということは、このあなたは外に出たかった。主人公の雨子とあなたが会話するシーンは、ずっと雨子の思い込みなのではと思いながら読んだ。
    あなたを連れ出して、仙台から北海道に移動するシーンはハラハラした。特に警察官に話しかけられるシーン…結果的にトナカイの角が救ってくれることになるなんて。

  • 自分がいつの間にかつまらない人間になってしまったのかもしれない。雨子にまったく共感できない自分に気づいた。僕はどちらかというと雨子のお母さんや猟銃会や警察などの大人たちの気持ちに近いのだろう。雨子がどうして?と聞くたびに、僕は何で分からないの?と思ってしまう。僕は雨子の純粋さに腹を立ててしまう。あなたを檻から助けて出したところでどうしようもないじゃないか。それで雨子は幸せだった?僕にはそうは思えない。だから、黒豹の目をした園長に雨子を救って欲しかったんだ。

  • 執念なのか呪いなのか。
    少女を突き動かす後悔の十四年。
    愛情の書き方がとてもよかった。

  • 自分のせいで母親を射殺された子熊のため、人生を捧げる主人公。
    子熊の母親を奪ってしまったと自分を責めすぎて、周りを振り回す。
    熊だけを見つめて、ほかの人の心が見えていない気がする。

    最後は熊を故郷に返すことができたけど、感動的ではなく目標は達成されたけど、その後がない・・・
    心に穴が開いただけなんじゃないかな

  • 動物と関わる、個性豊かな人たち。

    大好きな本

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著者プロフィール

1982年北海道生まれ。2014年に映画『1/11 じゅういちぶんのいち』で商業監督デビュー。脚本家として映画『きいろいゾウ』『町田くんの世界』『ノイズ』『線は、僕を描く』、ドラマ『ネメシス』『消しゴムをくれた女子を好きになった。』等に参加する他、小説も執筆。著作に『さよなら、ムッシュ』『あなたの右手は蜂蜜の香り』『ひとでちゃんに殺される』があり、『その殺人、本格ミステリに仕立てます。』が刊行予定。

「2022年 『この子は邪悪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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