マツ☆キヨ: 「ヘンな人」で生きる技術 (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 232
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101035277

作品紹介・あらすじ

茶の間で引っ張りだこの人気タレント・マツコと、学会の主流になぜかなれない無欲な生物学者キヨヒコ。互いをマイノリティ(少数派)と認め合うふたりが急接近。東日本大震災後に現れた差別や、誰をも思考停止にさせる過剰な情報化社会の居心地悪さなどを徹底的に話し合った。世の中の「常識」「ふつう」になじめないあなたに、「ヘンな」ふたりがヒントを授ける生き方指南。

感想・レビュー・書評

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  • LGBTQの本棚から
    第32回「マツ☆キヨ」

    今回紹介するのは、マツコ・デラックスさんと池田清彦さん(評論家)の対談本です。
    出版されたのが東日本大震災のあとということもあって地震や原発関連の話もありますが、様々なマイノリティのことや、色々な視点から見たマイノリティについて知ることができます。


    まずは「マイノリティでも他のマイノリティを差別する」ということ。
    これは痛いところをつかれたという感じで、僕も身に覚えがあります…。
    自分より下の人間をつくって安心しようとしたり、優位に立とうとしたりしてしまうこと、ありますよね。
    自分がセクマイとして色々な問題に直面したり辛かったりした経験があるはずなのに、それでもほかのセクマイを差別してしまう。
    自分を守るためにしているのかもしれないですが、悲しいことですね…。

    マツコさんは『どうせ差別しないと生きていけないんだ、と居直ってしまったら、自分がマイノリティであるがゆえに、マイノリティを攻撃して安心するという、回避行動的な本能がうんと強く出てしまいそうで。そうなるんじゃないかという恐怖とつねに闘っているし、いつも意識している。』と語っています。


    次は「少子化問題の間違った観点」
    セクマイ(特にゲイやレズビアン)の多くがセクマイに対して否定的な人に言われるのが「同性愛は生産性がない」という言葉。そう言う人たちはだいたいこの言葉と一緒に少子化問題について語ります。
    でも、少子化問題を解決するには同性愛者を非難するのではなくてもっと他に大切なことがあるはずなんですよ。
    マツコさんは『現状として、たとえばシングルマザーでもどうやって子どもを育てていくかとか、離婚した女性が仕事をしながらどうやって子どもを育てていくかということが、もっと切実な問題でしょ』と言っています。

    僕は「生産性」を問われるたびに、「生産性って何?」と思います。
    異性愛者はみんな生産性を考えて恋愛とか結婚をしているんですか?
    「子どもを作るために恋愛するぞ!」って思っているんでしょうか?

    もし「生産性」という言葉をセクマイに投げかけたことがある人がいるなら、一度考えてみてほしいです。


    次は「生きづらさの原因」
    池田さんは『人が生きづらいと思うのは、自分が本来こうしたいということと、世間が自分にどんな役割と与えてくるかということの齟齬が大きいときなんだよね。』と語ります。
    セクマイが悩む原因をいろいろ見ていると「社会的に普通なこと」に合わせようとする自分と、ありのままで行きたい自分との差が苦しみになっているということがあると思います。
    「異性愛が普通。同性愛は異常」「男性・女性らしく生きなければ」と小さいころから言われたり感じたりするのが残念ながらこの国の悲しい現実です。
    長年生きてきた中で凝り固まった価値観を壊すことができたら、生きやすくなると思います。
    それには勇気が必要だけど、ギリギリで生きている人や自殺まで考えている人は、1度だけ勇気をだしてみたら新しい世界が開けるかも?
    そんな勇気をくれる本でもあります。



    最後はセクマイとはあまり関係がないのですが
    「全会一致の怖さ」がかなり心に残りました。
    議会なんかで「全会一致で決定」って聞きませんか?
    それって、誰も反対者がいないってことなんですよ…。
    よく考えたらそれってとても怖いことじゃないですか?
    全員が真剣に考えた結果の一致ならいいですけど、なんとなくそれっぽい意見に流されてよく考えず「それでいいよ」という結果が全会一致だとしたら…?

    日本人の気質として空気を読む、同調志向というのがありますが、これが暴走すると第二次世界大戦中の日本みたいになっちゃうんですね。

    でもこれを逆手にとって「セクマイは異常じゃない」という意見を浸透させられれば、現状は大きく変えられるのかもしれません。


    何か所かかいつまんで紹介しましたが、この本は「自分で考えること」の大切さを教えてくれる本だなと感じました。
    セクマイ関係の本としても、生き方や考え方を広げるための本としてもオススメです!

    セクマイについての本は漫画が圧倒的なのですが、お堅い学校には入れられないこともあると思います。
    今回紹介した「マツ☆キヨ」は対談本で中身はすべて活字なのでそういったところでも入れやすいのではないでしょうか!
    また、対談形式は説明形式の本や小説が苦手な人にも読みやすいかと思います。
    ぜひ図書館にいれてみてください!


    2017年12月18日

  • マイノリティなマツコ・デラックスさんとこれまたマイノリティな池田清彦先生のマイノリティな会話がとても面白かったですし、ためにもなる本でした!
    ぜひ読んでみてください!★×10ぐらいにしたいぐらいです。

  • 大変面白かった。
    最近、読書に集中できなくて困っていたのだけど、内容が面白い上に読みやすくて、久々に没頭できた。

    私は賢い人が好き。
    自分では到底考えつかないことを教えてくれるから。
    だから読書が好きだし、聞くことが好き。
    賢い人は自分の生きやすい生き方を知っているから、私もそうありたい。
    たとえ賢い人にはなれなくても、自分の生きやすい方法くらいは自分で見つけたいものだと思う。

    p82「やり取りをすることによって自分や相手が変わることが本来のコミュニケーション」
    という言葉は、心に留めておきたい。
    変わりたくない、ということは土台自信過剰が招いた本末転倒な希望に過ぎないのだろう。
    生きるということは、変わり続けることと同義に違いない。

  • 面白いっちゃ面白いんだけど、まあそれ程ぶっ飛んで無いというかある意味想定内と言えば想定内な感じかなあ…。ちょっと「マイノリティ」にトピックがとらわれ過ぎちゃってるように感じる部分が所々あったかな。

  • テレビを見て好きになったお二人の対談本をようやく読みました!
    お二人の考えが率直に伝わってきてとても面白く読みやすいです。気軽に読める本だと思います。
    でも、話している内容は深い。

  • マツコさんと池田先生の対談本。自由人である結果アウトサイダーな人なんだということがわかる。アウトサイドを自覚して気にしない。結果、肩がこらない生き方ができているのかなと思った。そういう人の感覚を知るのに丁度いい。

  • 考えることや知ることを疎かにしないようにしなきゃなー。
    考えて生きないとつまらないよね。
    考えなくて済む世の中になっている。

    臭いもの、はある程度は必要。

  • 対談形式なので読みやすいです。
    原発やマイノリティに関する話題が多く、興味深い話が多かったです。二人の言葉は、とてもすんなり私の中に入ってきました。
    読んでいてふと、相手を“理解する”ことより、“思いやる”ことが大事なのかな、と思いました。
    好きなことは、仕事にしない方がいいってゆうのも、納得。

  • 読書録「マツ☆キヨ」4

    著者 マツコ・デラックス、池田清彦
    出版 新潮文庫

    p26より引用
    “マツコ 豊洲のあの場所からいくら汚染物
    質が出ようが、もう、いつでもそこに市場を
    もってこられるようにしてあるんだもの。
    市場もないのに、ゆりかもめの駅はすでに
    「市場前」という名前なのよ。”

    目次から抜粋引用
    “震災で見えた差別のしくみ
     「情報化社会」の少数派として
     誰がマイナーで、誰がメジャー?
     マイノリティの生きる道”

     コラムニストと生物学者による、世間の出
    来事や風潮についての対談集。
     東北の震災後の様子についてから少数派の
    生き方についてまで、独特な二人が率直な
    意見を交わし合っています。

     上記の引用は、いま騒ぎになっている市場
    の移転についての一節。
    単行本は平成二十三年の発行とのことですが、
    汚染物質が出るであろうことは分かっていた
    様子が伺えます。結果を先に積み上げて、後
    戻りしにくいように事を進めるのは、もうや
    めてもいいんじゃないでしょうか。
    先の会見で、色々言っておられましたが、ど
    の様な言葉ももう説得力を発揮させるのは、
    難しいのではないかと思われます。
     TVでもよく見かけるお二人の、楽しそうな
    様子がうかがえて、気持ちが軽くなる一冊で
    す。

    ーーーーー

  • すごいおもしろかった!マツコさんも池田先生も、ホンマでっかで見てておもしろいなあと思ってたので対談形式で2人の会話が読めて楽しかった!それと2人の考え方はとてもためになるというか、読んでて頭の回転が早いんだろうなあと思いました。我慢してまで貯金せずに、今すきなことをやるべき、とか普通じゃないことを嘆かなくても良いとか、全体的にゆるゆるした考えには同意しかなかった…。日本の社会についてだったりテレビ業界だったり集団心理だったりについてそれぞれの考えを話してて、興味深くて楽しい本でした!

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著者プロフィール

1947年生。生物学者。早稲田大学国際教養学部教授。構造主義生物学の立場から科学論、社会評論等の執筆も行う。カミキリムシの収集家としても知られる。『ほんとうの環境白書』『不思議な生き物』『オスは生きてるムダなのか』『生物にとって時間とは何か』『初歩から学ぶ生物学』『やがて消えゆく我が身なら』など著書多数。

「2018年 『いい加減くらいが丁度いい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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