この世はウソでできている (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101035291

作品紹介・あらすじ

ウソは巨大で組織的なほど見破ることが難しい。地球温暖化からがん検診、果てはレバ刺し禁止まで。「民主主義」というお題目の下、過剰な法規制を敷くことで利益誘導を狙う国家のやり口や、怪しい「科学」を世界の常識にすりかえ、金儲けを企む巨大利権の巧妙な手段を、人気生物学者が次々喝破! 利便や健康の語に踊り、自己家畜化の道を進む現代人に覚醒を促す挑発の社会時評。

感想・レビュー・書評

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  • 生物学者の著者の社会的批評コラムです。

    内容によって納得できるところと、偏りがあるかな?(同調できない)ってところがありましたが、ネットニュースに載っている情報でしか時事を知らない私にとっては、新たな考え方の発見でもありました。

    まあ、なんでもニュースを鵜呑みにするなよって事です。ニュースに載っている事はウソではないけれども、印象操作されてるかも。。っていうように思うようになりそうです。

  • 何が本当で何がウソなのか?著者も信じていいのか?
    自分のことは自分で守れということだ。
    しかし、国の増え続ける法律と税金に結局はコントロールされている私なんだなぁ‥と本書で改めて認識し落胆させられた。

  • 内容は他の本とダブルところもあったが面白いと思う。
    「CO2の排出を減らさなければ、地球は温暖化される」
    などをまだ信じている人がいるのでしょう。
     以下は【血圧】についての私の経験です。
    約10年ほど前”血圧が高いので薬を飲む必要がある”と
    医者に言われ数カ月、服用していた。こんどは”尿酸値が高いので薬を飲んで下さい”と言われた。
    ちょっと待てヨ・・降圧剤の副作用に「尿酸値が上がる」とあるじゃないか。しばらく降圧剤の服用を【勝手に】止めた。毎日、血圧計で測定しても異常はないし、だいいち、身体自体が何ともない。尿酸値も正常に戻った。
    現在、それから7年たったけど何ともないし血圧も正常。
     危うく、一生、医者と製薬会社の良いお客さんになるところでした。根本的に血圧を下げる薬を作って欲しいが出来ないだろう!
     
    科学と儲けの関係が少しだけ分かった気がした。

  • 生物学者による社会批評コラム、たぶん週刊誌に連載されていたものを柱にしているのだと思う。歯に衣着せぬ直言が痛快だが、断定口調はときに眉唾でもあり。でも、いまの世の中には過剰な法規制による利益誘導やまったく科学的ではない通説がはびこり、わたしたちが「自己家畜化」しているという指摘は真実だろうと思う。

  • 地球温暖化、がん検診、原発問題、高血圧はメタボ健診などなど、議論になるようなトピックには共通性がある。どれも、過剰な法規制のもと、莫大な利権が発生するということ。国家、官僚、企業は怪しい「科学」を世界の常識にすり替えて利益を得ることに長けている。難しいのは学者もしばしばその一端をになっているので、一般人が科学の正否を判定することが極めて難しいということ。少なくともなにかが起きているときに、そのおかげで利益を得るものは誰なのかをちょっと想像してみるくらいはした方がいいだろう。

    生物学者である池田清彦氏は、科学者の立場から遠慮なくその欺瞞を暴いていく。爽快だけれども、大丈夫かな、圧力かかったりしないかな、と心配にもなったりする。

  • hk

  • 世の中のウソを指摘するだけでなく、現代の人間が人工環境の中で事故家畜化しており、風説に振り回されることなく、自立しより善く生きることを説くことにはなるほどと同感。二酸化炭素排出が温暖化につながるので高品質の設備を導入することの非を述べるが、過去を振り返って、国レベルで規制したからこそ、光化学スモッグで眼がチカチカしたり、スモッグによる喘息が減ったことも確かである。2020.12.22

  • 自己家畜化という現象という言葉が僕のもやもやをはらしてくれた。

    みんなモルモットみたいだ。

  • 著者による世の中でまかり通っている「ウソ」については、他の著作で触れられているものもあり、驚くようなものはなかったように思う。それよりも、一旦市民権を獲得した言説は、それを支えるシステムが出来上がるため、容易に変更ができない、という指摘が我が意を得たりだった。

  •  情報が溢れている現代において、ある言説が正しいとされると、それに従って様々な制度が作られると同時に、物的資源や人的資源を確保し、法的な整備がなされることも多い。そして、その制度に依存して生活する人が増えていけば、その制度の基礎となった言説の正当性を問うことは、現行のシステムをひっくり返すことになるわけで、システムを維持・運用する利権が大きいほど反対意見は無視されていくのである。
    特に、健康、安全、環境がらみのウソに人々は騙されやすい。それは、人間が強く「死にたくない」という願望を持っている動物だからである。何かが健康や環境に良いという話が出来上がると、それに対しては誰も逆らえない状況が生まれる。そして、そのような健康や環境を旗印にすれば、政治家や官僚は国民をコントロールでき、そこに利権が生ずるのである。
    すなわち、父権的なお節介が多数者に支持されるとき、少数者の自由が抑圧されるといえ、そうしたお節介は、科学的心理めかした言説を脅し文句とし、少数者の権利を侵害するのみならず、業者の利権の温床にもつながっているのである。

     世の中の組織的な意思決定の仕組みや利権の発生方法について、具体的な事例を挙げながら述べている書であり、多くのことを学べた。これから社会人として働き、公権力を担うことになる自分にとって、肝に銘じておきたい内容がいくつかあったため、記しておく。
    1 大災害などのパニック時に行政が主導すると、物事が滞ってうまくいかない。
    クレームをつけられるのを恐れ、公平にしようとするあまり、身のない支援になる嫌いがある。クレームが出ないように平等にやろうとする行政官は、自分たちの保身のためにコンプライアンス(法令順守)を第一に考えている人である。非常時にどこからもクレームが出ないように支援をするのはどだい無理な話で、状況に応じて臨機応変に行うべきである。
    2 法律は増えるほど無駄も負担を増える。
    何か起こると「法整備するべきだ」という人がいるが、法律を作れば作るほど、税金や借金など国民の負担が増えていくということを理解しておくべきである。前提として、法律・制限は少なければ少ないほど良いに決まっているのである。
    3 近代化に伴いクレーマーが増えるのは必然である。
    歴史的には、多くの人が自給自足で生活していたものの、現代に生きる我々は、水も食料もエネルギーも金を払うことによって、他者から供給してもらうというシステムの中で生きている。したがって、近代化により、他人に任せっきりで自活能力のなくなった現代人は、文句をつける以外の解決方法を思いつかないのである。

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著者プロフィール

池田 清彦(いけだ・きよひこ):1947年東京生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。早稲田大学、山梨大学名誉教授。専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野で100冊以上の著書を持ち(『構造主義科学論の冒険』 講談社学術文庫ほか)、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」等、各メディアでも活躍。

「2024年 『老後は上機嫌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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