- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101035307
作品紹介・あらすじ
栽培生物ならいいが野生動植物を食べるのは良くない、という倒錯。100年後の予測ばかり報道して科学的事実を報道しないマスコミ。健康診断の基準値変更で一気に増えた患者。がんの検診、手術、抗がん剤治療の強要――。政治的強者や利権で儲ける輩が言い続ける定説を、そのまま信じていいですか。人気生物学者が、不都合な事実の数々を示して鮮やかに切り込む、痛快サイエンス時評。
感想・レビュー・書評
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この本に書かれる主張が受け容れ易いか否かは置いておくが、少なくとも、考えさせられるテーマやキーワードが豊富である事が特徴的だ。著者は、ホンマでっかTVでよく知られる池田先生。流石に博識。テーマに沿った考察に用いる引き出しの中身は多い。しかし、本著は所謂評論なのであって、いち考え方でしかない。だからこそ、いや、私ならこう考えるが、とひとりでに思考が進み、同意したり反証しようとしたり。それがまた楽しい所作にもなるが。
例えば、アモク・シンドローム。自尊心を傷つけられた人間が自己破滅的になり、自分は死んでも構わぬが周りも道連れだと、大量虐殺に及ぶ。男にしかいないらしい。しかし、これって誰しも実行はせぬが想像はした事のある衝動では。当然、理性で制御し、破壊衝動は妄想で終わる。だからこのような事件を起こす人は、理性を抑えらなかったという意味で、ある種の病人として決めつけもできよう。だが、理性が外れるきっかけを査定するのは難しい。似たような話を挙げれば、男の人が、あの子を自由にできたらどんなに良いだろう、と異性に感じる欲求。実行への移し方が強引になればなるほど、犯罪性が高まる。犯罪性が高まるから、理性で抑制する。理性と抑制のバランスは、実は、打算によって規定される。例えば、密室で2人なら、誘惑されたからOK、大人しそうだから、など。人殺しも、自分が死ぬなら罰を受ける肉体は最早ないわけだから、この際、何人殺しても大丈夫だろうと。この手の発想は、巧妙に理性のタガを外しながら、理性で計算しているのだ。治安を維持するには、自己を保存する価値を見失わせない事こそが重要だ。
本の後半は、ガン治療論についてだ。こちらも考えさせられる。しかし一冊終えて最も感じ入ったのは、趣味に生きることについて。世界を跨いで虫捕りをする、というのはアウトドアに狩猟や宝探しの目的、海外旅行の楽しさなんかも兼ね備えて楽しそうだなあと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本も、ホンマでっかというスタンスで楽しむのがよい。
結構的を射ている気もするが。 -
肺がんのくだりが秀逸でした
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天邪鬼な考えが面白い。
大麻がGHQの指図で違法になったのを初めて知った。
大元のアメリカは合法化される州が増えてるのも皮肉。 -
世間の常識に意見する書。癌の話は納得いくところがあるが、二酸化炭素は減らした方がいいと思う。2017.7.22
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個人的見解ばかりで内容がない
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小保方さんの話は驚きです
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日本人の悪しき特徴として,決定事項は決して覆さず唯々諾々と遂行する,とあるが,そもそもその前段階として,自分で決定したくない,自分で考えたくない,自分の頭を使わ(え)ない,という反知性主義的挙動が島国村社会文化から醸成されてしまい,それが民族としてのマジョリティになっているのではあるまいか.日本人文化とは別の文明世界を体験している人は,その環境を客観視する視点を持つことができるはず.虫大好きな人たちに,この視点があるのは,虫という別な文明を小さいときから見ているからに他なるまい.
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前半はさすがの博覧強記に基づく主張たちで、読みながら納得して、”あ、これやっとかんと”みたいな場面もしばしば。ただ、後半の近藤擁護論に基づく展開みたいになって以降、ちょっと”う~ん”って思えてしまいました。なんで、トータルで星4つ(前半5、後半3)。ガンもどきは確かに存在するんですけどね。
著者プロフィール
池田清彦の作品





