ボダ子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.10
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101035819

作品紹介・あらすじ

35歳で起業し、年商十億円を超える会社の社長となった大西浩平。だが、事業の成功の裏にあった家族を顧みない生活は、娘の境界性人格障害(ボーダー)の発症へとつながる。自傷行為を繰り返す娘につきっきりの生活により、事業は破綻。そして浩平は、東日本大震災の復興事業に起死回生をかけて、娘と元妻とともに被災地へと向かうが――。山本周五郎賞候補となった、実体験に基づく衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 家族を省みることなく仕事にのめり込んだ末に、娘を境界性人格障害発症まで追い詰めた男の、起死回生をかけた物語。精神障害や東日本大震災の話が出てきて興味深かったが、読んでいる間は気持ちが暗くなる一方だった。ハードボイルドという区分が合うのかどうか分からないが、大藪春彦賞を獲っている作家なので、そんな感じで読めば面白い…かも?たまに読んでみたくなる内容。

  • 赤松利市『ボダ子』新潮文庫。

    著者の実体験に基づく衝撃の小説。親の身勝手さが娘の人生を狂わし、上手くいっていた家族の生活をも破綻させる。

    何が正しくて、何が悪なのか。人間はあさましいまでに金のあるところに群がり、男性は女性に溺れ、酒に逃げるのだ。そのうちに善と悪を区別する感覚も麻痺し、地獄のような泥沼にハマっていく。

    面白かった。

    35歳で起業し、年収2,000万円を稼いだ大西浩平は全く家族を顧みない仕事一辺倒の生活で離婚と結婚を繰り返す。四度目の妻と暮らす中、三度目の元妻から娘が境界性人格障害で入院したことを告げられる。軌道に乗っていた大西の事業は、自傷行為を繰り返す娘に付き切りの生活を選択したことで破綻する。

    東日本大震災の復興事業に起死回生を賭けた大西は、娘と元妻とともに被災地へと向かうが……

    本作に描かれた主人公の大西と家族の関係はよく解る。自分も月に100時間とか200時間とか残業していた時期がある。家庭など顧みる余裕など無く、月収は増えるものの、家族と会話する時間もなく、やがて家族とは距離を感じるようになる。そうなると会社から家に帰るのも億劫になってくる。そんな時期は出張が嬉しかった。また、金が入れば、飲みに行ったり、様々な女性と親密になったりと、仕事が忙しいのにどうしてそんな時間があったのか今思うと不思議だ。

    本体価格710円
    ★★★★★

  • 生きていくにはお金がないと。美しいことや正しいことを背筋を正して言うより、ものをいうのはお金。人々の手垢にまみれても煌めきを失わないのはお金。浩平が世知辛い社会でお金を稼ぐのに必死であったのは、「ボダ子」という境界性人格障害の美しい我が子によって、この世につなぎとめられていたからだろう。ネグレクトしているように周りから見られても、意識の片隅にはこの、本当に護るべき存在があったことだろう。東日本大震災の復興の影にあるものや、性癖などの描写が強烈。読んでいてなんともやるせなかった。堕ちても安易に犯罪に走ったり命を絶とうとは考えない主人公。繰り返し言う「何とかなる」「何とかせな」という言葉がずっとリフレインして残った。

  • 実体験にもとづく衝撃作とあったので主人公は著者近影のイメージで読みました。全体的に自分が今まで全く見てなかった視点や考え方で物事が進んでいってハッとなることが多かったです。「何とかなる、何とかなる」が「何とかせな、何とかせな…」に変わるのはゾッとしました。

  • 小学校の頃から無類の世話好きで、中学になってからは事象を繰り返す娘。境界性障害と診断され、目を離すと血まみれになっているため、学校にもまともに行けなかった。その原因は、家庭を顧みない育児放棄状態の父と、気に入らないことがあるとネチネチと一晩中説教をする虐待気質の母親にあった。それでも父大西はゴルフ場経営で多額の利益を上げていたのだが、それもある日終わる…。

    「事実に基づいた」と書かれているが、要は父親の半生の手記である。これがまた、出てくる人物すべてがろくな人間ではなく、家族3人を含めてダメ人間でクズで悪党。したがって救いのない話だ。

    ゴルフ場経営のノウハウで一山当て、その金で飲み屋の女を囲うも、バブルの崩壊ですべてが崩れる。そこからなんとかやりくりするも、今度は東日本大震災と、落ちていく大西の会社。思ったようにならない人生に、思うにようならない家族と、中盤では読んでいくのが辛くなる。

    そう、タイトルこそ『ボダ子』であるが、9割型は大西と大西の会社の話であり、娘は出てくるたびに何らかの大きな問題を起こしている。大西としても、ボダ子がいるからこそ、形式的な家族を演じられていたのだろうが、それも金という裏付けがあったからであった、という救いもなにもない話。

    全体に文章は荒いし、伏線も何もなしに事件が起こるので、ドキュメンタリー独特の危なっかしい綱わたりと、闇討ちをされるような下っ腹に来る事件が描かれていく。一部の人物については、かなり事実とは異なる脚色もあるのだろうが、会社での逆パワハラなどのリアリティはすごい。これが全部創作だったら、作者の力量はとてつもない。

    一方で、バブルがその頃だと時代合うっけ?とか、阪神大震災のあたりはすっぽり抜けてるけど、会社は神戸では?などの疑問点があることは否めない。その部分は記憶が抜けているのだろう。

    全体にとても嫌な雰囲気で、ヒリヒリというよりもズキズキと痛い話が続き、読了後も救いの無さでトラウマになりそうな話であるが、特にミステリ系の創作をする人には参考になる部分も多いだろう。嫌というほど印象には残る一冊だ。

  • 「62歳、住所不定、無職」の大型新人、赤松利市氏。新潮文庫2月の新刊です。
    出てくる人物は全てクズ。特にボダ子(境界性人格障害 borderline personality disorder)の父親である主人公が下衆の極み。復興バブルをあてにして石巻で土木事業に関わりますが嘘とごまかしで失敗して、ひたすら転落していく様子が痛々しい。境界性人格障害の娘に最後まで向き合えず全てを失った果てに路上生活。最低な読後感です。私小説の体で書かれていますが、フィクションであることを願いたいです。他の作品が気になります。

  • ある男とその精神障害を持った娘の話。男がとにかく身勝手で最低。人間の業を赤裸々に描くといえば聞こえはいいが、この男にはそのような深みも感じられなかった。私小説というが、何を書きたかったのか理解出来なかった。

  • もう読みたくない。。 ハイリスクハイリターン

  • この時期に読むと更に色々考えさせられる。

    ボダ子が幸せだと良いなと願うばかり。

  • ぐぇぇぇぇぇしんどいものを読んだ。しかし一気に読ませる筆力がすごい。そうだろうね、実話なんだろうなと思う。家族を顧みず仕事に没頭する姿、怖いけどあるあるだとも感じてしまう。いや無いか…いやすごい本。「人に薦めたいけど薦めたくない」という紹介文も見かけたが、納得。ぐぅぅぅいろいろつらい。

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著者プロフィール

赤松利市
一九五六年、香川県生まれ。二〇一八年、「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。二〇年、『犬』で第二十二回大藪春彦賞を受賞。他の著書に『鯖』『らんちう』『ボダ子』『饗宴』『エレジー』『東京棄民』など、エッセイに『下級国民A』がある。

「2023年 『アウターライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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