色彩の息子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1577
レビュー : 125
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036137

作品紹介・あらすじ

しっとりとぼくの体にまとわりつく真っ赤な声の染み(赤)。夜明けの孤独を泳ぐようにかきわける青白い顔の女(青)。病んで忌まわしい白い心の病室に、鍵をかけ封印してきた女(白)。心の奥底に刻印されてしまった劣等感という名の黒子(黒)-。妄想、孤独、虚栄、倒錯、愛憎、嫉妬、再生…。金赤青紫白緑橙黄灰茶黒銀に偏光しながら、心のカンヴァスを妖しく彩る12色の短編タペストリー。

感想・レビュー・書評

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  • 明るいところに人は集まる。光と影なら光。ポジティブで笑顔で幸せな色は他人を惹き付ける。本当にそうだろうか。貴方は自分の幸福の色を知っていますか。その幸せは、他人の不幸に慰められ感じているものではないの。私じゃなくて良かった、私より幸せじゃなくて良かった。心のパレットを真っ黒に塗り潰してしまえば、そこから貴方は何色を作り出せるの。大丈夫、ちゃんと自分で変えることが出来るのだから。いつの間にか心は青く澄んでいた。貴方はまだまだ泳いでいける。金槌な私は緑を感じ歩けばいいの。それでも進めないのなら歌う。
    音に言葉に感情が揺さぶられるまま透明な滴がすべて流れ乾く頃には、鼻を赤く染めて笑う、何よりも美しく白い貴方がいるかもしれません。

  • 山田詠美の短編集。心の奥深いところをナイフで切りつけて、さらに奥をえぐってくるような小説で、最初は一話目を読んだだけで本棚にしまってしまったけれど、改めてチャレンジ。相変わらずの甘ったるい暴力性と、親しみやすさのある詩的な文体にうんざりしながらもぐいぐい引っ張られて、結局最後まで一息に読んでしまった。物語にそぐわないパステルカラーの色紙が意地悪。嫌な小説だと思った。「蜘蛛の指輪」は好き。

  • 短編集なのも手伝って、読みやすかった。
    各章にそれを象徴する色のページが綴じこまれていて、不思議な小説だった。
    一番怖いなと思ったのは黒子の章。不幸の種を蒔いているのは自分なのかもしれない。
    でも、自分では気付いていないから、自分でもどうしたらいいか分からなくて、
    黒子をとってしまったりするのだろう。それが原因だと思てしまっていて、
    他にどうしていいかわからない。
    だけどどうやったら彼女は、自分で不幸を招き寄せることをやめられるのだろうか?
    黒子が彼女のコンプレックスで、嫌なものであることには違いない。
    傍からどう見えようとも、彼女は苦しんでいる。
    苦しんでいるのは彼女。

    他人事ではないな、と思った。

  • 話の流れや構成は陳腐なのに、言葉の選び方がとんでもなく簡潔で的確で舌を巻いてしまいます。
    非常にクレバーなお方だなぁ、この話は好きじゃないけど素直に凄い。

    ・・・・・・と思ったのも最初の4話まで。
    「病室の皮」からはそれすら無くなってしまいました。
    順番に並んだアルファベットとか等差数列とか、そういう普遍で分かりきったものをつらつらと並べられている感じがして非常に退屈でした。読んでいて楽しくないのです。ハッピーエンドじゃないからとか、事件が起こらないからとか、話が暗いからとかでは全然なくて、私はむしろそういう話が好きなのですがしかし、小手先で小説書いてる感じを強く受けてしまったのが原因なのでしょう。
    作者が器用すぎる。それが逆に私を冷めさせてしまいました。


    09.08.04

  • 露骨なエロシーンが無いのにとてもエロく感じる山田詠美さんの短編集「色彩の息子」の中の一編「ヴァセリンの記憶」先輩の指が黄色い容器からとろりとしたヴァセリンの塊をすくった。
    計算高い女子と流されていく僕。
    先輩に近づくことによって本来の自分を認識していく。
    巧みな暗喩。たまらない

  • 表現がとても女性的だった。そこまで細かく書くと逆にひく。

  • 山田詠美の描く若者は瑞々しい。そして人の後ろ暗い部分もそのまま描き出してくれる。誰もがどこかの話に自分を重ねてしまいそうな、そんな短編集。

  • 面白かった。そう、恋愛ってこう濃度の濃いものだな。ただちょっとエロすぎて電車で読むには恥ずかしい文庫だった笑
    唸るほど文がうまい。なんとも秀逸な言葉選びをするな。
    ヴァセリンの記憶はロマンチックだったけど高貴なしみの方がホモ度は高いように思いました( ˘ω˘ )

  • 読み終わってから数日間は山田詠美の、もとい息子たちの毒にやられてフラフラ。

  • タイトルからわりとポップな作品を想像していたけれど、裏表紙の作品紹介からそんなにポップではなさそうだ…と思いながら読んだ、12色の色にまつわる短編集。
    結果的に、ポップどころか!という。
    むしろ重い。重くて…暗いとは違うけれど、読み終えて胸にずっしり来る作品が多かった。

    人間が持つ果てしない孤独感、誰かに対する悪意、虚栄心etc.
    それら人が持つ負の感情を、さらりとではなく真正面からがつんと描いている作品が並ぶ。最初からそれがテーマだと分かるような、ストレートなものばかり。
    12色の色の描き方は独特で、目に見えないものを色に喩えているパターンもある。その発想に舌を巻いた。

    人に対する負の感情は往々にして身を助けないな、と改めて思った。
    人を呪わば穴二つ、とはよく言ったものだけど、誰かを憎んだり嫉妬したりしたのが、回り回って結果的に自分を貶めるということはよくある話。
    その“よくある話”をよくあるような感じではなくとても独特に、時には胸糞悪く描いている作品群。けして読後感はよくないのに、読んでいて嫌だとは感じなかった。不思議な感覚。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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