ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12912
レビュー : 1819
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036168

感想・レビュー・書評

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  • 勉強はできないのに本を読んでいるからと言って饒舌に哲学めいたことを語りたがる、勉強はできないが女性にはもてると自負している主人公がたとえ冗談でも気持ち悪い。
    思春期ってこういうもんでしょ?青春ってこういうもんでしょ?こういう名言が学生とか若者には響くんでしょ?とすべてウケを狙っているような語り方というか、言葉なんてこれっぽっちも期待していなかったしいらなかった。

  • 自分はそう特別じゃないけど特別だ、と思えたら、思春期の苦しさとも折り合いをつけられたのかも知れない、と読み終えて思った。
    そんなことが可能かどうかはわからないけど。
    「時差ぼけ回復」の一編は、それだけで一冊にしたいくらい際立っている。

  • 中学生の頃から「読んでみたいなぁ」と気になっていて、23歳の夏にやっと読んだ。
    読んでみたら「あぁ、中高生の時に読まなくてよかった」と思った。

    なんたって、学生時代の私は脇山くんみたいないわゆる優等生タイプだった。でも、本当はみんなみたいにテスト前でも遊んじゃったり、彼氏を作ったりしたかった。
    甘い誘惑に惑わされないよう、一所懸命に優等生をしていた。
    そんな私が秀美くんみたいな男の子に会ったら(例え出会った場所が本の中だとしても)、この真面目人生を狂わされていたと思う。
    それくらい、主人公の秀美くんは魅力的だ。
    高校生から見たら周りよりも大人びていて、余裕があって、達観している。でも年上の恋人・桃子さんに翻弄されるし不器用な恋しかできない。
    等身大で背伸びをしている秀美くんは、私が憧れていた学生そのものだから、社会人となった今読んでいると少し切なくなる。だけど楽しかった!

    学生時代に遊んでいた人より、真面目に勉強してきた人の方が、この物語は心に刺さると思う。

  • いつもはミステリーばかり読んでいますが、SNSで本書をお勧めされたので読んでみました。

    全部読んだ後の作者のあとがきが面白い。

    自分が小学生の頃に名札をよく付け忘れていて、学年主任の先生にそれをきつく咎められた事を思い出した。学年主任の先生も名札を付けていないのに、どうしてこんなに怒られるんだと思ったっけな。

    理科の先生に「小さい車と、大きい車がぶつかったらどちらがよりひどく壊れるでしょうか」という質問を当てられて「小さい車です」と答えたら、「壁にぶつかった場合の話をしているんだ」と後出しで言われて どうしてこんな簡単な問題も分からないんだ と小馬鹿にされことも思い出した。

    週一で昼休みにクラスメイト全員が一緒に遊べる遊びを考える「遊び係」にみんななりたくない状況を見て「みんなやりたくない係なら、なくしてもいいと思います。」と言って滅茶苦茶担任に怒られた時もあった。

    大人ってどうしてこんなことで怒るんだろうって不思議に思っていたあの頃が蘇る苦い青春小説でした。

    その後自分は矯正してしまって、たまに自分で自分を本当につまらない人間だなと思うことが多々ある。
    だから、かなり今更ながら読書を始めたっていうのもあるんだけど。

    後悔までとはいかないけれど、大人になってからオリジナルであることがありありと分かる人に出会うと「素敵だなあ」と悔しくなることがあります。あー、苦い。

  • 「でも女にもてないだろ」

    勉強はできないがそんなことは気にしない、それより女にもてるかを大事な価値基準とするぼくの話。

    この物語に込められたメッセージは、絶対的な正しさというものは無いにも関らず、社会は無思考的にある種の正しさを定義し受け入れているということではないかと感じた。

    言葉を持たないものは、感じることも語ることも出来ない。この作品を読んで感じた気持ちを私は言葉にすることが出来ない。それは実は今回に限ったことではない。高校の部活の休憩中に体育館の窓からグランドを見下ろしている瞬間、定期試験の始まる前の緊張と期待の入り交じる瞬間、駅まで見送った彼女の後ろ姿を眺めている瞬間、その瞬間瞬間の気持ちを私は表す術を持たない。その私たちが表しきれない瞬間を代弁し表現するのが小説であるようにも思える。

    一方でこの作品の「僕」は、私とはかけ離れている。子供でありながらあまりに大人であるように思える。常に一歩さめた目で大人や同級生を眺める。権威や多数の前にひれ伏さず、自分の価値尺度だけで物事を判断する。それは、無思考的に優等生的な生き方をしてきた自分とはあまりに違う生き方が描かれている。

    そんな僕が、モテるかどうかという自分の価値尺度に疑いを持ち、また恋や進路、生と死に悩む中で、最終的には勉強ができるようになるため大学進学を決める。

    この作品が、寝る前に少しだけ読もうとこれを手にとった私をして夜中3時に感想を書くまでに至らせた理由は何であろうか。
    第一は、先生等の権威や同級生等の多数のいう正しさに服従せず、自分の価値尺度を持って意見を持ち行動する主人公に、一種の憧れや期待を抱いたからであろう。
    第二に、この本に描かれる、愛、生と死、さらには人間や人生に関する深い考察に感嘆させられるからであろう。
    眠いのでこのくらいにしておく。

    小説の主人公は、あまりに客観的で、一歩引いた、いや百歩引いたところから物語を見ているような感覚になる。実際の人生は、一歩引く暇もなく自分の目の前でコトが進み、周りの情景を言葉を尽くして捉える時間も、思考をまとめる時間も与えてはくれない。やはり、小説は小説であり、現実は現実である。ただ、現実を、言葉を尽くして捉え表現することは、現実をより良く生きる一つの手段のようにも思った。

  • 疑問から目を背けないかっこいい主人公。悩み、考え、大きく成長する。それを支える温かい登場人物。

    人はどこかで、こう考えてるのは自分だけだ、なんてことを思ってしまうけど、みんなそんなもんだ。とくに学生時代はね。素直に自分を貫くのが、学生の本分かもしれないなんて思ったり。厨二病がなんだ。楽しいじゃない。あとから学べることはたくさんあるからね。

    中身の深い人になりたいと思わせてくれた作品。深く入りくんだ人に。ひと目で分かるほどペラい人にはなりたくない。けど、中身を知りたい人には丁寧に自分を教えてあげられる人になりたい。決してひと目じゃ分からないとこを案内してあげたい。そして相手の中身も教えてもらいたい。より深く知るために、より深くなるために。

  • 中学の時に友達の影響で山田詠美を読み始めて
    まんまとハマったわけですが、この本は別格に好き
    それこそ、何度も何度も学生時代は読み返した
    理由もなく自信過剰な子供だったので(今もだけど)、
    ヒデミクンの天真爛漫さと私の屈託のない自信はとても相性がよかったんだと思う
    女の子のキャラが全員好きで、中でもマリちゃん。次に山野さん。
    作りこまれた”女の子”大好き

    いまだに、少し疲れて元気がないときはパラっとめくったところの1話読むだけで元気になれるから、すぐ手の届く本棚に置いてある一冊。

  • なんで勉強しなければいけないのだろう?
    誰もが一度は抱いたことのある疑問だと思う。それにこんな形で答える先生に出会えなかったことが不運であると感じたのと同じくして、こんなふうに答えてくれる本に出会えたことは幸福なことだと感じた。勉強って、なにも学校で教わることばっかりじゃない。それどころか学校の外、例えば友人との遊びのなかで、あるいは恋人との情事のなかで学ぶことの方がきっと多い。それもまた勉強なのだ。しかも生きていくところに密接に関わってくることばかり。そういうことのほうがホントは大事なんじゃないかな。たくさん知識を持ってるより、たくさん経験して想像できるようになることのほうが。

  • うわー!素敵な本だなぁー!

    学生時代にこの本を読んでいたら
    どう思っただろう。

    大人になった今、当時の事を思い出しながら読むのも乙ですね。

    三角形の角を足すと180度になる。
    角が三つ集まると、まっすぐになれる。

    六つ集まったら、まん丸になる。

    素敵だなぁ。

    棘を持っていても良いんだな。

  • 久々に面白い作品に出会えた。テンポもいいしよみやすい。
    何回も読むことでさらに味がでる作品。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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