ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 16614
感想 : 2031
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036168

感想・レビュー・書評

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  • 高校生のときに読んだ本。
    正直なんでそんな評価が高く絶賛されているのかわからなかった。
    なんでも性を基準に物事を考えていて、年頃の男子って本当にどうしようもなくお子様だな、と。

    それから10年は経った今、さっと再読したけれど、この本に対する印象はあの頃とさほど変わらなかった。
    ただ、番外編・眠れる分度器に出てくる秀美の母の言い分は一理あるなあと。
    でも身近に秀美たちがいたら、正直めんどくさいなあと思っちゃうかも…笑

    うーん、「放課後の音符」はあの頃も今も好きなんだけれど何が違うんだろう。私が女性側だからなのかもしれない。

  •  17歳で読んだとき、雷が落ちた。
     「こんな高校生活あるんだ!」地味な高校生の自分にとって。
     主人公の少年、時田秀美、母、祖父、秀美の恋人桃子、秀美の友人たちがすこぶる魅力的。17歳のとき、「秀美の母や祖父のような大人になりたい」と思ったことを今でも覚えてる。そんな大人になれたとは言いきれないが、少しは近づけたかな?と思う。
     この物語が、モヤモヤぐじゃぐじゃした10代の自分を支えてくれた。物語は救いであり希望だった。そういう人たちのために、物語は静かに存在するのだろう。

  • 「僕は勉強ができない」と堂々公言するような、清々しい青年の秀美。学校の勉強はできなくても、おかしな事に疑問を感じ、反抗し、考え大人になっていく様子がとても良い。
    著者の山田さんも書いているが、その思考・行動を大人がみると多いに勉強になる。実際に、私が高校生の時は秀美くんの10分の1もものを考えていなかっただろう。
    メモに取りたいフレーズのオンパレード。

    母親と祖父は適当に見えて、要所で秀美くんをしっかりと導いている。その気楽さが、父親のいない秀美くんを変に悲観させる事なく、伸び伸びとさせている。

    丸をつけよ
    眠れる分度器が名品。

    子供が理解できる年頃になったら、ぜひ読んでもらいたい小説。

  • ああ、これは……なるほど、やっとわかった。
    この本がどうして毎年必ず「新潮文庫の100冊」に選ばれ、こんなに長く読み継がれているのかが、そしてこの本の良さが。

    いつだったか覚えていないほど大昔に(学生時代だったかなぁ)、一度この本を読んでみたことがあった。
    が、バーを経営する年上の恋人がいて、セックスをし、それを堂々と語り、酒を飲み、先生に向かって生意気な口をきく、主人公の時田秀美という男子高校生が不良にしか思えず、共感なんてとんでもない、嫌悪感すら抱き、これは私とは無縁の本だと判断、その後いっさい手に取ることはなかった。

    それが今夏(2019)、書店でもらってきた「新潮文庫の100冊」の小冊子カタログを見ていて、「この本また今年も入ってるな。この本が入ってなかった年ってあったんかな? そのくらい毎年必ず入ってるんだけど、なんでなんだろう?」とふと思ったのだ。

    しかも私の読書バイブル『読書力』の中で、齋藤孝先生が読書力養成のための定期試験を提言しており、これを実践したとある中学・高校での高1の生徒の課題本の中に、この本が含まれているのも気になっていた。

    それで、書店で数十年ぶりにこの本を手に取り、改めて買ってみたという、私にとっては記念すべき日を迎えたわけである。

    うーむ、なんということか。
    全ページ名言だらけではないか。
    グサグサと心に突き刺さる。

    そうか、そういうことか。

    ものすごく大切なことを忘れていたことを、思い出させてくれた。
    これは大人が読むべき本なのだ。

    この子たちのように、何事も明るくあっけらかんと笑い飛ばすように生きていけたら最高じゃないか。

    ごめんね、秀美くん、全然不良なんかじゃなかった。
    むしろ一番いい子だよ。
    まぁ平気でお酒を飲んじゃうのはどうかと思うけど、高校生にお酒を出す大人の方が悪いということに、現代ではなってしまうかもね。

    最初に読んだときは、私がまだ若すぎたんだ。
    今は共感の嵐でしたよ。
    お母さんとおじいちゃんはすばらしいし、真理ちゃんはかわいいし。

    先にも書いたように、私は本書は大人こそ読むべきだと思ったし、著者あとがきにも〈むしろ、この本を大人の方に読んでいただきたい〉と書いてあるのだが、うーむどうだろう、このタイトルとカバーイラストを見て、またカバーの紹介文の「凛々しい秀美が活躍する元気溌剌な高校生小説」というのを読んで、この本を読もう、買おうと思う大人がどれだけいるか……。
    ずいぶん損しているのではなかろうか。
    もしこれからもずっとこのカバーで行くなら、読んだ人間がこうして口コミでおすすめしていくしかないかもね。


  • 中学生の時に読んで、何度も読み返して、センター試験の過去問に出てきてまた読んで、30歳手前の今読んで、それでも尚いいなぁと思える本。
    生き方考え方が様々で、魅力的で、多少詠美さんの偏り方はあるにせよ、このくらい自由に考えられたらいいなぁと憧れを抱く。
    秀美よりも、周りの大人たちが素敵です。
    あの頃は斜に構えてて恥ずかしかったとか、今も持ってる自意識過剰とか、特権意識とか、顔を覆いたくなるような馬鹿馬鹿しいものも、まぁ悪くないと思えます。

    • 麦の海さん
      良い作品ですよね!私も何度も読み返しています。
      良い作品ですよね!私も何度も読み返しています。
      2022/06/30
  • 「勉強よりも大切なことがある」と信念を持ち、年齢や性別に関係なく人脈を広げて様々な知識や思考力を身につけていく主人公にアッパレ!

    私は高校生の頃、周囲の視線ばかり気にして、勉強や恋愛をしていたから、自分軸で生きてるところがかっこいいなぁと思った!

  • こういったタイプの無気力鈍感主人公が苦手なのもあるけど、それよりも価値観が苦手だった。『賢者の皮むき』の女の子の言葉がその通りすぎる。

    「勉強しか出来ない奴ってつまらない」って言葉、当時は衝撃的だったのかもしれないけど、現代から見たら勉強が出来ない人間の負け惜しみでしかない。

    世間の色んな価値観へのアンチテーゼってテーマは分かるけど、自分以外に攻撃的すぎる。
    今は凝り固まった偏見を攻撃するんじゃなくて、色んな価値観を受け入れる時代。だから、私はこの作品の価値観が合わなかったんだと思う。

    でも色んなテーマについて考え直させられたし、日常のふとしたところにいっぱいそういう事あるよねってのが多くて、そこは物凄く面白かった!

  • いつも響いた所に付箋を貼りながら
    本を読むんですが、
    約250ページの決して長くない作品に
    費やした付箋の数、なんと29枚。
    名言だらけ、とんでもない付箋泥棒小説だった。

    「ぐ、否定できない」とおもったり、
    純粋に共感だったり、
    そうありたい考え方だったりのオンパレードで、
    なんだこれは、この感情は、と思っていたら、
    解説でズバリ言い当ててくれた。
    “見抜かれてるって感じ”そう、それです。

    主人公の秀美も、お母さんもおじいちゃんも、
    (すべてに、性にも)奔放で、身軽で、洒落てて、
    賢くて、可愛らしくて、純粋で、まっすぐで、
    とにかく素敵すぎる。

    “賢くなかったな、今回は”
    と、教えてくれるおじいちゃんがいて、

    “自分は、自分であるってことを
    解っている人間にしたいの”
    と、育ててくれるお母さんがいて、だからこそ

    “ぼくなりの価値判断の基準を
    作って行かなくてはならない。”
    “その基準に、世間一般の定義を持ち込むような
    ちゃちなことを、ぼくは、決してしたくない”
    と、すくすく育つ秀美の精神は、

    “すべてに、丸をつけよ。
    とりあえずは、そこから始めるのだ。”
    と、まぶしい決意をすることができたんだろう。

    こんな、こんなん、もう、哲学書だ。
    善く生きるってこと、善く考える方法を
    押し付けがましくなく書いてる本だ。

    あと、なぜだかわからないけど
    この小説を読んで強く思ったのは、
    小説家ってどうして誰にでもなれるんだろう、
    ということ。

    山田詠美さんはこの作品を書いた時
    30歳くらいのお姉さんなわけで、
    でも17歳の秀美の心をこんなに瑞々しく描けて、
    『眠れる分度器』では、
    時田一家とは全然考え方の違う奥村先生の内面も
    こんなに痛々しく描いている。

    すごい。どんな世界が見えてるんだろう。

    • みーさん
      私も付箋貼りながら読みました!
      すべてに、丸をつけよ。
      のところは私もとても好きです。
      まずは拒否せず受け止める、という潔くカッコいい考えに...
      私も付箋貼りながら読みました!
      すべてに、丸をつけよ。
      のところは私もとても好きです。
      まずは拒否せず受け止める、という潔くカッコいい考えに惹かれました、、、!
      2021/09/03
  • この本についてはここ数年来、新潮文庫の夏の100冊フェアでよく見かけていて、とても興味深いタイトルだと思っていた。つい先日ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を読み、主人公が学校でいい成績を取ろうと苦心して結局つぶれてしまうストーリーだったので、本書を読めば何か対比できるものがあるのでは、と思い読んでみた。

    結論、非常にがっかりした。

    主人公は勉強ができないというが、基本的に勉強に向き合っていないし、作品としても扱っていない。勉強するシーンもまったくなければ、勉強についての思いなども特にない。最初のエピソードで学年トップの同級生を幼馴染の色仕掛けを利用しておとしめるのと、「勉強ができても変な顔で女にもてなかったら虚しい」くらいか。最終的に大学に行くことに決めたらしいが、それも幼馴染に「大学で勉強して私に教えて」と言われただけで、自発性はない。期待していた勉強という一点において、とうてい満足できるものではなかった。

    人間関係はとっても二元論的。母親、祖父、担任(兼サッカー部顧問)、彼女らは主人公を理解しすぎなくらいよく理解する味方であり、成績学年トップの同級生や小、中の担任などの悪役の言動は極端にひねくれており、リアリティーをまったく感じられず気持ち悪かった。作品全体が軽い印象。

    父親がいないことや裕福でないことを軸に、ステレオタイプな大人たち、マイノリティへの偏見などへの反論が作品の根底にある。中にはいいことを言ってるな、と思わせるところもあるものの、基本的に自己肯定、自己満足で、屁理屈とも呼べるものをあれこれ展開する。勉強はしない割に、本を読んでるおかげなのかなんなのかしらないけど、変に難しい言葉を使ったり、冗長な表現が多くうんざりさせられる。自分にとっては哲学とか名言とは受け止められなかった。

    自分が勝手に偏った期待を持ったせいも多分にあると思うけど、残念だった。この素晴らしいタイトルでなければよかったかもしれない。また、中高生で読めばもっと違った感想だったかもしれない。

    • kurodamanabuさん
      こんなコメントが打てる機能があったなんて知らず、どうせなので僕もコメントを返させていただきます。レビューは自分が再読する時のために書いていた...
      こんなコメントが打てる機能があったなんて知らず、どうせなので僕もコメントを返させていただきます。レビューは自分が再読する時のために書いていたので、こういった形で反応があったことに驚きつつ、嬉しくもありました。なにより、アクションを起こして、コメントを下さり、ありがとうございました。レビューを拝見し、こういった解釈もあったんだ、ここは自分と同じこと思ってるなぁと非常に刺激になりました。大多数がこれは良いと言う中で、これは良くなかったと思うと、自分はズレているのかと考えてしまう時があります。今回は、そういう意味では同じ考えを持った仲間に出会えたと勝手ながらに喜んでいる訳ですが、同時に、自分はこのままでいいのだという励みにも繋がりました。改めて、ありがとうございました。
      追進:本棚のフォローをさせていただきました。
      2013/10/19
    • kurodamanabuさん
      フォローありがとうございます!
      これからも、機会があればこうしたコンタクトのやり取りが行えることを楽しみにしてます。
      フォローありがとうございます!
      これからも、機会があればこうしたコンタクトのやり取りが行えることを楽しみにしてます。
      2013/10/19
  • 放課後の音符に続いて再読。


    あとがきで山田さんがむしろ大人に読んでほしいって書いてたけど、再読してみて改めて感じることが多かった。


    主人公秀美くんと同じ高校生のときに読んだときは、秀美くんの生き方がすごく魅力的だなって思ってたけど


    今回はむしろその秀美くんの周りの人物にひかれました。


    特にひかれたのは、お母さんとおじいちゃん。


    価値づけで悩んだりする時期ってあるけど、世の中でよしとされている価値観にしばられて生きるのは窮屈なときってある。


    でもそれはけしてだめなことじゃないし、価値って結局自分でつけるもんだよね。


    「〇をつけよ」はまさに私の気持ちを代弁してくれているような話。


    第三者によって○か×か決められたくなんかない。


    色あせることない名作。

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著者プロフィール

山田詠美

一九五九年東京都生まれ。八五年「ベッドタイムアイズ」で作家デビュー。『ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー』で直木賞、『トラッシュ』で女流文学賞、『A2Z』で読売文学賞、『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、『ジェントルマン』で野間文芸賞、「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。『賢者の愛』『つみびと』ほか著書多数。

「2021年 『つみびと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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