ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12868
レビュー : 1818
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036168

感想・レビュー・書評

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  • 放課後の音符に続いて再読。


    あとがきで山田さんがむしろ大人に読んでほしいって書いてたけど、再読してみて改めて感じることが多かった。


    主人公秀美くんと同じ高校生のときに読んだときは、秀美くんの生き方がすごく魅力的だなって思ってたけど


    今回はむしろその秀美くんの周りの人物にひかれました。


    特にひかれたのは、お母さんとおじいちゃん。


    価値づけで悩んだりする時期ってあるけど、世の中でよしとされている価値観にしばられて生きるのは窮屈なときってある。


    でもそれはけしてだめなことじゃないし、価値って結局自分でつけるもんだよね。


    「〇をつけよ」はまさに私の気持ちを代弁してくれているような話。


    第三者によって○か×か決められたくなんかない。


    色あせることない名作。

  • 中学生の時に読んで、何度も読み返して、センター試験の過去問に出てきてまた読んで、30歳手前の今読んで、それでも尚いいなぁと思える本。
    生き方考え方が様々で、魅力的で、多少詠美さんの偏り方はあるにせよ、このくらい自由に考えられたらいいなぁと憧れを抱く。
    秀美よりも、周りの大人たちが素敵です。
    あの頃は斜に構えてて恥ずかしかったとか、今も持ってる自意識過剰とか、特権意識とか、顔を覆いたくなるような馬鹿馬鹿しいものも、まぁ悪くないと思えます。

  • 心に残る、素敵な一冊。今出会えてよかったと思える本。
    高校生という大人ではない年代の視点から、大人と子供には見えない、世界の何気ない側面の大切さを教えてくれる。さり気無いせいで見過ごしがちであったり、もしくは忙しさを理由に考えることを放棄してしまう日常の様々な側面や溢れる物事が、素直で真っ直ぐな視点を持つ主人公によって映し出されている。
    正しさが時に疎まれてしまう社会や世の中に、いつの間にか順応してしまうこと。その不自然な順応に違和感を感じなくなってしまうこと。そして大人になる、ということがどんなことであるのか。そういうものが、複雑な人間の心理描写と繋がりながら描かれている。
    大切なことに気づかせてくれる、本当に素敵な本。

  • 見た目、チャラっとしたイメージをうける一冊ですが、深い。
    子どもって、大人が考えているよりもずっと色々なことを理解し大人と同じように、ときにはそれ以上に考えている。大人がそれを受け止められず力で押さえつけようとしたとき歪みが生まれるんだと思う。長年生きてるからという理由で大人が子どもより全て優れているとは限らない。学ぶべき所は子どもからでも素直に学ぶべき。

  • 男性作家の小説を読むことが多いせいか、女性作家が男子高校生を主人公に描いているというのが、ちょっと意外に感じました。
    読了後の気分は、サリンジャーのライ麦畑を読んだときと似た感じ。
    主人公の母親とおじいさんが素敵。
    この家族の、深刻な問題もどこかのんきな漫才のようにしてしまう空気が新鮮に感じられました。
    「時差ぼけ回復」の、「こんなふうに、ぼんやりと電車に乗って、春が来たと思うのは、ささやかだけれど、やはり、楽しいことなんじゃないのか?」という言葉は、寒い冬の間鬱々とした気持ちになっていた自分に、「ウンウン、そのとおりだなぁ」と思わせてくれました。
    そういうわけで、まだ読んだことのない人には春に読むことをおすすめしたい。

  • ああ、これは……なるほど、やっとわかった。
    この本がどうして毎年必ず「新潮文庫の100冊」に選ばれ、こんなに長く読み継がれているのかが、そしてこの本の良さが。

    いつだったか覚えていないほど大昔に(学生時代だったかなぁ)、一度この本を読んでみたことがあった。
    が、バーを経営する年上の恋人がいて、セックスをし、それを堂々と語り、酒を飲み、先生に向かって生意気な口をきく、主人公の時田秀美という男子高校生が不良にしか思えず、共感なんてとんでもない、嫌悪感すら抱き、これは私とは無縁の本だと判断、その後いっさい手に取ることはなかった。

    それが今夏(2019)、書店でもらってきた「新潮文庫の100冊」の小冊子カタログを見ていて、「この本また今年も入ってるな。この本が入ってなかった年ってあったんかな? そのくらい毎年必ず入ってるんだけど、なんでなんだろう?」とふと思ったのだ。

    しかも私の読書バイブル『読書力』の中で、齋藤孝先生が読書力養成のための定期試験を提言しており、これを実践したとある中学・高校での高1の生徒の課題本の中に、この本が含まれているのも気になっていた。

    それで、書店で数十年ぶりにこの本を手に取り、改めて買ってみたという、私にとっては記念すべき日を迎えたわけである。

    うーむ、なんということか。
    全ページ名言だらけではないか。
    グサグサと心に突き刺さる。

    そうか、そういうことか。

    ものすごく大切なことを忘れていたことを、思い出させてくれた。
    これは大人が読むべき本なのだ。

    この子たちのように、何事も明るくあっけらかんと笑い飛ばすように生きていけたら最高じゃないか。

    ごめんね、秀美くん、全然不良なんかじゃなかった。
    むしろ一番いい子だよ。
    まぁ平気でお酒を飲んじゃうのはどうかと思うけど、高校生にお酒を出す大人の方が悪いということに、現代ではなってしまうかもね。

    最初に読んだときは、私がまだ若すぎたんだ。
    今は共感の嵐でしたよ。
    お母さんとおじいちゃんはすばらしいし、真理ちゃんはかわいいし。

    先にも書いたように、私は本書は大人こそ読むべきだと思ったし、著者あとがきにも〈むしろ、この本を大人の方に読んでいただきたい〉と書いてあるのだが、うーむどうだろう、このタイトルとカバーイラストを見て、またカバーの紹介文の「凛々しい秀美が活躍する元気溌剌な高校生小説」というのを読んで、この本を読もう、買おうと思う大人がどれだけいるか……。
    ずいぶん損しているのではなかろうか。
    もしこれからもずっとこのカバーで行くなら、読んだ人間がこうして口コミでおすすめしていくしかないかもね。


  • 短編集はテンポ良く読めるので良い。
    こんな大人びた小学生でも高校生でもなかったなと過去の自分を恥じてみたり。

  • 勉強ができなくても、自分の中に独自の揺るがない価値観を育てた秀美。
    小さい頃から権威に屈せず、堂々とした意見を言える彼は立派だ。
    人の噂や色眼鏡に惑わされず、物事を自分の物差しで判断する力を養ったのは、
    相当アクのある、でも一本筋の通った母親と、
    女好きだけど、優しくて本質を見抜く目を持つ祖父だった。
    二人の、彼に対する付かず離れずの愛情が微笑ましい。

    心の中で葛藤し、もがきながら成長する青年が眩しくて、
    新緑のようなエネルギーを感じた。

  • 読み終え、本より先に山田詠美という作家に更に興味を感じる。
    読む本ごとに異なる感動があるのだが、メッセージはぶれなていない。
    もう何冊か読み込んでみたい。

    僕は勉強ができない。は、あとがきにも書いてあるが、叙情は常に遅れてきた客観視の中に存在する。その時代を一生懸命生きてきたからこそこの本の良さがわかる。
    男の子の半分くらいは、勉強より他の楽しいことに夢中で、それって人間性に繋がって行くんだな。
    村上龍の69、金城一紀のGOのような青春小説と同様に生涯記憶に残る一冊。
    しかも、女流作家が書いた青春小説に驚きです。
    A 2 Zにも登場している母、仁子は魅力的、同時に子どもの感性について大人が価値観を押しつけることにも考えさせられた。
    こういった良い青春小説を読んだあとはいつも必ず思う。
    人生もっと楽しもう!

    • 9nanokaさん
      この本に関しては、意見が合いそうな気がします。どこにでもいるようなちょっとダメな大人を悪の根源のように書いていますよね笑。部長のような…(^...
      この本に関しては、意見が合いそうな気がします。どこにでもいるようなちょっとダメな大人を悪の根源のように書いていますよね笑。部長のような…(^^;;
      komoroさんも勉強より他の楽しいことに夢中な男の子でしたか(^^)
      きっと残りの半分に類するような子供が、そのまま育つと悪の根源になっちゃうんだろうなぁとレビューを読んで思いました。
      2014/08/30
  • この本についてはここ数年来、新潮文庫の夏の100冊フェアでよく見かけていて、とても興味深いタイトルだと思っていた。つい先日ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を読み、主人公が学校でいい成績を取ろうと苦心して結局つぶれてしまうストーリーだったので、本書を読めば何か対比できるものがあるのでは、と思い読んでみた。

    結論、非常にがっかりした。

    主人公は勉強ができないというが、基本的に勉強に向き合っていないし、作品としても扱っていない。勉強するシーンもまったくなければ、勉強についての思いなども特にない。最初のエピソードで学年トップの同級生を幼馴染の色仕掛けを利用しておとしめるのと、「勉強ができても変な顔で女にもてなかったら虚しい」くらいか。最終的に大学に行くことに決めたらしいが、それも幼馴染に「大学で勉強して私に教えて」と言われただけで、自発性はない。期待していた勉強という一点において、とうてい満足できるものではなかった。

    人間関係はとっても二元論的。母親、祖父、担任(兼サッカー部顧問)、彼女らは主人公を理解しすぎなくらいよく理解する味方であり、成績学年トップの同級生や小、中の担任などの悪役の言動は極端にひねくれており、リアリティーをまったく感じられず気持ち悪かった。作品全体が軽い印象。

    父親がいないことや裕福でないことを軸に、ステレオタイプな大人たち、マイノリティへの偏見などへの反論が作品の根底にある。中にはいいことを言ってるな、と思わせるところもあるものの、基本的に自己肯定、自己満足で、屁理屈とも呼べるものをあれこれ展開する。勉強はしない割に、本を読んでるおかげなのかなんなのかしらないけど、変に難しい言葉を使ったり、冗長な表現が多くうんざりさせられる。自分にとっては哲学とか名言とは受け止められなかった。

    自分が勝手に偏った期待を持ったせいも多分にあると思うけど、残念だった。この素晴らしいタイトルでなければよかったかもしれない。また、中高生で読めばもっと違った感想だったかもしれない。

    • kurodamanabuさん
      こんなコメントが打てる機能があったなんて知らず、どうせなので僕もコメントを返させていただきます。レビューは自分が再読する時のために書いていた...
      こんなコメントが打てる機能があったなんて知らず、どうせなので僕もコメントを返させていただきます。レビューは自分が再読する時のために書いていたので、こういった形で反応があったことに驚きつつ、嬉しくもありました。なにより、アクションを起こして、コメントを下さり、ありがとうございました。レビューを拝見し、こういった解釈もあったんだ、ここは自分と同じこと思ってるなぁと非常に刺激になりました。大多数がこれは良いと言う中で、これは良くなかったと思うと、自分はズレているのかと考えてしまう時があります。今回は、そういう意味では同じ考えを持った仲間に出会えたと勝手ながらに喜んでいる訳ですが、同時に、自分はこのままでいいのだという励みにも繋がりました。改めて、ありがとうございました。
      追進:本棚のフォローをさせていただきました。
      2013/10/19
    • kurodamanabuさん
      フォローありがとうございます!
      これからも、機会があればこうしたコンタクトのやり取りが行えることを楽しみにしてます。
      フォローありがとうございます!
      これからも、機会があればこうしたコンタクトのやり取りが行えることを楽しみにしてます。
      2013/10/19
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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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