アニマル・ロジック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036199

感想・レビュー・書評

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  • 最初はわけがわからず読んでいた。
    途中から引き込まれ差別について考えさせられる本。かといって、100%理解したかと聞かれるとそうでない気がする。二度目に読んだら、また違う感想を持ちそうな、そんな本。

  • 山田詠美と聞くと、やはり恋愛小説を考えてしまう。
    もちろんこの「アニマルロジック」もその一つなのだが、

    私は、恋愛小説というものがもともとあまり好きなほうではなかったので、自分からこの分野の本を読もうと思うことはまずなかった。

    しかし、知り合いに「読め!!」と渡され、必死に読みました。
    めっちゃ分厚い文庫本。

    だけど、読み終わった後の気分は、悪くない。

    色々考えされる本。読むたびに様々な刺激がありそう。

  • 差別について考えさせられる作品。人種、さらには一個人のレベルでも語られている。読んでいて人種の数ではなく『人』の数だけ価値観があるのだと改めて思う。この話の中心人物であるアフリカ系アメリカ人のヤスミンは、肌の色での差別をしない。でも自分を幸せな気分にするかどうかで他者に差をつける。そこにあるのは、人の尊厳を貶めるための差別ではなく、自分の尊厳を保ち幸福で身を包むためにする差別化である。自分の幸福のために生きる姿がシンプルで、反対に、複雑な人の心から生まれる暗いものの存在を痛烈に印象付けられる作品だった。

  • 人間は物事を複雑に捉えたがる動物なんだな、と。

    しかも、「愛」なんてものに関しては、そりゃあもうあらゆる表現をくっつけてはこねくり回して、もう本質なんてほとんど見えやしない。
    もはやその本質があるかどうかすら定かではない。

    でもそうやって自分たちで創り上げた混沌の中で人間は必死に生きているわけで、そのことを馬鹿にしてはいけないとも思う。


    「私」の存在はもっとフラットなものだと思って読み進めていたけど、違った。
    それがこの小説の魅力の一つかもしれないけど、少し不満。

    ヤスミンとソウルの関係が大好き。
    やっぱり私も人間という動物なのだと実感。


    とりあえず何回か読み直さないとなぁ。

  • 動物園には人間という動物が檻の中にいません。セックスと差別しかしない人間はもはや動物と言う枠組みから外れてしまったのでしょうか?エロティズムと激しさと人種問題を孕んだ問題集。解答は人類のこれからの歴史未來というところでしょうか?

  • 放課後の音符がものすごく気持ち良くこぢんまりとまとまっていたので、ちょっと長く感じた。
    最初はずっと色んな短編の連続かと思ったら、後半は色々と交錯してくる。

    自由は何かと(例えば命と)引き換えなければならないものなのか?なんて考えたり。

  • 山田詠美の本で唯一読みきるのに
    時間がかかってしまった本です

    実にテーマが深く重い。
    決して読みやすい本ではない。
    けど引き寄せられるなにかがある。
    それが山田詠美の凄いところだと思う。

    ヤスミンの様にしなやかに
    凛として前に進めるような女になりたい。

  • 山田詠美どくとくの倫理観を持った、ふしだらな女ヤスミンが主人公。ヤスミンの体の中に住む?私が語り手。なんとも不思議な設定だけど面白い。ヤスミンが好き。

  • 再読了。

  • 差別する人間とされる人間

    差別する側は、本人も気づかないうちに上から目線になり、差別なんてしないと熱く語る。
    そして、恋愛する。自分と同じ側にいる人間とだけ。

    差別される側は、甘んじて受け容れ反抗するか、差別されることを受け付けない。
    差別する人間を罵りながらも、同時に彼らに抱かれたいと思う。


    ヤスミンはそのちっぽけな愛を、バカバカしくも愛おしいと思いながら社会(動物たち)を眺めてる。

    差別される側のはずなのに、誰よりも高みに立つヤスミンがカッコよすぎて、だんだん差別されているはずの人達が美しく見えてくる。

    愛は色んなものを変える。ヤスミン以外のたくさんのものを。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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