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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101036618
作品紹介・あらすじ
昭和の終わり、南河内に暮らす一族の娘に縁談が持ち上がる。女性は25歳までにと見合い結婚する者も多い時代。本人の考えを他所(よそ)に、結納金や世間体を巡り親戚中の思惑が忙(せわ)しくぶつかり合う。その喧噪を、分家に暮らす4歳の奈々子はじっと見つめていた――「家」がもたらす奇妙なせめぎ合いを豊かに描き、新人らしからぬ力量と選委員が絶賛、三島由紀夫賞&新潮新人賞ダブル受賞のデビュー作。
感想・レビュー・書評
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昭和末期、4歳だった奈々子。彼女の周囲を取り囲む家族、親族らの人間模様を現在の奈々子が語っていく。
語りの中に時折、登場人物のその後や没年、死因が挿し込まれ、家の存続に執心する価値観や世間体をあまりに意識する姿が不毛で、哀れで、虚しく、悲しく映る。 -
家族がテーマになっている作品を子供目線で描かれる作品です。特に印象に残る内容ではなく、読んでいて少し退屈だった。
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幼女の頃の記憶を回想し、家族・一族の歪みや窮屈さをとらえる構図。家族とは何か問われる今の時代らしいテーマだと思う。
大人は子供を半人前と考えて子供の前で油断してさまざまなことを晒し、それを子供は繊細な感覚で正確に捉えている。
子供を主人公とする作品は、子供が観察者として最適だからなのかと思わさせられた。言葉にしないだけで子供はたくさんの情報を頭に抱えている。
心の移ろいよりも情景の描写が多く、言葉にせずとも様々なものを感じさせる。また、全体の不気味さや暗さに胸が詰まると思えば、草花の描写が美しくそのバランスが素晴らしかった。静かな作品ながら、するすると読ませる力がある。
志保子のカゴの中身がわかるシーン、最後のシーンは特に秀逸。 -
幼い主人公の主観でありつつも、所々大人になった主人公の回想も交えつつ展開していくので、独特の世界観が出来上がってると思いました。
ちょっと私には合わなかったですが、さっくり読めました。