夫婦善哉 決定版 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 87
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101037028

作品紹介・あらすじ

惚れた弱みか腐れ縁か、ダメ亭主柳吉に懸命に尽くす女房蝶子。気ィは悪くないが、旨いもん好きで浮気者の柳吉は転々と商売を替え、揚句、蝶子が貯めた金を娼妓につぎ込んでしまう。新発見された「続夫婦善哉」では舞台を別府へ移し、夫婦の絶妙の機微を描いていくが……。阿呆らしいほどの修羅場を読むうちに、いとおしさと夫婦の可笑しみが心に沁みてくる織田作之助の傑作六篇。

感想・レビュー・書評

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  •  文章で読んだ。そしてラジオで聞いた。音にして聞くとより良さが伝わってきた。努めて端的に描こうとしているように思う。そしてこの手の作品の続編が冗長になるのは良くあることと感じる。
     印象的なのは銭勘定を詳しく述べているところだが、西鶴の影響か。他に収録されている短篇も楽しく読んだ。

  • 夫婦善哉
    こんなダメな夫に付いていく妻の気持ちがわからなかったが、この本を通じてこういう関係を受け入れることができた。この話は過度かもしれないが、夫婦の関係をうまく描写しており夫婦とはこんなものかと思った。

  • あーえーなー
    夫婦善哉は何度読んでも良い

  • 最近仕事で大阪へ行くことが多い。それを知った友人が貸してくれたので読んだ。
    町田康の夫婦茶碗が僕は好きだ。その直系の祖作にあたるこの本は、生き生きと活気のある大阪と人間を描いている。大阪の人たちがこの作を好む理由がよくわかった。

  •  出世作の夫婦善哉が収録。

  • 単行本の「夫婦善哉」に加えて、数作の短編付き。
    夫婦善哉だけを読んだ時には、良さが分からなかったが、大阪の情景を描く短編も詰め込まれたこちらの1冊を読んでいると、織田作之助の良さが、単行本の時よりは感じられた。

    どの作品にも出てくる私小説的「わたし」は主人公そのものではないらしいが、すべてに共通するのが放浪性。トラさんに似た世界の関西版といった風情。

    木の都は、他所での知り合いが自分の故郷で古本屋を開き、その家族を見守る話。古き良き時代の日本の、心やさしき交流が描かれる。

    六白金星はそのできの悪さゆえに、父親から冷たくされる妾腹の子の話。なんとなく、後味が悪い作品。

    アド・バルーンはちょっと何が言いたいのか曖昧。またまた奉公先を変えてばかりの主人公。だけれど、意外にずっと胸にいるの年下の幼いころからの知り合いの女の子。その子への気持ちはくすぶり続け、彼女を追いかけてみるが、迷惑がられてしまう。ただひとつ、フラフラとしなかった恋愛では気持ち悪いと言われてしまうのが、なんだか切ない。

    世相。これで売れっ子になったらしいが、分かる。これが一番いい。私小説なのかどうか分からないが、とにかく作家のわたしが主役。戦争前後の市井。。。というか、水商売の一情景を描き出す。男性ならあわよくばと想像を楽しむのであろう、一夜限りの関係を楽しもうと積極的な飲み屋の女将、ふじこちゃんみたいな服を着ているのも笑える。それに、阿部定事件の入れ込み。それらが大阪の当時のリアルな情景、発展性がなく、ずっと同じ作風、題材で小説を書き続ける言い訳などに織り交ぜられる。

    解説によると、織田作之助は全くのフィクションと言ったらしいが、実は結構な割合でノンフィクションのモデルがいるらしい。この人の作品を何作か短編集として読んでみての感想が、想像力のあまりない人だと思ったので、さもあろうと思った。

    さらに、何がいくらとか、どこの角を曲がった~屋など具体的な描写が彼の特徴の1つであるとのことだけど、本人が世相の中で、その理由を解説しているのも興味深い。「曖昧な思想や信ずるに足りない体系に代わるものとして、これだけは信ずるに足る具体性だと思っている」

    私が思う特徴としては、戦前。戦後のやる気がぎらぎらしているのか、停滞したムードなのかよく分からなくて混とんとした当時のぬるい空気感を描いている点かなと思った。引用した分については、現代っこにも当てはまると思った。それとも、若者は或る意味、どの時代でも無気力なのかもしれない。

    この人は、大阪、しかもミナミを愛していたんだろうな。記録に残したかったんだと思う。

  • 表題作以外にも5つの代表的な短編が収録されている。表題作は、映画化・ドラマ化もした人気作だが、これよりも他の短編のほうが楽しめたように思う。このバージョンの目玉だろう「続」は、ストーリー展開に強引さが感じられ、無理やりに”終らせた”という雰囲気が漂っていて、あまり個人的には楽しめなかった。未発表に終ったのも解る気がした。

  • とにもかくにも登場する食べ物がおいしそう。一番味方でいてほしい女性に対して食べ物でつるのは、ダメ男の常套だよね!単発ローコストで許しを得やすいうえに、自分(ダメ男)をかわいく見せられる。

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著者プロフィール

1913年10月、大阪市生まれ。1933年から創作活動を開始し、1938年に小説「雨」を発表。1940年に「俗臭」が第10回芥川賞候補となる。同年に発表した「夫婦善哉」が改造社の第1回文藝推薦作品となり、以降、本格的に作家活動を開始。1946年4月に発表した「世相」が評判を呼び、作品発表の機会が劇的に増えるも、1947年1月、肺結核のため東京にて死去。その直前に評論「可能性の文学」を発表し、作風の転換を図っていた矢先のことだった。太宰治、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれ「オダサク」の愛称で親しまれた。

「2019年 『織田作之助 女性小説セレクション 怖るべき女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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