神とさざなみの密室 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年2月28日発売)
3.02
  • (1)
  • (15)
  • (26)
  • (14)
  • (1)
本棚登録 : 316
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101037813

作品紹介・あらすじ

ここはどこ!? 女子大生の凛は記憶を辿るが、何も思い出せない。暗い部屋で、両手首を頭上で縛られている。一体誰がこんなことを。恐怖に駆られる凛の前に、突然見知らぬ男が現れる。両者の間に横たわる、顔を焼かれた死体――。破局のタイムリミットが近づく中、対立する政治団体の男女を、疑惑と憎悪、密室と死体の謎が翻弄する。本格ミステリ新世代の旗手による究極の密室監禁サスペンス。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 死体のある密室に取り残された男女。密室物に加えて、政治思想の異なる2人のやり取りがかなり重かった…(いい意味で)。多数決に関する考察はかなり考えさせられる。

  • 作者買い。

    〈ここ良い〉
    トリックは面白い。ここはまちがいない。
    臨場感のある筆致は流石!

    〈ここ好きじゃない〉
    『ちりめん』=鷲水花月は分かりやすくし過ぎ?
    終始政治の話が展開され、食傷する。
    凛がかなりお花畑、大輝の方が最終的に大人にみえてしまう。(従兄弟との確執はそのままでも良かったかも)

    読みたいのはミステリであって、両極端な政治思想が読みたいわけじゃない。
    本を読むのは娯楽で、趣味なので、楽しく読みたい。

  • 自分自身に偏見があると言う前提でさらにそれを超えていかなければならないと考えた。

  • 目覚めると、そこは地下室っぽいところであり、両手首は頭上で縛られていた凛。目の前には、顔を焼かれている死体がある。この状況に戸惑うばかりで、今までの記憶を辿る。また、死体の先には、見覚えのある男がいた。凛とその男は、共に政治に対するデモや運動をしており、二人は両極端の活動をしていた。死体は誰なのか?犯人は誰なのか?
    今に至るまでの記憶を辿りながら、解決へと導いていく。


    密室、監禁といったホラー映画「ソウ」を彷彿させるような状況に、さらに謎の死体があるという予測不能な状況にどう転がっていくのか?色んな疑問を持ちながら、ハラハラする展開で楽しめました。

    凛と男・大輝の視点で、交互に進行していきます。二人に共通するのは、政治による抗議活動をしていることです。
    この作品では、今日の政治についての様々な意見が紹介されています。フィクションではありますが、現実の政治とリンクする部分もあって、考えさせられました。

    多数決が果たして、良い方向へと導いていくのか?
    たしかに多い方が合理的な面もありますが、少数派の中にも良い方向へ導いてくれるかもしれません。
    難しい問題ではありますが、多いからそれに従うという他人任せにせず、良いも悪いもしっかりとした考えをもつことが大切であると感じました。
    それにしても。一つの文章で、様々な解釈ができることに、改めて共存共栄の難しさを感じました。

    前半では、そういった政治的な要素が絡んでいきますが、中盤あたりからは、ミステリーとしての密室からの脱出、謎解きが楽しめます。

    途中からは、謎の男の出現により、さらに面白さが増していくのですが、全員怪しすぎて、本当のことを言っているのか?疑るばかりでした。

    多少強引といいましょうか、本当に上手くいく?といった疑問はあったのですが、一つずつ解明していく展開に次はどうなるんだろうと、ついついページが止まりませんでした。

    死体は誰なのか?
    犯人は誰なのか?
    いかにして、このような状況になったのか?
    電話にきた謎の男の正体は?

    驚きの展開と共に様々な伏線が面白く、どれも無駄がないかのように全ての要素が活かされている印象がありました。

  • 目が覚めると両手は縛られ、床には死体がひとつ。監禁の理由や死体の謎を推理するのはワクワクしたが、政治談義が挟まるたびにスン…となった。作者の影がチラつくというか。実在の人物や政党を想起させるネタが多いせいもあって、作中世界に没入しきれないのが惜しい。

  • 扉でつながっている2つの部屋に男女と2つの死体だけで、どうやって話を広げていくのだろうと思ったが、あれよあれよと面白い内容だった。政治的な思想が話の中心にあるので、どちらにもいい印象がないがそこはいろんな考えがある点なので気にしなかった。マリア&蓮シリーズと比べるとやや弱めな印象だった。

  • 〈マリア&蓮シリーズ〉でもおなじみの著者の、ノンシリーズ・ミステリ。
    政治というものが深く関わってくるけれど、もちろん何らかの思想を強く主張するものではないので、安心して手に取ってほしい(笑)。

    民主主義と多数決の論理の話がとても興味深く、勉強になった。
    ミステリ的なところでは、なるほどなという仕掛け。目新しくはないのだけれど、「ミステリ好き」な人にはきっと好ましく感じられるトリックだと思う。
    たぶんTwitterだろうなと思われるSNSの仕組みをこう使うか、という部分もとてもスリリングだった。
    何段構えにもなっているので、絶対に最後まで読んで欲しい作品。

  • ポリティカルサスペンス。どうしても作者の伝えたいことが大きすぎて小説としてはあまり楽しめなかった。

  • #読了 #市川憂人 #新潮文庫

  • 政治、思想、監禁、密室という要素が見事に融合していてとても面白かったです。一見バラバラの行動などが話が進むにつれて繋がっていく展開に夢中になりつつも、多数決に関する解釈などは考えさせられる部分がありました。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年、神奈川県生まれ。東京大学卒。2016年『ジェリーフィッシュは凍らない』で、第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。他の著書に『ブルーローズは眠らない』、『グラスバードは還らない』(以上東京創元社)、『神とさざなみの密室』(新潮社)など。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

市川憂人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×