試練 ―護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧― (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年3月28日発売)
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本 ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784101038421

作品紹介・あらすじ

民間人多数を乗せ、瀬戸内海で体験航海を行うあおぎりに、不時着機からの遭難信号が飛びこんできた。同時に急病人が発生。艦は幾つもの難題を抱えることに。社交的すぎる堀田司令。熱血過剰な晴山飛行長。悩める文学青年、坂上砲術士。個性豊かな上司と部下の力をひとつに合わせ、早乙女艦長は困難な状況を切り拓いてゆく。指揮官の決断。プロフェッショナルの凄み。手に汗握る海上サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 護衛艦あおぎりの乗務員とのまだまだ構築できない信頼、色々と問題が燻るなか、民間人を多数乗せた体験航海が行われ、そこで発生するあんなことやこんなこと。
    前作は、本作のための助走だったと思わせる本作。
    手に汗握る展開に一気読み。
    ミリタリー好きじゃなかったり、戦闘モノが苦手でも、本作は、自衛隊のお仕事小説として十分に楽しめる作品。

  • 前作を読んで大して面白くもなかったのだけど、ひと通りの紹介も終わった2作目は多少はテンポが良くなるかもと思い続きを買ってみた。

    のだけど、相変わらず艦や海自についての説明が多く、ちっとも話が進まなくて、隊訓練は緊張するだろうが、これを物語の最初の見せ場にされてもなぁと思うし、体験航海の儀式についても同様。
    職場の風通しを良くするために艦長室のドアを常に開けておくのは良いが、どんなに寒くてもコートの前は開けっ放しにしておくというこだわりはわざわざ書く必要あるのかね…(こんなところがイチイチ気に障るのが作者との相性が悪い証左)。

    どなたかの感想に『面白くなるのは3章から』とあったが、本当にそこまでは斜め読み。私にしたら、多少読めるようになったのは4章から。
    全388頁の本の245頁(2/3!)を過ぎてようやく色々起こりだし、まあまあ結構な見せ場になって、前作でもそうだったが最初からこんな風に話を運んでほしいもの。
    前作の感想に「艦の人間模様はこれからということにしておく」と書いたが、男vs女、女vs女、上司vs部下、ベテランvs若手などの対立軸がある中で、そこから葛藤とか思いが深められ描かれていくものではないかと思うのだが、どれもが中途半端以下にしか扱われていないのも残念。

    碧さん、これでよく女性で4人目の艦長になれたなぁという感じで、プライドは高くすぐカッとなるし、ぐずぐず考えて心配性の割に細心の準備をするというタイプでもない。
    艦長として何かの時には自分が責任を取るという胆力は備えているようには見えるが、判断の軸が分かりにくくて、男だ女だという以前にこういう人に部下として仕えるのはしんどい。
    今更、上官を使えとか指導されてるし、坂上砲術士に魚雷揚収を命じた件も含めて、部下や海保のプロの仕事の結果オーライばかり。
    『これじゃけえ、女は』というのには感心しないが、でも、暮林副長が気の毒だ…。

  • 海上自衛隊護衛艦の女艦長の話、第二弾。民間人を乗せた体験公開中、不時着機の救助に向かうことに、さらに急病人発生。この困難に立ち向かう早乙女艦長。面白かったが、次号はあるのかな?戦闘シーンを読んでみたいけど、筆者は書かないだろうな。

  • 前作に引き続き、護衛艦の女性艦長とその配下のチームが「嚙み合っていく」過程を、緊迫感と疾走感のあるクライシス対応の詳しい描写と合わせて描いている。自衛隊では、状況把握と判断を、このような条件付けや優先順位でやるんだな、とか、上司と部下の関係はこんなふうなのだ、とか、組織に属して仕事をする人が読むと、自分が属する組織のやり方と対比してみたりして十分面白いだろう。

  • あおぎり艦長となった早乙女は、女性艦長を認めない暮林副長や退職希望の坂上砲術士等、問題を抱えた乗組員とともに訓練航海に出港した。アスロックの訓練発射後の回収に副長の反対を押し切って坂上砲術士を抜擢し、自信を持たせた。休日に航空学生としての休暇で訪れた息子の航太を連れて艦内を案内した。
    一般の見学者を乗せて自衛隊への理解を深める体験航海という大きなイベント中、小月のT-5練習機からの救難信号が届き、不時着水した乗員救出のため艦載機を発艦させると事を早乙女は決断した。その対応中、一般客の1人が頭痛を訴え、くも膜下出血が疑われた。同時に起こる不測の事態にクルー一丸となって対処するあおぎり乗員であった。

  • これは面白かったな。
    前巻と合わせて一つだ。元々内容薄いんだから、合わせて一冊にすればよかったと思うのだが、そこは出版の都合なのかな。

    「都合のいい」エピソードが折り畳むように発生するがそこは小説、うまい緊張感になってハラハラ感が続く。

    女艦長もいいんだが、海の男たちもいいなあ。

    前巻当初からの仕込みも綺麗に回収できたし、エピローグがちょっと長いかなと思ったが満足。

    いやでも、人間関係ってどこでも大変ですわ。

  • 相変わらず海自も呉もよく分からん(・_・?)でもそれが気にならないくらいに、体験航海へ出てからは次々に試練(?)が…(´д`ι)ドキドキハラハラ
    それを乗り越えいく早乙女艦長o(T◇T o)何か持ってるわね(゚∀゚;)次はいったい何が起こるんだろう?(・・;)

  • 普通ここまで立て続けにトラブルが起きることは無いと思いますが、起きてしまいましたねぇ。体験航海中のトラブル。航空機遭難の発生。そして、体験航海参加者の急病。いやぁ、普通、重ならないよね。

    あらすじに書いていませんが、もう一つ、興味深い事。トラブル解決に際し、海上保安庁との協力も描かれています。海上自衛隊と海上保安庁。似て非なる海の安全を守る二つの組織ですが、その成り立ちもあって、ライバル関係にあるともいわれます。規模的には海上自衛隊の方が、はるかに大きいんですけどね。この二つが協力し合うシーンは、なんか心打たれてしまいました。

    このシリーズ。面白いです。次巻が早く読みたいです。

  • 面白くなるのは3章から。
    体験航海中に不時着機の遭難信号。更に急病人。艦長どうする?

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著者プロフィール

1971(昭和46)年、神奈川県生まれ。1994(平成6)年、明治大学文学部を卒業し、海上自衛隊幹部候補生学校入校。任官後、練習艦「かしま」に乗り組み、女性自衛官として初めて遠洋練習航海に参加。練習艦「みねぐも」勤務後、退職。2014(平成26)年、ゴールデン・エレファント賞大賞を受賞した『ウェーブ~小菅千春三尉の航海日誌~』(枻出版社)にて時武ぼたんとして小説家デビュー。体験記『就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生』『就職先は海上自衛隊 文系女子大生の逆襲篇』(いずれも潮書房光人新社)を上梓。その後、筆名を時武里帆に改め、小説『護衛徴あおぎり艦長 早乙女碧』『試練 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』(いずれも新潮文庫)、『大角先生よろず覚え書き』(ハヤカワ文文庫)を上梓する。

「2023年 『就職先は海上自衛隊 女性士官世界一周篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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