カゲロボ (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 29
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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101039619

作品紹介・あらすじ

人間そっくりのロボット「カゲロボ」が学校や会社、家庭に入り込み、いじめや虐待を監視している――そんな都市伝説に沸く教室で、カゲロボと噂される女子がいた。彼女に話しかけた冬は、ある秘密を打ち明けられ……(「はだ」)。何者でもない自分の人生を、誰かが見守ってくれているのだとしたら。共に怒ってくれるとしたら。押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化

    作り話が本当になるとき 高山なおみ――木皿泉『カゲロボ』 | レビュー | Book Bang -ブックバン-(2019年4月号)
    https://www.bookbang.jp/review/article/565074

    「今月のプラチナ本」は、木皿 泉『カゲロボ』 | ダ・ヴィンチWeb(2019/5/13)
    https://ddnavi.com/review/535685/a/

    木皿泉 『カゲロボ』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/352431/

    カゲロボ 木皿 泉(著/文) - 新潮社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784101039619

  • 本の後ろのあらすじを読んだ時点で、無理かなと思いつつ購入してしまった。案の定、私には無理な世界が広がるストーリーだった。

  • 通して読み終わった第一印象は「なんかよくわからんかったんだが」というもの。

    一周終わった後にうしろのあらすじを見たら「短編連作集」と書かれていたので「え、あの話は全部繋がってたってこと?確かにGが再登場したりしてたけど」と慌てて二周目を読んで、それでもいくつかの話に猫が登場してたくらいしかわからなくて、それにその猫も同じ猫かはわからなくて、つまりどの話にもロボット的なものが登場している世界観を指して「連作」とまとめているのかな、という解釈に落ち着きました。

    9話収録。

    ただ、単話で見た時にも雰囲気はいい話っぽいけど、けどちょっと煙に巻かれている感があるな、というのが率直な感想。

    以下、気になった話をば。

    《こえ》
    怪作としての存在感。学校でいじめられていた〈中島〉は「鉄の箱」(p118)となって教室へ帰ってきた。いじめ主犯の〈ツチヤ〉、お前が中島の世話をしろよな!ということで、ツチヤは中島を抱えて授業を受けたり修学旅行に行ったりとさーんざん!面倒くなっちゃったから京都に置いてっちゃえ!と思ったら女の子に中島を盗まれた!?どうなっちゃうのー?

    《ゆび》
    これまた怪作。終末医療病棟に入院することとなった六十五歳の〈有子〉。この病院は「患者のどんな望みもかなえてくれる」(p155)という定評がある。ならばと有子は、四十年以上も前に自分に電車内で痴漢を働いていた、顔も名前もわからない誰かさんに会いたい、という望みを頼むが…という奇妙奇天烈な話。これって優しい話なのか??


    うーん、全体的に読後感があまりスッキリしない。
    不思議で変な作品群ではあるのだけど戸惑いが強いかな。


    1刷
    2025.3.25

  • 友が選んでくれた本。表紙が可愛い。

    とても不思議な読了感。この感情はなんやろなぁ、と色んな方の感想を見ていたら「赦された」という言葉を見付けてとてもしっくりきた。

    ●「人が惨めなやつだと思っても、私がそう思わないかぎり傷つかない。傷つくのは、自分自身が惨めだと思ったときだけ」
    「自分を傷つけられるのは、自分だけよ」先生は、はっきりと自分に言い聞かせるようにそう言った。

  • 友人・知人に「この本どう?」って聞かれたら…
    「おもしろいよ。すごい感動するわけじゃないけど、短編9編で読みやすいし、ひとつふたつは印象に残るものがあるんじゃないかな」
    って、言います。

    「はだ」「あし」「こえ」など、身体に寄せたひらがな2文字がそれぞれの短編タイトルになっています。最初に目次見た時も面白いなーと思うけど、読後に見るとまた話を思い出しやすいのもいいですね。(これどんな話だっけ、と思うものもありますが)

    裏表紙の紹介文に「押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集」とあり、これを見て読んでみたのですが、私はそこまで感動しなかったですかね・・・。
    でもロボットに関連しつつもSFファンタジーすぎず、リアルな感じでよかったです。それぞれ独立した短編ですが同じ登場人物が出てきたりしてちょっとした伏線回収もあります。

    私は「めぇ」「こえ」「ゆび」が印象に残りました。
    「めぇ」は軽い気持ちで参加した単発バイトから混乱が起こる76歳友子の話、「こえ」は今日からこれが不登校の中島だと思えと言われ謎の箱の世話を任されるツチヤの話、「ゆび」は終末医療施設でOL時代の通勤時の痴漢に思いを馳せる65歳有子の話、です。
    中学生のミカの話「かお」がいちばんいい話だなーと思いましたが、私が後々に話を思い出す可能性があるのはインパクトの強い上記3編になりそうな気がします。

  • 何個かは違う章でも出ていた人物が大人になっている話もあった。全く関係ない短編集のようだけど実はとっても共通してる感じ。切ないようででもちゃんとあったかく終わる。ゆびみたいな自分の最期にはいれる施設があって会いたい人に会える体験したいことを体験できる場所があればいいなぁと思えた。

  • 人にはそれぞれ色んな傷がある。でも傷を抱えて生きていくのは辛い。そんな傷を抱えた主人公たちを、そっと見守ってくれている、カゲロボ。
    ある時は友人として、ある時は猫として、そしてある時は双子の姉妹として。。

    今の私に特段の傷はない(と思う)けれど、もし今後の人生で傷つくことがあったとしても、私には、自分を見守ってくれているカゲロボがいるんだ、と思うと、毎日頑張れるだろう。

    そして、短編集ながら、登場人物やカゲロボが、時代や場面を超えて再登場するのが、伏線として楽しめる。
    そんな一冊。

  • 世の中には誰かを見張るための人のなりすましたロボット「カゲロボ」がいる。いじめや社会の問題を監視するために存在すると言われている。それは人の形であったり、ネコだったり、場合によっては箱の場合もあり…。

    生活の中に入り込んで、いろいろな人を監視するための小さかったり大きかったりするロボットたちが、人々に能動的にではなく働きかけ、人の気持ちを変えていくというストーリー。

    足の先を切られたネコ、置いていかれた金魚、友達だという箱など、ロボットや機械などがこそっと入ってくる、まあショートショートなのかな?

    ただ、後半数本において、それまでの話のストーリーの登場人物を再度出そうとして、無理やり繋げているのは悪くないものの、途中からコンセプトにこだわりすぎて、ロボットの出現が取ってつけたような出現方法になっていく。

    全体に表紙の100%オレンジの絵に軽そうなタイトルだが、全体に重いというかくらい方向の話が多く、一部はホラー的な手触りも有る。また、むりやり純文学のような言葉選びをしているのも、普通にエンターテイメントに振ったほうが良かったんじゃないのかな。

    ダメだ、失敗作というものではなく、全体に印象が良いだけに、最後数作で尻すぼみになってしまったり、個々の作品も無理やりほんわか終わったりは気になった。もっと残酷でクールで良かったかも。

    でもまあ、なかなか良かったですよ、

  • 人間社会に紛れ込む、人間や動物そっくりの「カゲロボ」についての短編集。
    前半で出てきた人物が後半の話で繋がったり、アンドロイドのSF的な要素は面白かった。
    ひとつひとつの内容も読みやすかったが、不思議な内容ばかりで何が言いたいのか分かるようで分からなかった。

    「かお」が1番印象的で、切なく悲しかった。

  • ここにいるってこと
    肯定するお話

    現実と夢の境目は優しく
    それもほんの少しだけ良い方に天秤を傾けて

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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