カゲロボ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101039619

作品紹介・あらすじ

人間そっくりのロボット「カゲロボ」が学校や会社、家庭に入り込み、いじめや虐待を監視している――そんな都市伝説に沸く教室で、カゲロボと噂される女子がいた。彼女に話しかけた冬は、ある秘密を打ち明けられ……(「はだ」)。何者でもない自分の人生を、誰かが見守ってくれているのだとしたら。共に怒ってくれるとしたら。押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化

    作り話が本当になるとき 高山なおみ――木皿泉『カゲロボ』 | レビュー | Book Bang -ブックバン-(2019年4月号)
    https://www.bookbang.jp/review/article/565074

    「今月のプラチナ本」は、木皿 泉『カゲロボ』 | ダ・ヴィンチWeb(2019/5/13)
    https://ddnavi.com/review/535685/a/

    木皿泉 『カゲロボ』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/352431/

    カゲロボ 木皿 泉(著/文) - 新潮社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784101039619

  • 何個かは違う章でも出ていた人物が大人になっている話もあった。全く関係ない短編集のようだけど実はとっても共通してる感じ。切ないようででもちゃんとあったかく終わる。ゆびみたいな自分の最期にはいれる施設があって会いたい人に会える体験したいことを体験できる場所があればいいなぁと思えた。

  • 友人・知人に「この本どう?」って聞かれたら…
    「おもしろいよ。すごい感動するわけじゃないけど、短編9編で読みやすいし、ひとつふたつは印象に残るものがあるんじゃないかな」
    って、言います。

    「はだ」「あし」「こえ」など、身体に寄せたひらがな2文字がそれぞれの短編タイトルになっています。最初に目次見た時も面白いなーと思うけど、読後に見るとまた話を思い出しやすいのもいいですね。(これどんな話だっけ、と思うものもありますが)

    裏表紙の紹介文に「押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集」とあり、これを見て読んでみたのですが、私はそこまで感動しなかったですかね・・・。
    でもロボットに関連しつつもSFファンタジーすぎず、リアルな感じでよかったです。それぞれ独立した短編ですが同じ登場人物が出てきたりしてちょっとした伏線回収もあります。

    私は「めぇ」「こえ」「ゆび」が印象に残りました。
    「めぇ」は軽い気持ちで参加した単発バイトから混乱が起こる76歳友子の話、「こえ」は今日からこれが不登校の中島だと思えと言われ謎の箱の世話を任されるツチヤの話、「ゆび」は終末医療施設でOL時代の通勤時の痴漢に思いを馳せる65歳有子の話、です。
    中学生のミカの話「かお」がいちばんいい話だなーと思いましたが、私が後々に話を思い出す可能性があるのはインパクトの強い上記3編になりそうな気がします。

  • ふんわりと、もの悲しくて、現実味のない世界で、けっこう不幸なことが起き続けます。でも、ふんわりしてるから、やっぱり現実味がなく、そしてふんわりと救われるような…。それぞれの物語がゆるく繋がって、もしかするともう一度読んでみると、ふんわりではないストーリーが浮かび上がるのかも。

  • ねこの足切った時点で読むのやめた

  • 人にはそれぞれ色んな傷がある。でも傷を抱えて生きていくのは辛い。そんな傷を抱えた主人公たちを、そっと見守ってくれている、カゲロボ。
    ある時は友人として、ある時は猫として、そしてある時は双子の姉妹として。。

    今の私に特段の傷はない(と思う)けれど、もし今後の人生で傷つくことがあったとしても、私には、自分を見守ってくれているカゲロボがいるんだ、と思うと、毎日頑張れるだろう。

    そして、短編集ながら、登場人物やカゲロボが、時代や場面を超えて再登場するのが、伏線として楽しめる。
    そんな一冊。

  • 世の中には誰かを見張るための人のなりすましたロボット「カゲロボ」がいる。いじめや社会の問題を監視するために存在すると言われている。それは人の形であったり、ネコだったり、場合によっては箱の場合もあり…。

    生活の中に入り込んで、いろいろな人を監視するための小さかったり大きかったりするロボットたちが、人々に能動的にではなく働きかけ、人の気持ちを変えていくというストーリー。

    足の先を切られたネコ、置いていかれた金魚、友達だという箱など、ロボットや機械などがこそっと入ってくる、まあショートショートなのかな?

    ただ、後半数本において、それまでの話のストーリーの登場人物を再度出そうとして、無理やり繋げているのは悪くないものの、途中からコンセプトにこだわりすぎて、ロボットの出現が取ってつけたような出現方法になっていく。

    全体に表紙の100%オレンジの絵に軽そうなタイトルだが、全体に重いというかくらい方向の話が多く、一部はホラー的な手触りも有る。また、むりやり純文学のような言葉選びをしているのも、普通にエンターテイメントに振ったほうが良かったんじゃないのかな。

    ダメだ、失敗作というものではなく、全体に印象が良いだけに、最後数作で尻すぼみになってしまったり、個々の作品も無理やりほんわか終わったりは気になった。もっと残酷でクールで良かったかも。

    でもまあ、なかなか良かったですよ、

  • 「はだ」、「あし」、「めぇ」、「こえ」、「ゆび」、「かお」、「あせ」、「かげ」、「きず」の9編。それぞれのはなしは、少しずつ重なりあって、暗めで始まるものの、最後は未来に向かって光が差し込む。そんな、展開で、ついつい先へ先へと読み進んでしまう。そんな作品群です。

  • ー「ある」ことだけが大切なのではない。

    〈あらすじ〉
    人間と同じような姿形で、人間を見張っているらしい「カゲロボ」がどうもこの学校にもいる。都市伝説的な噂が流れ始め、カゲロボだと思われる女子が現れた。本当にカゲロボという存在はあるのか、そして日常を監視しているのか。「はだ」を含む9編から成る連作短編集。

    〈感想〉
    珍しく、全くはまらなかった1冊でした。
    木皿さんの、いい意味で力の抜けるような文章が好きなのですが、なんだか終始わけがわからない話で、だから何だろう、、、?とどの短編を読んでも思ってしまいました。唯一「かげ」は良かったかなあ。何かに秀でていることや、人よりも優れていることばかりに目が向いて、自分もそうありたいと思ってしまっていたけれど、そうじゃない、何かがあるわけではない日常もまた、自分に寄り添ってくれて、幸せなのだと感じられるということなんだろうなあ。
    SFな世界観に馴染めなかったのか、ピンとこなくて、なんだかとにかく不思議な読了感でした。

  • 不思議な話だった。SF?なのかな。「昨日のカレー、明日のパン」とは全く違う世界観に最初は戸惑ったけれど、内容がどれも奇想天外で先が知りたくてサクサク読めた。
    最初と最後の繋がりは良かったな。
    カゲロボ、誰かか自分を見ていてくれる。それはやっぱり勇気づけられ、いい事なのかなぁと思った。

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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