オルタネート (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年6月26日発売)
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  • 本 ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101040233

作品紹介・あらすじ

高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」が必須の現代。料理コンテストでの失敗に悩む調理部部長の蓉(いるる)は、再びの挑戦を決断。高校を辞め居場所を探す尚志(なおし)は、音楽家らのシェアハウスに潜り込む。オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、アプリが導く運命の相手を探す。そして文化祭の初日、三人それぞれに起こる奇跡――。10代の過酷さと煌めきを鮮やかに切り取る、青春小説の新たなマスターピース。

感想・レビュー・書評

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  • 加藤シゲアキという人がアイドルだということを、巻末の「解説」を読んで初めて知った。そもそも作家としても実は全く知らなかった。本書が書店に山積みにされているのを見て、思わず手に取ってしまったのだ。本屋にはこういう出会いがある。

    もうすでに多くの人が読了しておられるだろうが、タイトルの「オルタネート」とは、高校生限定のマッチングアプリ。架空のものです。念のため。現実世界にこんなものがあったなら、生きにくくて仕方なかろう。とはいえ、私がこの世界の高校生だったなら、嫌だなと思いつつ、同調圧力に屈しまくって、何となく使っていることだろう。

    このアプリを軸に、本書の登場人物たちの青春が描かれる。それがまた瑞々しくて、純粋に物語世界に没入できた。

    意図的なのか、アプリの運営会社のことは作中に詳しく述べられていない。爽やかな青春ものにあって、それがやや不気味である。運命って何というところを、もっと突っ込んで書く余地はあったのではないかなと思う。続編とか予定があるのかな。

    二足の草鞋を見事に履きこなす、凄い才能だなと思う。もし事前にタレントとしての加藤さんのことを知っていたら、本書は手に取らなかったかもなと思う。反省。きっと彼はそういう偏見とも闘ってきたのだろう。注目していこう。

  • 高校生って俗的な面ばかり切り取られがちだけど
    その瞬間を自分なりにありのまま生きてる
    登場人物がみんなまっすぐで正直で愛らしくて
    青春の場面ひとつひとつがまぶしい

  • 青春を謳歌している登場人物たちがキラキラしてて眩しかった。何かに熱中できる人はやはりかっこいいし羨ましい。読みやすくて学生にもオススメ。

    3つのお話が同時並行で進み、オルタネートを通じて1つに繋がっていくストーリー。文章が読みやすくて最初から世界観に引き摺り込まれました。まるで彼、彼女らの高校生活を擬似体験していたかの様。

    オルタネートは今で言うインスタとマッチングアプリを合わせたようなイメージかな。実際、プライバシー筒抜けなのは怖いけどちょっと面白そうだな。

  • 高校生の瑞々しい青春小説という感じで、爽やかではあるものの、3人の登場人物についての群像劇だったので、視点がコロコロ変わって個人的には少し読みにくかったように感じました。

    テーマが高校生限定のマッチングアプリが広まった世界ということで、恋愛メインなのかなと思ってましたが、料理コンテストとか文化祭のバンドとか割と青春詰め込みパック的な感じでした。

  • SNSの話と始まる。おじさん苦手だなー、ついていけるかな、と思っていたが面白い。読める。
    気になる相手へのアプローチのツールが変わっただけだ。黒電話からケータイ、SNSへと変化はあっても後書きにもあったが、10代の感性は自分の頃から何も変わってないんじゃないかな。シンプルでドキドキです。

    と思いつつも、架空のSNSだし人名が中々珍しく、容、えみく、凪津、タラオカ、等難しいものが並ぶ。本当は異世界とかのSFものなのかとも勘ぐってしまった。初読みの作家さんなので普段からこんなんなのかな。

    料理対決では時間に迫られハラハラし、SNS全盛でも気持ちのすれ違いもある。三人の主人公が苦悩にも共感できる。世代は違っても追体験でき楽しめた。

    最近、意図せず恋愛ものを読んでいるせいか、受け付けないと思っていた恋愛小説が楽しめるようになってきた。

  • SNS時代の青春小説。
    大人も、登場人物と同世代の人も染みる作品。

    3人の主人公それぞれがSNS『オルタネート』を「信仰してる」「やらなくても良い」「やりたいのに出来ない」状況から経験・成長していく姿を描く。
    SNSが普及している今、ぜひとも世代ドンピシャの若い人たちに勧めたい!
    部活・人間関係・恋愛…悩みの種は尽きないし、学生生活も山あり谷あり。
    だけど、いつか光は見えると背中を押してくれるのが本作だと思います。

    上の世代は青春を追体験するようで面白いかもしれない。
    若い頃の不器用さに痛みを感じるけれど、客観的に学生時代を見ているようで。。
    「自分もちょっとは大人になったのかな〜」と思う(笑)

    解説で重松清さんが引用されていた加藤氏のインタビュー。
    「読む手が止まらない、という読書の楽しさを感じてもらえれば…」
    しっかり感じ取りました。

  • 濃厚…というより重厚。
    …な青春群像劇といった感じ。
    こんな青春やってみたかったなぁ…w

    遺伝子で相性を良い相手決めるとか『ガンダムSEED DESTINY』のデスティニープラン思い出したw(アニメネタw)

  • とても読みやすい。

    各主人公達が成長していく様が良かったです。

    息子世代(高校生)の子に勧めたい。

  • 感動してウルッと。。。
    文学賞はジャ○ーズに忖度しないだろうと、文庫化を機に手に取った。

    『オルタネート』とは近未来アプリの名。
    高校生限定のSNSで、本名・生徒手帳の登録も義務化。退学や卒業同時に退会する仕組み。マッチングを目的として利用している子も多い。

    オルタネートを敢えてやらない子・崇拝者・やりたくても出来なくなった子と三者視点で描かれて、オルタネートに翻弄されている。

    ン10年前に通ってきた時代が、甘く切なく、懐かしく胸に甦る。作者を色眼鏡で見てはいけなかった、みずみずしく素晴らしい

  • 高校生限定のSNSを絡めて描かれた青春群像劇。3人の高校生が主人公となりそれぞれの夢や恋愛、人間関係等が展開されている。前半は細々とした設定が描かれているせいか、頁をめくる手が重かった。けれど、後半は変な力が入らずに青春だなぁと思える展開で一気に読めた。
    特に蓉と三浦くんの料理対決の辺りからおもしろくなってきたかな。
    SNSの使い方も良し悪しあるけれど、凪津の使い方ってどうなんだろうと思っちゃいました。世代が違うからかな。遺伝子レベルでのマッチングには興味はあるけど、ちょっと怖いな…

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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