- 本 ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101041216
作品紹介・あらすじ
もしかして、ものすごい新種を見つけてしまったのでは!? 大雪の山だろうと激流の川だろうと、私はひたすら突き進む。そこに虫がいる限り――。チョウやカブトムシばかりが昆虫ではない。〝化学兵器〟を搭載したゴミムシ、集団行動により最強の生物となったアリ、メスにプレゼントを贈るクモなど身近にいる虫たちの驚きの秘密を「南方熊楠の再来?」と注目される気鋭の学者が軽快に解き明かす。
感想・レビュー・書評
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昆虫学者に分類学者、その道を究めている人たちって本当に尊敬します。新種の章がすごく興味深く、パリの博物館まで標本を見に行くとか、許可があれば郵送で借りることもできるとか、それも専門家として業績をあげて先方からの信用を得なければならないとか。図鑑に載ってる昆虫さんたちの生態等、先人や今なお研究に励んでくださっている方たちのただならぬ熱意と執念の塊なんだなと思いました。私もカラスと仲良くなったりケンカ(著者のはもっと壮絶)をしてみたい!カエルと合唱なんて、唄の世界だけの話しだと思っていたら、現実にやっている人がいるなんて!
“自然を大切に“の根拠のような本だと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生のころ、夏休みにカブトやクワガタ、セミを採るのに熱中した時期はあったが、いつの間にかその熱は冷めてしまった。多くの人はそんなものだと思う。しかし、著者がすごいと思うのは、虫を発見、収集すべく、極寒の夜中に何時間も待ち受けたり、交通の不便なところや海外の危ないところにまで出向いたりと、その辛さを嘆きつつも、実に楽しそうに虫を探しているところ。一つのことに熱中するというのは本当にすごい。
確かに本書の口絵写真を見ると、美しいなとかすごいなと思えるような昆虫もいるが、紹介されているように何ミリしかないようなムシを一生懸命探すというのはやはり相当に好きでなければできないことだ。著者は昆虫学者であるから専門の研究分野の昆虫がいる訳だが(アリの巣のなかに一緒に住むアリヅカコオロギらしい)、その狭い範囲だけでないのがすごい。
そして、今までほとんど聞いたことのない昆虫の生態や、見つけ方、採取方法のノウハウ(?)を詳しく教えてもらえる。
おそらく世の中からはちょっと変わった人と受け取られているのだろうが、自らの好きだと思う道を進んでいく著者の生き方は素敵だ。
新潮文庫からは鳥類学者の川上和人さんの本も刊行されているが、特殊な分野のことを一般読者にも読みやすく、面白く書いてもらえるのは本当にありがたい。 -
昆虫の生態に関する記述を通して、「人間もまた生物の一種である」という視点を意識させられた。
メスがフェロモンを放出してオスを呼び寄せる場面で、「人間のオスも同じように、知らぬ間に“呼び寄せられている”のかもしれない」と気づかされる。なのに、オスは自分の魅力でメスを引き寄せていると思い込んでいる様子に滑稽さを感じた。
昆虫の話を面白く感じられるのは、それぞれの生態に込められた「エッセンス」があるからであり、自分の仕事の話もこうした視点で丁寧に切り取って積み上げていけば、面白く語れるのではないかとも感じた。
昆虫の「暗いところが好き」「湿ったところが心地いい」といった、生まれ持った性質に従って生きる姿に、人間もまた自分の性質や環境に適応しながら生きていると思い起こさせられた。
昆虫の多様な生き方、自分自身の生き方、比べてみると面白い。そんな読書。 -
虫の知識と採集や研究の苦労話のバランスがすごく良くて読みたかったのはこれだー!ってなった
語り口も軽妙だけど軽すぎずでこれも読んでて心地良い
カラスの話が一番おもしろかった(虫は!?) -
まさに生き方!昆虫の世界は全く知らないことだらけですが、興味深く読むことができました。
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研究者がどんな考えを持っているのかを探れる本。そういう意味でとても興味深かった。
出てくる昆虫は正直知らなかったが、ものすごく昆虫が好きというわけでなくても楽しめる。 -
昆虫学者の昆虫のエッセイ。ゴミムシの話や蟻塚コオロギの話は面白い。昆虫を探す苦労などよくわかった。
著者プロフィール
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