昆虫学者はやめられない (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年6月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784101041216

作品紹介・あらすじ

もしかして、ものすごい新種を見つけてしまったのでは!? 大雪の山だろうと激流の川だろうと、私はひたすら突き進む。そこに虫がいる限り――。チョウやカブトムシばかりが昆虫ではない。〝化学兵器〟を搭載したゴミムシ、集団行動により最強の生物となったアリ、メスにプレゼントを贈るクモなど身近にいる虫たちの驚きの秘密を「南方熊楠の再来?」と注目される気鋭の学者が軽快に解き明かす。

みんなの感想まとめ

昆虫の魅力と不思議に満ちた世界を、著者が軽快な筆致で描く本書は、昆虫学者としての情熱や探求心が詰まっています。著者は極寒の夜や交通の不便な場所でも虫を探し続け、その姿勢は多くの読者に感動を与えます。新...

感想・レビュー・書評

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  • 蜻蛉の幼虫を研究していらっしゃるので
    車の中には網、バケツ、パッド、胴長靴、
    その他一式をいつも用意されておられる
    虫博士の友だち、
    野山の道を歩く、それもじっくり観て歩かれる
    ので、1メートルを30分は優にかけた観察者になってしまう森の案内人、
    そんな素敵な方たちと友達付き合いをしていると
    自ずとこの手のタイトルがついた本には手が出てしまう。
    そんな友だちに教えてもらったのは
    この世の中は不思議に満ち溢れているぞ、
    と言うこと。
    小松貴さんの周りにいらしゃる方たちも
    きっと このことには同意してくださる
    と思います。

    そうそう、最後の「この裏山の片隅で」の中で小松さんがそこにいるはずの無いシマリスのエピソードを綴っておられるのだが、これと同じことを「コウノトリ」のことに重ねて思ってしまうのは私だけでしょうか。

  • 昆虫学者に分類学者、その道を究めている人たちって本当に尊敬します。新種の章がすごく興味深く、パリの博物館まで標本を見に行くとか、許可があれば郵送で借りることもできるとか、それも専門家として業績をあげて先方からの信用を得なければならないとか。図鑑に載ってる昆虫さんたちの生態等、先人や今なお研究に励んでくださっている方たちのただならぬ熱意と執念の塊なんだなと思いました。私もカラスと仲良くなったりケンカ(著者のはもっと壮絶)をしてみたい!カエルと合唱なんて、唄の世界だけの話しだと思っていたら、現実にやっている人がいるなんて!
    “自然を大切に“の根拠のような本だと思いました。

  •  小学生のころ、夏休みにカブトやクワガタ、セミを採るのに熱中した時期はあったが、いつの間にかその熱は冷めてしまった。多くの人はそんなものだと思う。しかし、著者がすごいと思うのは、虫を発見、収集すべく、極寒の夜中に何時間も待ち受けたり、交通の不便なところや海外の危ないところにまで出向いたりと、その辛さを嘆きつつも、実に楽しそうに虫を探しているところ。一つのことに熱中するというのは本当にすごい。

     確かに本書の口絵写真を見ると、美しいなとかすごいなと思えるような昆虫もいるが、紹介されているように何ミリしかないようなムシを一生懸命探すというのはやはり相当に好きでなければできないことだ。著者は昆虫学者であるから専門の研究分野の昆虫がいる訳だが(アリの巣のなかに一緒に住むアリヅカコオロギらしい)、その狭い範囲だけでないのがすごい。
     そして、今までほとんど聞いたことのない昆虫の生態や、見つけ方、採取方法のノウハウ(?)を詳しく教えてもらえる。

     おそらく世の中からはちょっと変わった人と受け取られているのだろうが、自らの好きだと思う道を進んでいく著者の生き方は素敵だ。 

     
     新潮文庫からは鳥類学者の川上和人さんの本も刊行されているが、特殊な分野のことを一般読者にも読みやすく、面白く書いてもらえるのは本当にありがたい。

  • わくわくする本だった。
    自分が小さい頃に思い描いていた昆虫学者の姿を体現したような好奇心と行動力に満ちた体験談は非常に面白かった。一学者としては、外来種を持ち込んだ過去の人を非難し、駆除すべき対象だと言う考えに至ることは自然だが、かと言って目の前の命を奪うことができないというジレンマは自分も何度も感じたことがある。虫取りやバードウォッチングをしている中で、人間の営みの悪影響を感じることは多分にあるが、今の自分の生活がそういった人間活動に支えられていることは分かっている。自然を真に愛している人はそういった幾つものジレンマに気づくものだと思う。そんな中で自分なりの「自然」との付き合い方を見つけていくのは自然を愛する誰もが通る道だと思う。
    彼の生き方をエッセイの中で垣間見ていると、自分を突き動かす一番の原動力はいつまでも好奇心でありたいし、自分にはそれができそうだと思っている。著者の生き方は憧れる生き方の一つだと思った。

  • 小松先生の本は、読みやすくて笑ってしまうくらい面白い。昆虫学者の面白さ、生物の楽しさが紹介されており、この本を読んでから今までの日常がさらに楽しいものとなった。

  • 昆虫の生態に関する記述を通して、「人間もまた生物の一種である」という視点を意識させられた。
    メスがフェロモンを放出してオスを呼び寄せる場面で、「人間のオスも同じように、知らぬ間に“呼び寄せられている”のかもしれない」と気づかされる。なのに、オスは自分の魅力でメスを引き寄せていると思い込んでいる様子に滑稽さを感じた。

    昆虫の話を面白く感じられるのは、それぞれの生態に込められた「エッセンス」があるからであり、自分の仕事の話もこうした視点で丁寧に切り取って積み上げていけば、面白く語れるのではないかとも感じた。

    昆虫の「暗いところが好き」「湿ったところが心地いい」といった、生まれ持った性質に従って生きる姿に、人間もまた自分の性質や環境に適応しながら生きていると思い起こさせられた。

    昆虫の多様な生き方、自分自身の生き方、比べてみると面白い。そんな読書。

  • 虫の知識と採集や研究の苦労話のバランスがすごく良くて読みたかったのはこれだー!ってなった
    語り口も軽妙だけど軽すぎずでこれも読んでて心地良い
    カラスの話が一番おもしろかった(虫は!?)

  • まさに生き方!昆虫の世界は全く知らないことだらけですが、興味深く読むことができました。

  • 研究者がどんな考えを持っているのかを探れる本。そういう意味でとても興味深かった。
    出てくる昆虫は正直知らなかったが、ものすごく昆虫が好きというわけでなくても楽しめる。

  • 昆虫学者の昆虫のエッセイ。ゴミムシの話や蟻塚コオロギの話は面白い。昆虫を探す苦労などよくわかった。

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著者プロフィール

九州大学 熱帯農学研究センター 博士研究員。
信州大学 大学院 総合工学系研究科 山岳地域環境科学専攻 博士課程修了。 博士(理学)。
著書に『裏山の奇人――野にたゆたう博物学』『アリの巣の生きもの図鑑』(共著)(ともに東海大学出版部)など。

「2016年 『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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