小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 922
レビュー : 109
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101042046

感想・レビュー・書評

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  • 『君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春が微笑めよかし…僕はただそう心から祈る』


    高校のときに授業で扱って、これがずっと頭の片隅においてあった。だから、読んでみようと決心して読んでみたけれど、薄い文庫本にもかかわらず、すごく読みづらかった。

    有島本人ぽい「青年」と、絵の才能がありながらも、貧困というやむをえない事情で漁師として逞しくもときに悩ましげに生きていく「君」の話。

    ただ、漁師の生活の場面が描かれているときに、これは、どのくらいリアリティがあるんだろう、とふと考えてしまった。というか、考えてしまうくらい、リアリティが若干欠けている気がした。

    「小さきものへ」はすごく読みやすくて、愛情に溢れてる文章ですごく読んでいて、幸福な気分になれた。親から子へ受け継がれていく愛っていいなぁと、少し、胸にぐっときた。

  • 090114(m 090429)

  • あ-2-4

  • 妻が11月に出産を控えています。
    あまり実感はありませんが、最近名前を考えながら、いろいろ思慮を巡らせることたびたびです。
    昔に読んだ、本作品をもう一度読み返してしまいました。

    ●「お前たちは遠慮なく私を踏台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。然しながらお前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、或はいたかという事実は、永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ」

    有島武郎には3人の子どもがいたそうです。
    それは、3人の息子をもつ私の両親も同じことです。
    最初に読んだ時は、真っ先に私の両親の気持ちを考え、感動したものですが、今読めば、これから子供ができる自分に投影してしまいます。

    生まれてくる子どもには、目一杯愛情を捧げたいと思います。

    そして最終部。
    ●「小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。然し怖れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ」

    私も、子どもには色々なことを教えたいです。

  • マイファースト有島武郎。
    心の優しい人じゃないと書けない文章だなと思いました。
    それも男の優しさですよ。
    強さや押しのない、繊細な優しさなの。

    「行け、勇んで。小さき者よ」
    なんて、子どもに言い残す父に、私は強さや包容力を感じない。
    なんだか敗北した人間の捨て台詞みたい。

  • この人の文体は馴染み易かった。
    時々、思いもよらない表現があってさすが作家さんだな〜って感じ。
    >>私は鋭敏に自分の魯鈍を見貫き、大胆に自分の小心を認め、労役して自分の無能力さを体験した

    どちらもの作品も終わり方が好き☆”
    <小さき者へ>
    前途は遠い。そして暗い。
    然し恐れてはならぬ。恐れないものの前に道は開ける。
    行け。勇んで。小さき者よ。
    <生まれ出づる悩み>
    君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。
    君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春が微笑めよかし…
    僕はただそう心から祈る。

    ”君”がもってる才能は別として、自分が置かれてる状況と似てるから”君”の気持ちがよく分かる。
    そんな”君”も得られなかったからこそ、得られたものがきっとあると思う。
    人間そんな不平等ってわけでもない気がする。。。

  • 2007 12/31

  • 特に「生れ出づる悩み」がよかった。
    ”君”という三人称文体が内容とマッチしていて、自然に読めた。
    貧困ゆえの厳しい労働と芸術への欲の間で激しく生を削ってゆく主人公。
    何事もなく大学にいって好きなことが出来ている自分は幸せ者だぁとつくづく感じました。

  • 生まれ〜の青年が好き

  • 病死した最愛の妻が残した小さき子らに、歴史の未来をたくそうとする慈愛に満ちた「小さき者へ」に「生れ出づる悩み」を併録する。

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