MISSING 失われているもの (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年9月28日発売)
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本 ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784101042619

作品紹介・あらすじ

猫から「あの女を捜すんだ」と言われた小説家の「わたし」。女の正体は、若き女優・真理子だった。彼女とともに「過去へ向かう電車」に乗り込むと、驚きの変化が。そして、真理子との再会をきっかけに、かつての自分を見つめる「母」の声が聞こえるようになり……シェパードの子犬、日曜日の図書室、中学生の時の作文、デビュー作となった小説。作家としての自らのルーツへと迫る、傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読んだ村上龍の小説!

    ・同じ苗字の同じ時代を生きた小説家にテイストが似ているような気がした
    ・作者の話なのか?何処までが本当の話?と答え合わせをしたくなる
    ・作者の過去作の一行目に作中で出会った時、なんだか嬉しかった
    ・不思議な国のアリスの主人公をおじさんにしたらこんな感じ!
    ・母親の朝鮮半島に住んでいた時の話が面白かった



    猫が急に喋り出す!?
    若き女優と再開し、電車に乗って昔通っていた店に向かう!?
    主人公は奇妙な世界に迷い込んでしまい、自分の世界と現実の狭間で自分の過去と精神を振り返る・・・

    荒唐無稽で秩序のある物語

  • 主人公のしつこい状況確認が、
    不安に対して強迫的になるのは理解できるが、
    まー、しつこくて白けてくる。

    しかしこの白ける感覚は、
    ごくごく個人的な内的世界と物語の再構成に、
    強引に巻き込まれているから、
    当然といえるのではないだろうか。

    それにしても、
    村上龍作品に私が期待するものとは違ったという意味で、
    あまりおもしろとは言い難く、
    それでも村上龍らしくもあって、
    なんとも言えん。

  • 途中で断念
    いつか再挑戦したいです
    夢と現実の境界がよくわからんくなる作品

  • 最初は、どんな小説なんだろうと展開が読めなかった。

    途中、心理的な精神や心療内科とのやりとり。キーポイントとなる母親との妄想のようなやりとり。

    読んでいて、先日読んだ、カズオイシグロのわたしを離さないでに似たような回想録。

    読むのに1ヶ月半かかったが、文体もシンプルで無駄がない。村上龍が幻想小説のようなものになる予定だったとあるように、現代の心理、精神の科学的な読めない現象みたいなものを表した作品であっただろう。

    母親との長いやりとりは、くどくもなく、完成度は高いものではなかろうか。

  • 夢のまどろみの中にいるような気分になる。3本の光の束、花、母、エスカレーター、廊下、ライト、等々……印象的で不可解なものがたくさん出てくる。それが何のメタファーなのか、何なのか、ずっと考えながら読み進めた。

    精神科医とのやりとりが唯一はっきり(?)分かる【現実】なのだろうか……。

    300弱ページにて。『ユーチューバー』にも書かれてあった【家具デザイナー】が、ここでも出てきていたことに驚いた。家具デザイナーの彼女への後悔の念。水色のレインコート。そして「色々な人と出会うよ」と言われ、色々な人に会ってきた、というエピソード。そっくりそのままだった。

    村上龍さんの心の芯の方に存在する、大事な思い出なのだろうか……。2冊にわたって、同じ人への想い(妄想)を見つけて、切なくなった。

    シェルブールの雨傘。この映画を見たことはないが、この言葉がある事で作品自体の雰囲気に何か湿った美しさが漂う。

    「階段を上りきると、濡れた路地に出た」この本で一番好きな一節。

    カタルシス、理解できる展開、伏線、ましてや共感すらもあまりないかも。アートのような、一冊だった。

  • つまらない。海外旅行に同行できる若い女優、定宿のホテルと高級バーレストラン。すべてがナルシシズムへのお付き合い。

  • 酔う

  • 解釈

    何かを失ったと気づいた主人公が思い入れのあるレストランで出会った真理子に連れられ「過去に行く列車」に乗った、が実際にはそのレストランは潰れている。到着すると外套を着ていたり既に死んだ人がいる過去にいた(主人公は曖昧に認識してる)そこから亜空間のような所に入り、母親の声で主人公が知ってる過去や知らない過去を話し始め、これは自分の意識の信号だと認識し、暫く夢と現実の狭間で何が夢で何が現実か分からない状況となり、そこに真理子が来てもう一度レストランへ。そこに父親がいて主人公が父親の死に目に聞き取れなかった言葉を聞きたいかと迫ってきたが「もういい」と背を向け母の助言のおかげぇ「この世」に帰ってこれた?
    時系列が分かりにくいのは主人公が夢と現実の狭間(あの世とこの世)にいることを追体験させるためなのか?

    考察
    精神科医が断固として主人公の精神病を認めないのは実は主人公は統合失調症で認めさせると妄想をさらに真実だと思い込んでしまい危険だから認めなかったのかな。精神科医は50代から統合失調症を発症することはないと言っていたが、割合が低いだけ
    感想
    幻想的なことが起こったと思ったら主人公がそれを現実的に解釈したりと、幻想と現実の狭間で読んでる感じふりきれなかった、それがテーマなんだろうけども。

  •  前は長編小説は全部読んでいたのだけど、『オールドテロリスト』を読んだのが2019年でそれ以来だ。同じような描写が繰り返されて展開にとぼしくて読むのがしんどい。これは失敗ではないかと思っていたらお母さんが出てきたあたりから、私小説的な展開となって面白くなる。創作の根本について多く語られる。

     たしか『コインロッカーベイビーズ』で「常に最悪を想定する」と語られて、なるほどと納得して自分の信条のようにしてきたのだけど、この小説では「常に最悪を想定しているとリラックスできなくて心を病む」というようなことが書かれていてショックだ。30年くらいそうしていた。

  • 意味わかんない!

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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