月桃夜 新装版 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年11月28日発売)
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本棚登録 : 149
感想 : 7
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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101043524

作品紹介・あらすじ

薩摩の支配下にあった奄美。孤児のフィエクサは、父を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。砂糖作りに従事する奴隷のような身分の二人だが、フィエクサは碁を習い才覚を発揮、サネンは美しい娘に成長する。しかしサネンが薩摩の役人から妾に所望され、過酷な運命が動き出すーー。濃厚な花の匂いの中、無慈悲な神に裁かれる禁断の絆。魔術的な魅力に満ちたファンタジーノベル大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年第21回日本ファンタジーノベル大賞
    そして、遠田さんのデビュー作

    薩摩の支配下にあった江戸時代の奄美
    その階級社会最下層の少年と少女
    現代の奄美の海上を カヤックで漂流する少女
    その兄との生死を彷徨う事故と病気

    奄美の伝説が元にはあるようです
    ファンタジーであり
    歴史物であって
    兄弟の物語になっています
    そして 兄達は過ちを犯す

    デビュー作とは思えない物語の幅の広さです
    私には この両方の兄達の頑なさが
    憐れから 穢れへと移りゆく事が苦しかった

    • yukimisakeさん
      おお!凄い!
      床で気絶を何回かしてしまいまして(着てました)多分そのせいですねー。
      ママ活お待ちしております(*゚∀゚*)裸エプロンでまた風...
      おお!凄い!
      床で気絶を何回かしてしまいまして(着てました)多分そのせいですねー。
      ママ活お待ちしております(*゚∀゚*)裸エプロンでまた風邪引いてもおびのりさんのお粥があれば…笑

      ショートケーキ読みたいー!!!
      2024/12/19
    • おびのりさん
      BLですと、たびたび ゴミ置き場に
      イケメンが寝てますね
      現実的には 国宝級が寝てたとしても
      逃げるか 警察に通報ですよね
      異世界転生者なら...
      BLですと、たびたび ゴミ置き場に
      イケメンが寝てますね
      現実的には 国宝級が寝てたとしても
      逃げるか 警察に通報ですよね
      異世界転生者なら 可愛がってみますか

      ゆっきー、うちの近くに落ちてる場合は
      わかるように名札してね
      2024/12/19
    • 1Q84O1さん
      嫁子にBL読んでるのバレるとしらーっとした目で見られるかも(ー_ー)
      みんみんさんのお勧めを読むときがあれば、バレないようにブックカバーが必...
      嫁子にBL読んでるのバレるとしらーっとした目で見られるかも(ー_ー)
      みんみんさんのお勧めを読むときがあれば、バレないようにブックカバーが必須です!w
      2024/12/19
  • 好きな作家、遠田潤子のデビュー作。現代の海のはなしと江戸時代の奄美の鳥のはなしで構成されたファンタジー。「これがデビュー作か⁈」というくらい、素晴らしい秀作だ。
    奄美の暗く、希望のない生活。囲碁という希望。禁断の愛に山の神、悪神。不思議な空気感と蜃気楼のように進む話。絶望で終わることなく、最後に前に進む道標を示す。
    「この世の終わりで、また」

  • こんなにも甘さのない愛の物語があろうとは・・・。
    フィエクサとサネンの間にあるのは、愛とか恋とかいうより野性的な"ほしい、渡したくない"という原初の欲に思える。きびしい、絶望的な境遇の中では豊かな感情をともなう愛など、育みようがないのではないか。
    そう思ってしまうと、この世の終わりが来るのを"希望"として待っているフィエクサの姿には、こわれてしまった哀しさしかみえない・・・。

    と、まあ2人の関係性については今ひとつしっくり来なかったけれど。
    砂糖を作らされ続けるヤンチュ、ヒザという身分の境遇、針突や碁への想い、山の恵みときびしさなど、隔絶された島でのことがゆたかに描き出されていて、夢中になって読んだ。
    全く知らない歴史の一部分だったということも興味をひいたし、短く挟まれる現代パートにおいて、鷲が語るお話――という形になっているので、箱を除くような感覚だった。制度など史実を含むことを考えれば、きっとフィエクサとサネン、ミヤソたちのような少年少女もたくさんいたのだろう。苦しくやるせない気持ちが湧いてくる一方で、物語としての面白さもあるという、絶妙なバランスだった。

  • 遠田潤子『月桃夜』新潮文庫。

    第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作にして、デビュー作。新潮文庫nexから刊行された作品を加筆修正したようだ。

    やはり、遠田潤子にはファンタジー小説は似合わない。遠田潤子の小説なら『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』などハードな小説の方が断然面白い。

    薩摩の支配下にあった奄美で孤児のフィエクサは父親を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。二人は砂糖黍から砂糖を作る奴隷のようなヤンチェという身分だった。

    やがて、フィエクサは囲碁を習い、その才能を開花させる。一方のサネンは美しい娘に成長し、薩摩の役人から妾になることを要求される。

    二人を待ち受ける過酷な運命……

    本体価格670円
    ★★★

  • 本書は2009年の第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作にして、遠田さんのデビュー作でもある。単行本→新潮文庫nexに収められたのち、今回の再文庫化に伴い加筆修正されたそうだ。初読なのでどのように変わったのかは不明だ。
    遠田さんの原点がファンタジーだったのは意外だが、結構が違うだけで本質は紛れもない“遠田ワールド”だった。奄美大島を舞台に、債務奴隷として人間以下の扱いを受ける兄妹の過酷な生を描く。同じような兄妹の絆に悩む現代女性のパートと交互に展開する重層的な物語だった。

  • 個人的にとても好きだった。
    ——濃く、そして哀切だ。
    解説にそうある通りの印象。
    結構狂気的な部分も感じるけれど、そこがよかった。
    久しぶりに、ずるりと引きずりこまれたな、という感覚。

  • ファンタジーノベル賞を受賞したデビュー作。
    山の神のシーンなど、「ドライブインまほろば」にどこか似通った雰囲気もありながら、さらにファンタジックだ。
    薩摩藩の支配下で砂糖を精製する奄美の島で、ヤンチュと呼ばれる奴隷の兄妹が成長していく物語。将来を悲観せずにいられないヤンチュの運命に鬱屈した思いを抱えながら、血のつながらない兄と妹がお互いの存在だけに幸福を見出していく。
    やっぱりファンタジーは物語に没頭するまでに時間がかかる。奄美の歴史や風土は興味深かったが、ほかの手法で読みたかった。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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