国道16号線 「日本」を創った道 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年4月26日発売)
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本 ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101045610

作品紹介・あらすじ

横須賀から、横浜、町田、八王子、川越、柏などを経て木更津まで。東京をぐるりと囲む16号線エリア。約1100万人が住む一大経済圏である。旧石器時代から人々が集まり、二つの幕府の礎となった。絹の輸出で近代国家を支え、戦後はユーミンをはじめ新たな才能がここで育まれる。子供たちも増加し、未来へつながる道となった16号線、その秘密とは。胸躍る、新・日本文明論。

感想・レビュー・書評

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  •  自動車で走らないので、国道16号線と言われても正直のところあまりピンとは来ない。それは東京の中心部からほぼ30キロ外側、三浦半島の付け根の神奈川県横須賀市から横浜まで東京湾の海辺を走り、内陸部に向かい、町田、八王子、福生を抜け、埼玉県入間、狭山、川越、さいたま、春日部、千葉県の野田、柏、千葉、市原から再び東京湾に出て、木更津を越え富津へと至る、約320キロの環状エリア。

     このエリアの地形に着目して、歴史や経済、さらにはミュージックシーンまで、著者の筆は意想外な様々な話題に飛び、大変面白く読めた。一つの着想、アイディアとして大いに好奇心を搔き立てられた。

  • なんか散漫な感じなのはなんでだろう。あっちこっちで引っ掛かってしまうのは自分が知っている場所だからなのは仕方ない。今回はうまく合わなかったのか。なんだろう。こちらの問題かもしれない。

  • 81

  •  国道16号線――それは関東の低湿地と丘陵地の境目を縫うように走る道であり日本の歴史を語る一本の線でもある。
     この道を通じて日本の成り立ちを紐解く。旧石器時代や縄文時代以降江戸時代、そして近代へと時代が進む中それぞれに流域という地域のなかで発展し日本を支えてもきた。 
     戦後16号線が生まれると経済や文化の動脈として都市と郊外を結び日本の成長を支える存在となった。国道16号線は時代ごとの栄華と課題を映し出し私たちに未来の道を問いかける。

  • 2024年11月25日、八王子・くまざわ書店。1度読んでおいていいのでは?

  • 私は16号民のため、現代の見慣れた風景になるまでの歴史が知れて面白かった。

  • 20240826

  • 今年はこの本に沿ってドライブしよう。

  • 2023/11/02

  • 東京都心を囲むように神奈川県横須賀市から千葉県の富津市まで環状に走る国道16号線の歴史やこの沿線で生まれた文化を縦横無尽に紹介している。筆者の幅広い知識が活きており、とても楽しく読める都市史、文化史であると思う。

    本書の記述をとても面白くしているのは、一見まったく異なる分野の事柄が繋がって、一つの歴史を形づくっていく点であると思う。

    地球のプレートの複雑な動きが生んだ小さな尾根と谷が織りなす地形が入り組んだ海岸線を生み、それが良港を作り出す。そして、そのことが戦後に連合国の進駐軍が拠点を構えることにつながり、ひいてはこの地に流れ込んだアメリカ文化がジャズからニューミュージックまで、戦後日本の多くの音楽を生む土壌となっていく。

    本書では、このような事例がたくさん取り上げられている。これらの地域をひとくくりに郊外と位置づけ、都心で起こる様々な新しい動きが時間を追って波及していく先としてのみ捉える見方の都市形成史の中からは見えてこないものであると思う。

    このように目を凝らしてみれば、今の「都心-郊外」の関係性では見えてこないさまざまな歴史の流れが浮かび上がってくる。

    中でも筆者は、地形や河川の流域がつくりだすその土地のポテンシャルや地域としてのまとまりに注目することが、大切な視点であると考えている。

    考えてみれば、大規模な土木工事で鉄道や幹線道路を通す前は、人々は自然の地形に逆らわず、地形や流域が作り出す土地のまとまりを基盤に生活をしていたのであり、このような歴史が今の文化を形成する基盤になっているのは、当然であると思う。

    しかし、江戸城周辺で市街地が整備されて以降、関東の中心が江戸城周辺に移ったこと、近代にこの「都心」を中心に道路や鉄道網が整備されたことで、そのような歴史を我々が忘れがちになっている。

    この本では、それでも昔から人々が生活し、行き交っていた国道16号線の沿線地域は、現代の文化にも大きな影響を残しているのだということを、映画、音楽、産業などさまざまな事例を取り上げることで思い出させてくれる。

    地域の歴史や他の地域との関わりを捉え直す楽しさと、そのために大切な視点を教えてくれる本であったと思う。

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著者プロフィール

1964年静岡県生まれ。編集者。日経ビジネス チーフ企画プロデューサー。慶應義塾大学経済学部卒業後、日経マグロウヒル社(現、日経BP社)に入社。雑誌「日経ビジネス」の記者、専門誌の編集や新媒体開発などに携わった後、出版局にて『小倉昌男 経営学』『矢沢永吉/アー・ユー・ハッピー?』『養老孟司のデジタル昆虫図鑑』『赤瀬川原平&山下裕二/日本美術応援団』『板倉雄一郎/社長失格』『武田徹/流行人類学クロニクル』など数百の本の編集を行う。TBSラジオで「文化系トークラジオ Life」「柳瀬博一Terminal」のパーソナリティも。2008年より「日経ビジネス オンライン」のプロデューサー。2012年より現職。プライベートでは、三浦半島小網代の谷の保全を行うNPO法人小網代野外活動調整会議の理事。週末の半分は、山の中でササ刈りをしたり、土木作業を行ったり、カニの数を数えたり、ムシの写真を撮っている。

「2015年 『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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