村長ありき: 沢内村深沢晟雄の生涯 (新潮文庫 お 28-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101046211

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  • 人びとが理想に向かって力を合わせるならば、
    人間とは十分に何事かを成しうるのだ。
    豪雪と貧困に苦しむ東北の無医村、沢内村を
    日本一の福祉村に生まれ変わらせた村長 深
    沢晟雄。行政の使命は村民の幸福にありとい
    う信念のもと、乳児・老人医療の無料化に踏
    み切り、乳児死亡ゼロを達成した。自らの命
    尽きるまで村政一筋に生きた村長の生涯を描
    き。自治とは何かを問いかける傑作。

    ブックオフで購入。なかなかの拾い物であり
    読んでいてぐいぐい引き込まれた。
    昭和30年代、岩手県沢内村、深沢村長の話。
    この村長。単なるバラマキとは異なる。国民
    の生命と健康の保障については、すべて国の
    責任で行われるべきという持論であるが国が
    責任を持たないものをやむをえず村として実
    施している。村長は東北の寒村を苦しめる雪
    の除雪と福祉に力を注ぐが、単に医療費の無
    料化を図った訳ではない。
    まず、保健運動の強化により病気予防に取り
    組む。保健活動と診療活動を固く結びつける
    事に力を注いでいるのが面白い。(これは長
    野県佐久総合病院の取り組みに通じるものが
    ある)
    深沢は、志半ばで病魔に斃れるがもう1期務
    めていたらどのような政策を行った事であろ
    うか。

    国家が何をなすべきか、東北の一寒村の事例
    ながら突きつけられている命題は重い。

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著者プロフィール

及川 和男
1933年、東京に生まれる。戦争で疎開、岩手に住みつく。
日本ペンクラブ、日本児童文学者協会会員。
小説・児童文学・ノンフィクションなど50作ほどあり、主な作品に『村長ありき』『鐘を鳴らして旅立て』(新潮社)、『米に生きた男』(筑波書房・農民文化賞)、『生命村長物語』(童心社)、『わらび座修学旅行』(岩波書店)、『森は呼んでいる』、絵本『いのちは見えるよ』(岩崎書店・いずれも全国課題図書選定)、『なんでも相談ひきうけます』(岩崎書店・北の児童文学賞)、『ザシキボッコの風』(本の泉社)など。

「2014年 『浜人の森2011』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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