仮面の告白 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.55
  • (438)
  • (646)
  • (1327)
  • (98)
  • (19)
本棚登録 : 6711
レビュー : 591
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050010

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • メタ、メタのメタと、複雑な構造になっている。
    仮面なのか素面なのか。何が本当なのか。
    面白いけれど、読みづらい作品だった。

  • 理屈屋で自意識をこじらせた青年が私は大嫌いなので、三島も嫌いなのだけれど、「孔雀」を再読し、やはり三島をきちんと読まねばならないという思いに駆られて読んだ。近江との恋が美しいのは、そこに混じり気のない純粋な憧憬があったからだが、園子との疑似恋愛を通じて自問自答し、葛藤する中盤の面白さと云ったら、読者をぐいぐいと物語に引き込んでゆく。こじらせた自意識もここまで来れば天晴れだ。また男色を描きながらじめじめとした陰湿なところがなく、まるでギリシャ彫刻のように隆々として美しいのは三島の筆のなせる技であろう。

  • ナショナリズム。イデオロギー。
    三島由紀夫に対して、
    そんなものを信じているのなら
    三島が講じて被った仮面のベールに騙されているのか、
    もしくは感性までもが
    思想で侵食されているのではないだろうか?

    三島が無思想者であったとまでは
    他者には断言できず彼以外は知る由もないが、
    彼が翼を纏った真の目的は
    その繊細さを表象させないが為の隠れ蓑
    だったのではないだろうか?

    仮面の告白。
    あくまで個人の感想でしかないが
    処女作にしてまさしく、
    三島由紀夫の半生を文学として
    具現化した告白小説なのだと感じる。
    彼にとっては蓋をしたい
    生涯の汚点の凝縮物なのかもしれない。

    彼の文学を数冊読んできたが、
    一貫されて表現されているのは
    願望と現実のパラドックスに対する葛藤だった。
    「午後の曳航」の南十字星の下や
    「金閣寺」の主題、鹿苑寺。
    これらはニヒリズムの象徴である。
    この本を読むまでには類推が及ばなかったが
    金閣とは美であり、怨敵であり、ソドムだったのだ。

    そして、これら三島文学の傑作を
    読む上での序章、布石にして三島文学の原点が
    本作、仮面の告白だったのであろう。
    この本を読まずして、三島文学は語れまい。

    生来の性癖を持ってこの世に生を受けた我々には
    三島文学を類推はできようとも、
    (彼にとっての類推文学、「潮騒」と同様に)
    真の理解をすることはできない。
    シニカルにも反証的に
    彼の生まれながらにしての苦悩が
    文学者としての天分の才の根源だったのだろう。

    いずれにせよ、
    昭和を代表する文豪、三島由紀夫の死が
    文壇にとっての大いなる損失であったことは
    言うまでもない。

  • きれいな日本語。
    たまに何を言っているのかわからなくなる。
    わたしのあたまの中がついて行けなくて...!!

    非常に苦悩が伝わってくる作品。
    自分が〝普通〟でいるために色々考える。そしてとても卑怯。
    戦後、彼が身震いしたのが印象的。
    明日からまた日常生活が始まるというのは彼にとって〝死〟が遠ざかっていく、あんなに近くにあった〝死〟
    がもう遠い。どれほど落胆したことか。

  • ラストの蒸せ返るようなシーンと読了後の後味がクセになりそう。

  • 自分を擁護しようと自然に働く心の動きが順序だてて書いてあり時折はっとさせられる。自分も自分を騙してないかなと。

  • 性描写が文学的で現代の作家が三島由紀夫に影響を受けたのもよくわかります。

  • 自衛隊市ヶ谷駐屯地での自害もむべなるかや
    倒錯の思考。私の脳は下半身不随意筋が蠢くとその機能を失う。これは幸せなことだ。少なくとも三島由紀夫より

  • 太宰治は最晩年に半自伝・『人間失格』を書いた。三島由紀夫は自伝の『仮面の告白』を第一作にした。ここに、劇場作家二人の作風の違いもある。

    太宰も三島も、自分の人生も作品にした。
    だが太宰は弱さを武器にして、三島は弱さをひた隠した。だが、実際は逆だったかもしれない。太宰は何度自殺未遂しても死なない。三島は、死ななそうな強さでもって、あっさり一度の自殺で死んでしまった。

    太宰には、弱さを武器にするほどのしたたかな強さがあり、三島は自分の弱さを許容できないほどに内気だった。自意識をネタにした太宰よりも、三島のほうが自意識に囚われ、その自意識の中で死んで行ってしまった。太宰は、あの最後の入水の夜さえ乗り越えれば生きて行けただろう。でも三島は、あの自決の日を乗り越えても、近いうちに死んだだろう。

    「仮面の告白」は、弱い少年が書いた、自意識過剰でみじめな最高の作品だ。

  • 幼年時代から感じていた、女性に対して不能であることを告白していく内容。面白いと思うのは、女性への肉の欲望がないにも関わらず、逢いたいという恋はあり得るか悩んでいるところ。多少の背理は世間に必要だが、背理が全くないと社会的には倒錯とされ、純粋であるのに、不徳みたいな状況が出てくるような気がした。
    しかし…あまり自分の理解が進んでない。何が背理なのか読んでてわかんなくなってくる。

全591件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

仮面の告白 (新潮文庫)のその他の作品

仮面の告白 単行本 仮面の告白 三島由紀夫

三島由紀夫の作品

ツイートする