仮面の告白 (新潮文庫)

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レビュー : 591
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050010

感想・レビュー・書評

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  • なんて華麗な臆病な仮面。自分の心を覗くのを恐れるあまりに自己の意識さえ注意深く、厳重に蓋をしてしまって、主観で考える自分と客観的に批評する自分、未来への期待と心の幾層も深める自分とでぐちゃぐちゃになっている性の苦悩をこんなに繊細に書いているのをただ感服するしかない。

  • 言葉ってこんなに豊かに語ることができるのかとひたすら感動してしまった。主人公が肉体に惹きつけられる場面など、文章の厚みに圧倒され、ひととき自分が主人公と一体になってしまったかのような感覚に陥る。あまり幼いときに読まなくて正解だったかもしれない。

  • 読み難いけど、とりあえず114ページ目まで読んでみて
    びっくりしました・・・くらくらした・・・


    ミシマの小説を読むのは初めて。
    ブックオフで安かったので『仮面の告白』を購入。

    僕がこれまで知ってたこと
    ・自決したこと
    ・後年、ボディビルで体を鍛えてたこと
    ・10年前ぐらいに、生前の三島のインタビュー映像をNHKでたまたま観たんですが、玉音放送を聴いた時は残りはオマケ人生、的な・・・。それまで戦争で死ぬつもりで生きてきたのに、戦争が終わってショックを受けた、と。
    ・三島21歳、太宰37歳ごろの時に、太宰に会ってケンカを売ったこととか

    その程度の知識だったんですが、
    『仮面の告白』を読んだら全部納得できました。


    前半は超絶読みにくい。
    っていうのは、三島はほんとスーパー頭いいから
    何言ってるのかさっぱりわかんない。
    いや、言いたいことはわかるんだけど表現が難解。
    同じとこ3回は読み直さないと
    前半は何言ってるのかよくわからない。

    114ページ目を境に、後半は読み易いです。
    そして面白いです。

    まあガチホモっていうか
    クローゼット・ゲイと倒錯した話(行為はない)。
    で、私小説というか三島の自伝的内容。

    『仮面の告白』の「仮面」の意味ってふたつあると思ってて
    ひとつはそのまま、仮面をつけてる・・・ゲイであることの告白。
    もうひとつはフィクション、虚構という意味の仮面。

    それまでミシマに対して、全然そう思ったことはなかったけど
    言われてみるとゲイっぽいですからね・・・。
    ゲイっちゅうか、薔薇族的な方の・・・。
    あと、「サムライ」とかってやっぱり、
    どうしても衆道を連想させられるし。

    だから、わけわかんなくなってくるんですよ。
    それが114ページ目なんです。
    もしかして『狂い咲きサンダーロード』ってここからきてるのかなあ。


    「煮え切らない人間が嫌い」とかで、そら太宰嫌いやわ!と。
    思想的にも両極だし。
    (ただ、太宰の場合の左翼活動は適当。
    たぶんただのカッコつけでカブれただけ)

    でもこれ、同属嫌悪なんですよね。
    太宰と三島は非常に近いところがある。
    『晩年』と『仮面の告白』を読んだらそう感じる。
    どちらも死ぬ気で書いてるんで。

    育った環境と世代差がたぶんデカくて
    太宰→ド田舎青森の大地主のボンボン、東大仏文科
    三島→東京の官僚エリートのボンボン、東大法学部
    そしてどちらもナルシストだし。

    太田が『金閣寺』について語ってるポッドキャストがあって、それを聴いたら
    『金閣寺』(三島でも中期~後期にさしかかる頃かな?)って
    『仮面の告白』(初期)とかなり近い気がする。
    題材が入れ替わってるだけで。

    太宰も中期は「ふつうにエンターテイメントとして面白い」んだけど
    三島も中期は『潮騒』とかあるしさ。

    『金閣寺』の時ぐらいからだんだんおかしくなってって、
    最終的に、割腹自殺するけども。
    「おかしくなって」っていうか
    『仮面の告白』読んだら、ずっと一貫してるので「おかしくない」んだけどw

  • 三島由紀夫の小説ということで読んだ。同性愛の主人公は破綻した自分の性癖におののきながらも、友人の妹と結婚しようとするも逃げてしまう。主人公自体も自分の異常さを自認しながらそれに困惑している姿が描かれていた……と思う。昔の純文学は読み説くのが難しく、自分でも正確に読み説けているかは自信がない。三島由紀夫の作品は「潮騒」に続いて「禁色」の次に読んだ。
    主人公は否定しきれない自分の中身を抱えながら、苦悩はせずとも社会に適応できないことを自覚している。
    そんな中、園子という女性は、主人公の根源をつゆ知らず近づいていく。いくばくかの時を重ねて幸福な時間を得ているなか、結婚という答えを導き出されていくものの、それを否定する主人公にはなんと傲慢なことだろう。人を傷つけることで自分が男としての「威信」いわば普通の男がやっていてもおかしくないことを成し遂げた、と自負している。これで自分も社会と同義だと勘違いする。実際には、それは完全な「女遊び」たりえないのだが。
    最終的には結婚には至らぬが、園子という素敵な女性を手にすることはできなかった。それは彼の性癖外なのだから、当たり前の結論ともいえるが。私が気になったことは、あの幸福な時間をも否定してしまうのだろうかということだ。なぜ彼女とともにあることができなかったのだろう。愛の在り方など、つかみ損ねていくしかないのかもしれない。

  • あまりに饒舌に語られる心象。
    一般に、人物の内面を抽象ばかりで表現するのは安易だ。
    しかし三島の描写は、その「抽象」が、的確な語彙を持って、整然と語られるので、むしろ深い共感を引き起こす。これは三島の観察、それも自分自身の心象に対する、言葉による観察の精密さによるのだろう。

  • 三島由紀夫の原点。三島ファンなら必読の書。

  • 面白かった。勃起のことはerectio、ワキ毛のことも「腋窩に見られる豊饒な毛」など、生真面目な文章で内容はなかなか笑える。
    きっと天然ぼけ性質なんだろうけど、いたく真面目で繊細な主人公。はじめはノンフィクションとおもって読んでたけど、もし三島自身のことなら、ここまで恥ずかしいことを作品にしないだろう・・・ともおもう。自分のことなら本当の意味で「仮面の告白」だ。

    それにしても73ページのワキ毛の描写は秀逸だ。

  • 20歳のころ、海外小説ばかりを読んでいた当時、はじめてこの小説を読んで「日本にもこんな近代小説があったのか」と驚いた。いかにも近代的だ。

  • 今のところ三島作品では一番好きだと思っています。

  • 自らを偽り生きる姿に共感を覚える。

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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