愛の渇き (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1097
レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050034

感想・レビュー・書評

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  • 三島の世界に圧倒される。なんと美しく的確な表現で埋め尽くされているのか。
    思い通りにならない恋愛にいらだち、嫉妬し、相手の不幸を願い、自分をも痛めつける、恋愛に限らずこの悶々とした思いは、自分にも存在する感情だと心を揺さぶられる。
    芳しい文章が微酔を誘うこの作品はプチブルの傲慢さと自分の幸せを求めて自己中になる心の狭さをまざまざと描き、登場人物はどれも明確なキャラクターの上に各自の役割を全うしてこの作品を構成している。
    ラストは衝撃。ちょっとしたきっかけで狂気へと踏み外す瞬間を読者は目撃する。

  • 今更ながら、三島作品は個人的な中身の好みの差はともかく、題名が素敵だなと思った。

    2002年5月22日読了

  • 「私が決めます。私は一旦決めたことを、決して枉げはいたしません。」

    良人の壮絶な最後を看取った悦子。悦子の視点から展開する終末の夫婦の姿に頭がぐらぐらと揺すられる心地がした。
    後半の悦子の姿はある意味魔性であるのだけれど、果てのない渇きを持った彼女が何故か凛として見える。
    恐ろしいほど真っ直ぐ何かを求めているのに、決して純愛とは言えない。
    ぶつかり合うその結末は総て悲劇へと繋がっている。

    自分の情念に飲まれて生きることが辛いときに読むと、エゴと無私がぐるぐると混ざり合ってやはり頭がぐらぐらと揺すられる心地がする。

    愛なんてこの世に存在するのだろうか、と絶望するくらいなら読むべきだと思う。

    そして凛として立ち宣言すればいい。
    「私が決めます。私は一旦決めたことを、決して枉げはいたしません。」



  • 戦前から戦中の大阪は豊中。
    都会でもなく田舎でもなく、現代の比ではないが。
    耽美派の三島氏。情景描写は流石に綺麗だが。情景を削れば、ただの昼ドラにしか思えないな。
    亡夫の父、つまり義父の後家に入り、手籠めにされ、最早情婦な主人公の悦子。その一家には義兄弟夫婦も同居し、奉公人の下男、そして、女中が暮らす。
    義父の情婦になりながら、園丁の下男に想いを寄せる。
    また、思いの寄せ方の鬱屈したこと。色情狂いとも違い、嫉妬と狂気と自傷...愛するが故に最期は鍬で頭をカチ割り、殺めてしまう。
    昭和25年の作品。生きるとは。そんな哲学を求めた時代なんでしょうな。インテリ派とかいう。
    情報化社会の現代では、全く相容れない一冊でした。

  • 壮絶な嫉妬の物語。誰にも愛されず、どうやって愛すれば良いのかも知らない悦子。枯渇した愛の群像が全編に渡り重苦しく、そして三島作品らしく重厚に描かれている。

  • 読もう読もうと思って三年ぶりの三島…

  • 主人公は未亡人の杉本悦子。夫が急逝した後、舅の弥吉と暮らし肉体関係に陥る。一方、弥吉の家にいる若い園丁、三郎に恋心を抱くという内容。ラストは衝撃的。
    三郎が愛とか恋とか全く知らず、肉欲しかないので、主人公、悦子との関係がちぐはぐになり興味深い。

  • 2016/07/10 読了

  • 1990.11.29 読了

  • なにも殺すことないのに…

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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