盗賊 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 351
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050041

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫23歳の処女長編。彼はすでに19歳で短篇集『花ざかりの森』を上梓していたが、この最初の長編小説には初期の三島の作風が色濃く反映されている。すなわち、あらゆる意味において、きわめて観念的な小説なのだ。ここでは、生も、そして死もまた観念の中にしか存在しない。当時の三島には早熟と夭折の天才、ラディゲが強く意識されていたようだが、内容や小説作法は三島に独自のものだ。ただし、こうした登場人物たちの心理のありようを克明に、かつ分析的に描いていくといった手法は、やがては物語りそのもの中に解消していくのだが。
     全体としては、観念的に過ぎる小説だが、作中では第4章「周到な共謀(上)」で、清子が伝家の短刀を取り出すあたりが最も小説的で、また三島らしい表現だ。

  • お互い特に好きではない男女。二人は失恋が原因の自殺を考えており、死への思いによって結びつけられていくという内容。死を考えると、生き方に変化が出る。逆も然り。
    「盗賊」の意味がうまく言語化できないなー

  • 仮面の告白を読んだときのような強いインパクトは感じなかった。そのため、少し三島に対する熱が冷めた。
    自分は告白調の小説が好きなのだろうか?

  • 2009.9.28 読了

  • 「盗賊」という題名の意味がわからなかったが、最後にそれが明かされなるほどという気持ちになった。三島由紀夫の作品は、もっと読書経験を積んでから再読する必要がありそうだ。

  • 前半なかなか家族構成と親戚関係を捉えにくく
    やや読むのに苦労。

    自殺に至るまでの心情の移り変わりが
    どうも物足りなく感じる。
    何か淡々と終わってしまった印象しか受けなかった。
    若さにまかせたということなのだろうか。

    最後のシーンは少し劇的で、素直に良いと感じた。

  • お互い恋の狩人に捕まってキズを負った貴族の男女が「死んでやる!」と思っているときに出会ってシンパシー。
    結婚することにして、式の当日に晴れて自殺しましたってお話。
    短いお話だけど、しっかりと練られた構造で面白かったです。
    三島さんの「莫迦げ切った目的のために死ぬことが出来るのも若さの一つの特権」って解釈もグー。
    盗賊が狩人に打撃を与えるラストは、らじ的にはいらなかったかな…。
    道具を盗賊に盗まれちゃった狩人は、その日は仕事ができないかもしれないけれど、いずれまた道具をそろえて狩りに出るんだろうし…。

  •  「異様な恋愛悲劇」という作中の言葉がぴったり嵌る。
     欺瞞的な思考の奥底にある無意識の衝動を、執拗に暴き出すような神経質な文章が、より物語のアクを強めていた。

     自己韜晦という厚い防護壁で守られ続けてきた鈍重な心が、失恋を機に膨らみ始めた死の幻想の鮮烈さに夢中になる様子が描かれており、共感はできないが惹きつけられてしまう。

     愛する人の幻影を別の人間の中で育むという一見不純で儚い行為も、身勝手な幻想によって次第に不和が生じ始める父母との対比、そして死という結末によって、見事に清らかで永遠なるものに演出されてしまった。

  • 初期作品と知らないまま読んだけど、心理描写に引き付けられる。奔放な女性に弄ばれて死ぬの?!と思ってちゃ三島作品は読めないんだろうな、きっと。

  • 恋愛、失恋。同じテーマでも三島と実篤はまるで対極。主人公の親なんかはもう醜い。猜疑心が猜疑心を生む負のスパイラル。恋愛勝者とされる美子と佐伯も、果たして恋愛勝者?全体を通して重苦しいトーンのちょっとしんどい作品でした。まだまだ三島がよくわからない。

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