潮騒 (新潮文庫)

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レビュー : 844
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫は苦手だ、それを克服しようと読んでみた。
    清らかな若い二人の恋物語。
    素敵な小説だった。
    でも文章が硬いのがやっぱり苦手。

  • 主人公と距離を取り、価値観の違いを明らかにしたり、軽蔑する様な表現を使いながらも、主人公の単純さ、素朴さ、そして肉体の価値を次第に認めてゆく。

    著者以上に、肉体の魅力を嗅ぎ取る娘達は、あたかも花に寄る蝶の様に、新治に惹かれてゆく。そして三島自身も同様に。

  • 伊勢湾の歌島(現在「神島」)を舞台にした青年漁師と若き海女との純愛物語。孤絶した離島を舞台に、偶然の触れ合いや嫉妬、そして相愛。幼年から成人へ移り変わる心の機微と伊勢湾を望む風景描写がいちいち美しい。

    ギリシャ古典小説『ダフニスとクロエ』であり使古されたモチーフながら三島氏の才能や着眼点が『潮騒』を和風純愛物語の傑作に仕上げている。本作品は他の三島作品とは異なり清廉清爽な物語である。『仮面の告白』と『金閣寺』の中間期に位置しているが、三島にとっては筆休めや毒抜きの作品だったのかもしれない。

    作中、特に印象的だったのが新治の母親を新治の「母親」と相対化している点だ。新治の母親は主要人物のため呼称のほうが読者は読み易い。しかし一貫して「新治の母親」としたのは、母親が息子に抱く一時期的な倒錯感、すなわち子ではなく男としてみる一瞬を捉え、初江に対する嫉妬、理解、融解、同化への一連の流れの中で、親の心境変化までをも描き出している。

    本作品は、新治と初江との恋物語であり、青年となる新治を受け入れる「母親」の物語であり、閉鎖的な島に齎された漣のようにささやかで爽やかな変化の物語である。

  • 「体育会系?うぇ~~~いwwwって言ってる人達のことでしょ?」と思っていました。が、体育会系×純朴の組み合わせは最高ということに気付かされてしまった・・・。とにかく、登場人物に悪い人間のいない素晴らしさ(1人いるけど)。純粋無垢な主人公の感情と、自分の共感がリンクする瞬間に、心が清められたかのような心地よさを覚える。
    あと、三島由紀夫はおっぱい大好きなのか・・・?

  • 美しい純愛小説。
    ストーリーは三島由紀夫らしくないが、美しい文章からは三島作品の魅力が十分に感じられます。
    ハッピーエンドというのも嬉しい♪
    三島作品のなかでは1番安心して人に薦められる作品です。

  • 三島由紀夫、評価は高いものの今まで読んだことがなく(お恥ずかしい)、潮騒が初となります。薄くて読みやすそうだったので、ね。

    ストーリーは良くも悪くも凡なものだと思った。出会って恋に落ちる、立ちはだかる数多の障壁、それを乗り越えた先に結ばれるといった典型的な恋愛小説のそれ。非常に読みやすい。

    文体は凝ったものではなく、むしろシンプルなもの。これまた読みやすい。言葉遣いが多少現代より厳めしいけれど、全く気にならない。

    この本に関する記述をネットで漁ったりもしましたが、少々三島さんの著作の中では「普通」すぎて異色?なようですね、ほかの作品も読んでみなければ三島由紀夫はわからない気がしたので、またの機会に。

  • 再読。
    きれいで繊細で無駄のない文章。
    日本人でよかった、と思える小説です。

  • 神島に旅行に行くので読んでみたが、実に簡潔で真っ直ぐな恋愛小説だった。三島由紀夫への勝手なイメージからもっとドロドロした話を予想していたのだけど…

    多少の困難はあるが、新治と初江の2人は八代の神に見守られているかのように清らかに結ばれる。

    その純潔さや読む側に与える安心感は、まるで少年漫画のラブコメの主人公とヒロインをみているかのようだった。と言っても、主人公の新治は現代にそうはいない逞しく勇敢で無口な''漢”である。草食系かつ文系で受け身体質の漫画の主人公とは違うのだ!!

    照吉老人の『男は気力である』という言葉も胸に刻みつけておきたい。

    2人が逢瀬を交わした燈台や神社が実際にある島を散策しながら、この作品に思いを馳せたい。

  • 三島由紀夫っぽくない。読みやすい。生命の美しさ

  • 【若いって素晴らしい。ギリシャの小説「ダフニスとクロエ」を翻案した、伊勢湾に浮かぶ歌島の男女の恋を叙情豊かに描いた三島由紀夫の小説】
    東日本大震災から5年、三陸を舞台とし、大ヒットしたNHK朝の連ドラ「あまちゃん」つながりで、本作を読んでみました。いつか忘れたけどずいぶん前に一度読んだことが。

    筋書きは、いたってシンプル。人口千四百、周囲一理に満たない歌島が舞台。実在する神島という島をモデルにしたもの。
    新治と初江の出会いから恋を描いた小説。登場人物も実に分かりやすい。
    本作を読むと、本棟に日本語って美しい言語だと思う。伊勢湾の自然、時に人の支配を覆す台風など。島の風景が美しく描かれる。

    本作で有名な場面といえば、新治と初江。
    濡れた衣服を乾かし、裸で焚き火越しに向き合う二人。
    「その火を飛び越して来い。」

    あまちゃんの劇中歌「潮騒のメロディ」のイントロ「来てよ、その火を飛び越えて♪」は、この作品のパロディというかオマージュ。あまちゃんを見た人、懐かしいと思った方はぜひ、本作も読んで下さい。

    自然に打ち克つ若者の肉体、躍動感も見どころ。クライマックスの沖縄の海。「金閣寺」や「仮面の告白」のような屈折の全くない真っ直ぐな若者。
    昔は気付かなかったが、中年になって読むと若者の肉体賛歌であることが良く分かった。

    難しい表現もなく分量も適切、気軽に読める一作です。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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