潮騒 (新潮文庫)

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レビュー : 844
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 美しい青春小説。当初、新治にとっての「世界」は、漁にみられるような島での純な生活であった。やがて初江との恋を経て、守るべきもの、なすべきことの自覚に至る。
    本作に対しては、オリエンタリズムや「古き良き時代」の礼賛と見る向きもあるようだ。しかし、美文で綴られる完成度の高い物語として、純粋に心地よい読後感を味わうことができる作品である。

  • 三島由紀夫の1954年発表の作品。三島の作品を読んだことがなく、この作品が初めて。

    実際読んで見ると、なんと淡い爽やかな恋物語であった。舞台は伊勢と渥美半島に挟まれた伊良湖水道にある島・歌島。神島がモデルとされ、三島の描写から非常に長閑な情景が伝わってくる。

    主人公は漁師の久保新治は家も貧しいながらに将来は自前の船を買うことを夢見て慎ましやかに暮らしていた。そんなある日、新治の住む村に初江という娘がやって来た。初江は村の有力者である宮田照吉の娘であり、普通に考えれば叶わぬ恋であった。
    しかし、新治は次第に初江と相思相愛の仲となっていく。そんな中で、村の青年会の支部長・川本安夫の横やりにあい、新治と初江は照吉に引き離されることになる。
    そんな折、照吉所有の船に新治と安夫が乗り込み修行をするということになった。新治はこの船修行を不安と希望を胸に励み、照吉に認められ、晴れて初江と結ばれることになった。

    解説にもあるように古代ギリシアの作品『ダフニスとクロエ』をモチーフにしたとされるように、非常に素直で純粋な恋物語であり、読後は非常に清々しい気持ちになれる。

  • 2009.9.15 読了

  • 新治と初江はもちろんのこと、新治の母や千代子や、あらゆる人が崇高で、解説を読んでなるほどと納得。すべてがふたりのためにある。
    『そうして岸には幸福な少女が残った』という一文の美しさよ。

  • 人を羨むことも、自身にコンプレックスを持つことも
    純粋に人に恋することも、憎むことも、
    どれも人として正しい気持ちの現れのような気がする。


    読んでいて、どうしても、どうしても、
    「あまちゃん」を思い出してしまう、
    いけない私だった。

  • 久々に衝撃を受けた。
    最近読んでいた純文学がほとんど幸せな終わり方をしなかったせいで、
    「どうせ今回もハッピーエンドにはならないんでしょう?」
    というつもりで読んでいたのに…
    結末は、これでもかというほどのハッピーエンド。
    二人が結ばれたのはいいことのはずなのに、衝撃を受けずにはいられなかった。
    あとがきを読んで多少納得はできたが、この作品の異様さはむしろ際立ったようにも感じた。
    なぜハッピーエンドになりえたのか、はなはだ疑問だ…

  • 道徳的に読もうと思えば、素晴らしい教訓を見ることもできる話だと思います。

    新治、初江の行いを見て、自分を振り返ると恥ずかしく思い、今一度、居住まいを正さねば、と思わせてくれます。

    読後の感覚としてはとても清々しいものがあります。

    独特の比喩表現は、読み慣れたものではないのですが、情景をとてもいきいきと描き出していて、風景の息遣いを感じます。

    歌島(現実の舞台は神島)には行ったことがないのですが、潮の香りや、暖かな陽射しに包まれた風の匂い、波が砕ける際の衝撃や音、そして新治の感情や初江の気持ち…物語の場面を実際に見てきたかのような臨場感に溢れる描写に引き込まれてしまいました。

  • ピュアァァァァーー!
    全ては自分次第、そんな雄々しさが最後に込められているようで惚れ惚れしたお話し。

  • かっこいい文章とは、こういうことさ。

    http://speculats.blog37.fc2.com/blog-entry-188.html

  • 読み通したという意味では、大学生の時に読んだ「仮面の告白」以来かな。著者の中では比較的読みやすい部類ということらしいけど、それでも読み進めるには幾ばくかの集中力を必要としました。頭の中で情景は描きやすかったです。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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