潮騒 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 6871
レビュー : 841
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫の中で1番読みやすかったかと思います。
    内容としては若い男女の恋愛物語ですが、神島を表した抒情的な文章が漁師である主人公の器量の強さを滲ませ、淡い恋心が実った最後は単純な爽快感が後を残します。三島文学の泥臭さは感じませんが、青春を書き残して置きたかった筆者の心がここに記されているような気がして気持ちが暖かくなりました。

  • 綺麗な文章。なんの変哲も無い純愛ストーリーだが、歌島という小さな島の中の人々の生活、海を中心とした自然の情景描写が丁寧に描かれていて読み応えがある。三島由紀夫はこれを29歳で書いたらしい。ひとりの男性とひとりの女性が惹かれ合い、障害を乗り越えて1つになるという単純明快な物語だからこそ、ここまで文章に厚みを持たせて書けるのは彼の才能だと思う。

  • 状況描写の表現力がすごすぎた。
    すごすぎて自分の理解が追いつかなかったけど、雰囲気はつかむことができた。

    前半は初江と新治の恋愛模様の描写が素敵でスラスラと読めた。

    あらすじからしてもっと壮大なオチが来ると思っていたが、スッと終わった感じがした。
    最後ちょっと巻いた感じがした。

  • 舞台となる歌島(神島)の近くにある渥美半島で育ったため、でてくる情景に懐かしさを感じながら読み進めた。海の情景や波や風の音が聞こえてくるような表現が素晴らしい。人間の感情や行動と、それを取り巻く自然とは、渾然一体であると感じさせられる。

  • 何度か印象的に使われる「潮騒」という言葉が、どれも同じ言葉なのに、違う音がする。
    こんなに飾り気のない恋心を、緻密にしなやかに美しくドラマチックに書ける三島の文才振りは、奇跡。

  • 読んだよ、『潮騒』。
    この夏、知多半島に行った時に見た神島が、舞台になってると知って。うーん、私好みの小説じゃないな。
    いわゆる純粋な恋愛小説だ。
    三島の小説の中では、浮いているって書いてあったけど、確かにそう感じる(そんなに三島読んだことないんだけどね。まぁ、〈三島的〉じゃないとか〈純粋な恋愛小説〉だとか適当な言葉を並べて評価するのは不当かもしれない。
    それでも、私は三島なら『鏡子の家』の方が好きだ
    退廃的なものが好きなんだろうか…教師なのに困った

    さぁ、次は『仮面の告白』辺り行ってみようか

  • すてきよすごく

  • 「不道徳教育講座」は読んでますが、お恥ずかしながら三島由紀夫の小説はこれが初めて。
    島に住む精悍な若者・新治と、島の富豪の美しい娘・初江の純朴な恋模様が描かれます。
    新治に恋していた幼なじみの千代子や、わてが初江の婚約者やと威張る安夫や、新治と初江ををくっつけまいとする初江の父親からの妨害や、そんな諸々の障壁をのりこえて結ばれる、なんとも清廉潔白なラブストーリー。

    というかハッピーエンドが約束されている気配が漂いまくりだから!
    野次馬の海女になったような気分でニヤニヤしながら安心して読めます。
    潮が香り、潮騒に耳をすませたくなるような美しい文章でした。

  • 作者への先入観から、物語が何処かで暗転するのでは、と常に思いながら読みすすめる。
    有名な焚き火を渡って来いのシーンでもあくまでも純粋過ぎる男女の恋愛観、というか朴訥過ぎる主人公、新治に好感を覚える。
    信じる者は救われる、と明快過ぎるストーリーであるが、登場人物やエピソードにはまるで無駄がなく、歌島の情緒もたっぷり挿入され読み味良き作品と感じた。

  •  恥ずかしながら、初めての三島由紀夫。勝手に重たい作風のイメージを持っていたのと、「名作」と呼ばれるものは大体悲劇的な話だと思い込んでいた(固定観念の塊!)が、最後まで読み終えてホッと胸をなでおろした。さわやかかよ!

     伊勢湾に浮かぶ、人口千四百の小さな島。その豊饒な自然と共存している若者(音楽も時計も必要としない)、新治と初江の初々しい恋物語。恋敵の邪魔や親の反対など、あるあるな障壁を経て結ばれる、という本当に明快なストーリー。登場人物の心の美しさ、そしてなにより自然の描写に心が震える。

     解説で、ギリシアの古典『ダフニスとクロエ』に翻案されたということを知る。資本主義社会(=自然を否定)へ舵を切り出した当時の日本で、敢えて「人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致」を果たす文学を発表した意図は、とか考え出すとおもしろい。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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