潮騒 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 841
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 南の小島の中での話。潮騒が聞こえてきそうな磯の香りが来そうな話。読んでいてとてもよかった。二人の胃が美しく、互いを思いよい話だと思う。心が温かくなる。

  • 悪人が出てこない純朴な恋愛小説。心が洗われる。

  • 初・三島由紀夫。
    全然(?)変態ぽくなくて、なんだか神話のようでした。

    タイトルがまた良い。
    私が読んだのは古本屋で廉価で買った文庫本で、一つだけ誰かによって傍線が引かれた箇所があった。
    「新治は日々の生活に、別に音楽を必要としなかったが、自然がそのまま音楽の必要を充たしていたからに相違ない。」
    という一文。
    舞台となる「歌島」は、伊勢湾口に浮かぶ漁師と海女の島。
    潮騒が常にBGMなんですよね。作品中でもここぞというところでは潮騒が強調される。
    そこにたまたま傍線がなかったらここまで感じ入ったかどうかわからないけど、なんだかとりあえず手近な鎌倉の海にでも行きたくなってしまいました。

    物語としては他愛ないボーイミーツガールもの。
    それでも、美しい舞台背景を常に感じさせながら、ある時はねっとりと視野狭窄状態で肉体美を謳い、ある時は神の視点で直截的に各人の心模様を語る。
    緩急自在。

  • 純真な若者の初恋を瑞々しく描かれていた。島の情景と、潮の香りが伝わる。2人の恋を潮騒が見守っていたいように感じた。

  • 純愛小説。
    歌島の雄大な自然の描写と、それと共に生きる人々の気持ち良さ。
    新治の純朴さと初江のかわいらしさ。
    結婚や恋愛に対し、自分の意思より家が優先される時代に、二人の人柄が周りを後押しし、ついに結ばれるというハッピーなストーリー。

    ただ、それだけで終わらせないところがあり、三島由紀夫らしい気がした。

    例えば、初江が新治の母にプレゼントしたハンドバッグに対し、島の政治はいつもこうして行われる、と初江の無意識の政治的な立ち振る舞いを感じさせられる。

    最後の一文。初江が自分の写真が男を守ったとかわいらしか思うのに対し、新治は眉を顰め自分の力だったのだと考える。二人の視点や考えの違いがはっきり描かれている。

    お互いが逢えない時間の中で、初江は男のことを考え、新治は新しい世界の魅力を知った。視点がズレてしまったのは悲しいけれど、それぞれの成長なんだと自分を納得させようと思う。

  • 初三島由紀夫作品。
    序盤の歌島の写実的描写が退屈で、なかなか物語に入り込めなかったが、小説全体を包む歌島の神々しい雰囲気を作る大切な描写だったと思う。
    手塚治虫は漫画で映画の世界を作り上げようとしたらしいが、三島由紀夫のたくみな比喩表現と写実的表現によって、ひとつの美しい映画を見せられているような気分になった。
    読んでいてとても清々しい気持ちにさせられた。

  • 初三島作品がこれでした!
    三島由紀夫、きっとすごい小説家なんだろうな~とは思っていながらも、難しそうだな~と思ってこれまで嫌煙しておりました。。
    この作品を読んで反省です。。。

    本当に風景描写がキレイで、行ったこともない土地だったけれど、すぅーっと目に浮かんできました。
    読了したすぐ後に、実際に神島に行ってきましたが(というか神島に行こう!という話が決まってから、そしたらこの作品を読まねば!!と思って読んだ作品でした。笑)、60年たった今でも、「ここ、あそこに描かれていたまんまだ!」と思える景色がいっぱいで、さらにこの作品が好きになりました。

    都会暮らしにつかれたら是非お勧めしたい場所です!!

    こんな恋愛してみたかったな笑

  • 初めての三島作品。
    純愛を絵に書いたような展開が読んでいて新鮮。
    それが最後の最後の一行で全然違う印象になる…そこがすごい。
    日本語の美しさを実感しながらも漢字の難しさも実感!読み慣れていないから時間がかかった…

  • あまちゃんやな。

  • 潮騒。
    三島由紀夫29歳、金閣寺をかく2年前のときの作品。新治と初江の初々しい恋の物語である。三島由紀夫にしては血や暴力の匂いを消した、磯臭い純粋な青春を描いた作品であった。村の漁師や海女たちの生活は、労働こそ生であり、豊穣な自然の中で、自然と闘い、委ねる喜びに満ちていた。新治が世話になっている灯台の家にヒラメや鯛などを届ける際のその魚たちの生々しい獲物としての描写は、古来より他の動物の命を搾取していきてきた人間としての誇りと自覚と感謝を喚起するものであった。後半の、初江と手をつなごうと思ったが鯛により手がつなげず、帰り道では無事つなげた、という描写が気になった。これは、小説最後の部分での、新治が沖縄での冒険を切り抜けたのは初江の力ではなく自分の力だという確信とも関連があるのではないか。一見して恋愛小説だが、この作品の裏のテーマとしてはそもそもの人間の生活があり、そこには生と死がある。人間は二人で生きる以前に一人で生きなければならず、そのためには己の意思で汗水たらして働き、自然の恵みから食事をいただかねばならない。小さな島で力強く生きる新治の若い輝きこそ、この作品を青春小説たらしめている光なのかもしれない。
    荒れ狂う海とそこでの新治の海の男としての戦いの描写は、読者も激しい波にのまれて息苦しくなる錯覚を覚えるほど圧巻であった。三島由紀夫の魅力は、暴力的な強さのなかの緻密で計算された表現であると再確認させられた。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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