潮騒 (新潮文庫)

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本棚登録 : 6909
レビュー : 844
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 青々と力強い海に囲まれた日本の南の小島“歌島”を舞台に、若くたくましい漁夫・新治と美しい少女・初江が織り成す恋模様。

    初めて目にした時から相手のことばかり考えてしまう初恋の戸惑いや、並んで歩くだけで胸が高鳴り続ける様子など、純朴な青年と可憐な少女の瑞々しく、そして真っ直ぐな想いが見て取れます。しかし閉鎖的で大人の意向が絶対だったこの時代、二人の仲に様々な試練が舞い込むことに…。
    荒れ狂う海を相手に雄々しく向かう新治、彼を案じながらも凛と構えた初江、時に穏やかに時に猛威となる海など、人や自然の持つストレートな美しさが光ります。二人の仲を邪推して割って入ろうとする安夫の分かり易いまでの悪役っぷりが、ますますこの二人を眩しく穢れのないところまで押し上げているように思います。

    三島由紀夫が古代ギリシアの散文作品から着想を得たという本作。
    毒素ゼロ、純愛にして爽やかな風が吹き抜けるような心地よい読後感が残りました。

  • 読み終わって、神島に行った。
    嵐で、なんとか上陸はできたけれど、帰る船が出航しないかもしれないから、乗ってきた船でそのまま引き返した。
    また、今度。

  • この小説を一言で語るとすれば、
    『美しい』という言葉が最適であろう。

    南の孤島で繰り広げられる世界を目の前にありありと描き出すことができる。
    タイトルにもなっている”潮騒”が個々の人物の内面まで潜り込む印象を受けた。

  • 何度か印象的に使われる「潮騒」という言葉が、どれも同じ言葉なのに、違う音がする。
    こんなに飾り気のない恋心を、緻密にしなやかに美しくドラマチックに書ける三島の文才振りは、奇跡。

  • 初めての三島作品。
    純愛を絵に書いたような展開が読んでいて新鮮。
    それが最後の最後の一行で全然違う印象になる…そこがすごい。
    日本語の美しさを実感しながらも漢字の難しさも実感!読み慣れていないから時間がかかった…

  • 三島にしては珍しい王道恋愛小説。文章は非常に読みやすくて分かりやすいので初めての三島にはオススメ。
    何度読んでも「その火を飛び越して来い」のシーンにはときめきます。純愛ね。

  • 爽やかな青春恋愛小説。それでも三島らしいねっとりした人間臭いエロティシズムも健在。

  • 久しぶりに読んでみた。
    もう10年以上も前に読んだけれど、昔はどんな気持ちになったのだろう。
    今は読み進むにつれ、2人の純粋さに胸が高鳴る。
    初江の父、照吉が新治を認めた時の台詞。
    泣けてきた。昔は泣かなかったと思う。
    いろんな思いが交錯する作品だった。

    今年は自分の本棚にある物を、読み返してみようと思う。

  • 三島ってこんな作品書くの?!と、初の三島文学。なるほどこの作品が特殊であることはレビューでよく分かりました。この話は大変わたくし好みでした。清らかで美しい恋愛小説。俗世を離れた島という場所も良いです。それを構築していく言葉や表現も大変彩り深いものでした。しかし通俗小説という評価は真っ当でしょう、この”おはなし”からすれば。

    ただこの通俗小説は私の中でストンと物語を終わらせてくれませんでした。最後の一文、これは二人のこれからの闇を暗示しているのでしょうか?それとも新治の一人の男としての成長を示しているのでしょうか?うーん、今の所よく分かりません。この話が好みだと感じる読者層の自分としては後者を希望しますがどうなんでしょうね。

  • あの三島が、健康で純粋な、ギリシャの太陽に憧れるがままに描いた作品。
    とにかく情景描写が素晴らしすぎる。この作品は本当に賛否両論があるけど、やっぱり三島らしい作品。完璧主義なところとか。
    何かウラがあるんじゃないかって探すのも面白い。

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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