潮騒 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7655
レビュー : 894
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 物語の舞台は「歌島」という小さな島。そこで暮らす18歳の新治という好青年が主人公と言えば主人公かな。
    ある日、歌島に初江という若く美しい女性がやってきて、二人は惹かれ合っていく…という「普通」のストーリー。

    三島由紀夫と言えば、「コンプレックス」「ダーク」「奇異」「過激」というイメージだったのだけど、潮騒は爽やかな青春小説と言ったところ。まるで原田マハが書きそうな、現代小説っぽさを感じてしまった。

    文章は読みにくいところがほとんどなく、スラスラ読めてしまう。

    島で暮らす人々はとても魅力的。シンプルな生き方とシンプルな感情を、眩しく思いながら読んだ。潮騒の聞こえる小さな世界が切り取られ、この1冊に収められている。

    歌島には、どこか懐かしさを感じる。まるで日本の心象風景。そこに還っていくような不思議な読書体験。

    なるほど、三島由紀夫はこんな小説も書くのかと。今さら新鮮な発見をした想い。次は「金閣寺」あたりを読んでみたい。

    (書評ブログの方も宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%8B%E6%87%90%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%84%E7%B4%94%E6%9C%B4%E3%81%AA%E5%BF%83%E8%B1%A1%E9%A2%A8%E6%99%AF_%E6%BD%AE%E9%A8%92_%E4%B8%89%E5%B3%B6%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB

  • 初めての三島作品。
    有名すぎる作家の小説を読み終えて。
    美文で綴られた純愛すぎる純愛。としか書けない…
    それは2020年の今の私の感覚からすると、というわけではないようで、昭和48年に書かれた解説でも「素直すぎる恋物語」と記されている。
    「潮騒」は三島の作品の中でも特異な位置をしめる一風変わった小説らしい。
    登場人物がどうだこうだ、という意味を感じさせないところが名作ってこういうことか、という気がする

    2020.7.11

  • 読了。
    聞くところによると2009年の再販の際にカバーにはかなりの色展開があったようだ。購入の際は皆、どの色を買おうか迷いに迷っていたんだろう。出版社もおもしろいことを考えるね。
    先日、妻が実家から紺色のカバーの本書を我が家に持ち返ってきた。

    海に囲まれた島。歌島。老若男女が海の生活をしている。
    外からやってきた一人の少女。
    青年の恋は始まる。
    読んでいて悲劇を想像したり、ハッピーエンドを期待したり、最後にどんでん返しがある?とか色々考えながら読んだ。千代子という女は独特だった。彼女の存在は印象的。

    「金閣寺」を読んで、かなり難解だと感じていたが、三島由紀夫はこんな小説も書くのだなぁと不思議な感心があった。

    何か深いメッセージが隠されているようにも感じないし、派手な展開もない。
    爽やかで甘酸っぱい恋愛小説。

  • 青々と力強い海に囲まれた日本の南の小島“歌島”を舞台に、若くたくましい漁夫・新治と美しい少女・初江が織り成す恋模様。

    初めて目にした時から相手のことばかり考えてしまう初恋の戸惑いや、並んで歩くだけで胸が高鳴り続ける様子など、純朴な青年と可憐な少女の瑞々しく、そして真っ直ぐな想いが見て取れます。しかし閉鎖的で大人の意向が絶対だったこの時代、二人の仲に様々な試練が舞い込むことに…。
    荒れ狂う海を相手に雄々しく向かう新治、彼を案じながらも凛と構えた初江、時に穏やかに時に猛威となる海など、人や自然の持つストレートな美しさが光ります。二人の仲を邪推して割って入ろうとする安夫の分かり易いまでの悪役っぷりが、ますますこの二人を眩しく穢れのないところまで押し上げているように思います。

    三島由紀夫が古代ギリシアの散文作品から着想を得たという本作。
    毒素ゼロ、純愛にして爽やかな風が吹き抜けるような心地よい読後感が残りました。

  • 古代ギリシャのイメージと重なる「神々」を題材にした圧倒的な自然の美の中で繰り広げられる若い男女の青春恋愛小説。

    三島作品を読むのはこれで4冊目となるのだが、三島の論理を重じて、整然とした一種の建築物のような印象を与えるこの構成美は自分の心の中にある領域をしっかりと確立して、自分からは離れがたいものとなっている。

    その中でも今回の潮騒は三島作品の中でも比較的に素直で読みやすく、狙ってこのような清らかな印象を与えようとしているのかなと感じた。その清楚さは自然の美しさを存分に感じさせるが、エロスや残酷さをあまり感じさせない三島の描写から感じることができる。また主要人物二人の「新」治や「初」江といった名前からも初々しい恋愛といったものも読み取ることができる。

    三島はこの小説をギリシャ旅行に行った後にすぐ執筆している。どのような感銘を受けたかは憶測するしかないが、古代ギリシャの様々な神への信仰というのに直に触れて、戦後自分が属している社会の人々の生き方と比較したのではないかと思う。

    現代にも言えることだが、戦後から私たちは自由になったと感じている人が多いと思う。しかし、一方では私たちは「自由の刑」に処されているという見方もできる。というのも、私たちはあらゆる選択を自分の意思で選ぶことができるが、その選択は責任を伴う。そのような中で、自分の中に何か指針がないとこの自由は不安や恐れを生むのである。

    そこで三島はそういった人達に古代ギリシャの人々やこの小説の舞台になった自然を崇拝する歌島の人々に意識を向けてみてはどうかと伝えているのではないか?

    自分の中に何か信仰や信念がある人達はその道徳の中で不安や恐怖を感じることなく自由であるし、自分の進むべき道を決めて生きていけるのではないだろうか 

  • 近代文学を学んでる友人にきっと私は三島由紀が好きだと思うと勧められ読んだ。
    あまりにもまっすぐな純愛とストーリーに少し戸惑った。余計な物を取り除いた人間の暮らしを、新鮮な気持ちで読むことができた。洗礼された文章だった。
    もっと彼の作品を読みたいと思えた。

  • 自分の生活とはかけ離れた環境で、描写が丁寧で美しくて、状況がアニメ映像で浮かんだ。この世界の片隅にの絵柄で。

  • 東京生まれ東京育ちの平岡公威が描いた田舎はなかなか的確である。私が感じていた田舎の悪い所がこの小説には凝縮して閉じ込めてあった。あとおっぱいの描写がうますぎる。

  • 純愛 ぴゅあらぶ
    「古き良き」ってこういうイメージよなってのを言語化してくれてる
    偶然アントニオと議論数日前に読了、やっぱり近代文学ある程度読みたい
    4に近い3

  • 現代の作家とはやっぱり扱う語彙が違うなというのが第一印象。
    小さな離島の中で起きる男女の恋愛物語だが海や山などの自然の描写がとても素敵。読みながらまるで釣りに行ったことがあるかのように鮮明に島の情景を思い浮かべ、その美しさに酔いしれていた。エッセイと小説の文体が違うように感じられるのもまた面白かった。

    これだけの文章力をもってしてヒロインのおっぱいを表現するシーンは超えちえち。

    • てぃぬすさん
      最後の1文でこの本読みたくなった。
      最後の1文でこの本読みたくなった。
      2019/12/27
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著者プロフィール

三島由紀夫

一九二五(大正一四)年東京に生まれる。本名、平岡公威。学習院高等科を経て東京大学法学部を卒業。在学中の四四(昭和一九)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後四七年大蔵省に入り翌年退官。四九年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド侯爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。六八年、「楯の会」を結成し、七〇(昭和四五)年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。

「2020年 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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