永すぎた春 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.47
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本棚登録 : 1319
レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050102

作品紹介・あらすじ

T大法学部の学生宝部郁雄と、大学前の古本屋の娘木田百子は、家柄の違いを乗り越えてようやく婚約した。一年三カ月後の郁雄の卒業まで結婚を待つというのが、たったひとつの条件だった。二人は晴れて公認の仲になったが、以前の秘かな恋愛の幸福感に比べると、何かしらもの足りなく思われ始めた…。永すぎた婚約期間中の二人の危機を、独特の巧みな逆説とウィットで洒脱に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫のロマンス小説。
    「潮騒」よりもう少し大人で、現実世界の色々な問題に悩まされながら愛を育むカップルのお話。

    キャラクターの作り込みやストーリー構成の緻密さは、「春の雪」並み。
    それぞれのキャラクターが思い思いに行動しているけど、その行動は必ずどこかでストーリーに影響してる。
    さらっと書いたラブロマンス風なのに、実は緻密に計算されている。
    最後まできちんと作り込んであるから安心して読める。

    テーマは三島がだいすきな「エゴイスト」。
    「そもそも他人はみんな僕たちのために在り、僕たちは結局他人のために在るんじゃないだろうか?」p231

    自分が他人を想ってやったことが、もしかしたら他人に不幸をもたらすかもしれない。
    自分だけのためを想ってやったことが、回り回って他人に幸福をもたらすかもしれない。

    幸福と不幸はいつも隣り合わせで、人生はそういうものだ。


    というかんじ。
    これは私のなかでかなり上位に食い込みそう。
    百子がかわいい。純なのに純なだけじゃないところがかわいい。

  • ★3.5
    百子を若尾文子、郁雄を川口浩が演じた同名映画を数年前に観賞。改めて本書を読んでみると、かなり映画が原作に忠実だったことが分かる。その内容は、今から見ると古風ではあるけれど、周りに許されすぎると逆に物足りなさを感じる、という気持ちは分からなくもなく。そして、ちょっとした嫉妬や浮気心等、時代は変われど人の感情はそこまで変わらない。そんな中、百子と郁雄とは違い、東一郎と浅香さんの結末が切ない。が、そこから惚れた腫れただけではない、大人の分別が感じられる。それにしても、あの彼女の性根の悪さと言ったら!

  • 真面目な大学生、郁雄と古本屋の娘、百子。二人は婚約していて、郁雄が卒業してから結婚式をあげる予定。周りの公認で恋愛する二人にいろんなトラブルが起きつつ、時が進んでいく小説。
    読んでてなんだかハラハラさせられる。周りの人間も「こんな人いるわー」となる人が多い。
    肉体的な恋愛と精神的な恋愛。二つを分けることはできるか、というよくあるテーマも出ていた。世代によっては違うんですかね……。いつ考えても面白いテーマ。

  • 純粋な恋愛模様としては、「潮騒」に次ぎ、かつ、「潮騒」よりもより現実的な立ち位置にするところで、個人的には評価高し。しかし、題名から来る印象は、春が永すぎて、結局結婚には至らなかった、という結論だったのだが、実際はそんなことはなく。バッドエンドでなかったことは、ホッとして嬉しかったが、気が抜けたのも正直なところ。誰のどの恋も、あるある、という感じで、やはり女性ごころや、恋愛模様を、なぜ三島は一男性としてこんなに詳しいのだろうかと脱帽である。
    浅香娘の真意が気になり、兄の真意も気になりつつも、モヤッとしたものがなく、スッキリと読めた。
    難を言えば、この作品だけではないのだが、ところどころ出てくる「ここで作者は初めて打ち明けるのだが」のように、しゃあしゃあと作者が顔を出すこと。三島作品は好きですが、こういうやり口は本当に嫌い。ほかにも、「〜については前にも述べたが」というのも同じく。なぜこういう書き方をしてしまうのだろう。残念だ。と言いつつ、顔を出さずにはおれない三島さんの強さかな、とも思いつつ。
    解説にある、「いわば、これは幸福そのものが一種の不幸と化しつつある状態で、三島氏らしい狙いである。ひとは、こういう三島氏の観方を、しばしば逆説的などというが、本当は逆説ではなく、きわめて順当な観察である。」というのが、良かった。

  • 「永すぎた春」という言葉は、別れを意味していると思ってたけど、ちがった。
    抜粋でない三島由紀夫作品を読んだのは、はじめてだ。

  • 劇的な内容ではないけれど、三島由紀夫の描く人間描写が魅力的で好きな作品。
    女の人が書いたのではと思うほど、百子の気持ちの機微が描かれていると思う。
    確かに吉沢はモテそう。

  • たぶん、三島由紀夫の作品の中ではかなり読みやすい部類に入るのではないでしょうか。勉強不足なので、こんなコミカルな作品があったことを知りませんでした。ただ、そこは三島作品、読みやすさの中に時折はっとするような美しい情景だったり、官能的な表現も織り交ぜてあり楽しめました。1年少々の婚約期間って長いのかな?これが書かれた当時の婚約から結婚に至るまでの期間が普通どれくらいだったのか知らないけど、数々の出来事を潜り抜け初々しい2人の絆が深まって何よりでございました。

  • 2016.5

  • かわいらしい話でした。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    T大法学部の学生宝部郁雄と、大学前の古本屋の娘木田百子は、家柄の違いを乗り越えてようやく婚約した。一年三カ月後の郁雄の卒業まで結婚を待つというのが、たったひとつの条件だった。二人は晴れて公認の仲になったが、以前の秘かな恋愛の幸福感に比べると、何かしらもの足りなく思われ始めた…。永すぎた婚約期間中の二人の危機を、独特の巧みな逆説とウィットで洒脱に描く。

    【キーワード】
    文庫・恋愛・夫婦


    ++1

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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