美しい星 (新潮文庫)

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レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050133

感想・レビュー・書評

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  • 家族全員が自分のことを宇宙人だと妄想しているように読んだ。そういう意味で、すこしぎょっとする設定の話だったが、人間の心の仄暗さや、現代社会の複雑さに対応する人間の振る舞いや有り様、また家族の在り方など、人のこころの機微を丁寧に奥深く描いていて、流石だなと思う。

  • 三島由紀夫が宇宙人に興味を持っていたなんて知らなかった。美を愛する金星人の考え方が、三島に一番近いのだろうか。なんだかこれって血液型占いみたいだ。「おおらかなあなたは木星人タイプ☆」みたいな。火星人の父、木星人の母、水星人の兄、金星人の妹、白鳥座の悪者たち(?)、みんなそれぞれ個性豊かだけど、宇宙人だという説得力は皆無なので、読み終わっても本当に宇宙人なのかそう思い込んでいるだけなのかわからなかった。暁子が処女懐胎を信じ込むところとか滑稽すぎて、かえって人間のあほらしさを表しているように見えた。現実から目を背けているだけなんじゃないの、と。

  • ある家族が、UFOを目撃したことにより、自分達は地球人ではなく異星人だと自覚をするところから始まる話。
    三島が星新一や石原慎太郎らとUFOなどを研究していたことは知っていたので、三島ファンではあるがあらすじを読んで正直、大丈夫か…これはその会の会報誌に載せるだけにしておいた方が良かったのでは…と不安に思いながら読んだ。
    全くの杞憂だった…。
    何で?!
    何でこの始まりできっちり三島文学が仕上がってるの?!
    ああーやはりとんでもない文章力。
    敵対勢力が出てからが俄然面白い。
    クライマックスの論争は、反対のことを述べているけれど、どちらの考えも三島の中にあったのだろう。
    登場人物も、人のいやらしさまでそれぞれきっちり書き込んでいて、さすが。

  • 文庫本の巻末に付された解説のとおり、主人公の大杉重一郎と羽黒助教授一派との議論の応酬は、カラマーゾフの兄弟の大審問官の問いを想起させる、この作品の山場の一つなのは間違いない。

    だが私はこの激論のなかに、三島が昭和45年11月25日自衛隊市ヶ谷駐屯地で自衛隊員を前にバルコニーで行った演説や檄文の要素が多分に含まれていると感じ、戦慄した。
    自衛隊員に決起を促し、ひいては日本の再生を説いた三島の行動は、大杉が世界を救おうとしたのと同様に日本と日本人を救おうという発想によったのではないか。
    そして、その想いが聞き入れられないと判ったときの焦燥や諦念ののち、大杉が、蝋燭が燃え尽きる直前のような自分の生命の最後の時点で、改めて円盤が発する光を生命を賭して自分の目で確認しようとしたのと同様に、三島も、自衛隊員からの怒声を背に、総監室で自分の腹に刃を突き立てることで「瞼の裏に赫奕として昇る日輪」を自分の目で認めたのだろうか?

    家柄と天賦の才に恵まれ神童と目された一方で、三島は同年代の多くが兵役に行き自分もその番が回ってきたものの、体格で劣るため不合格となり兵隊を経験せず、そのため戦争によって世界が破滅し、自分を含めてすべてものが消滅することを夢見ていたと、別の何かで読んだ。

    つまり、三島自身が自分は一般の人間とは違う“何か”であるという視点で自分を見るような状況だったと言っても過言ではないだろうし(それが宇宙人であるかないかはさておき)、そこからさらに進み、自分にとって世界や人類が「救うに足るもの」かということについて継続的な思考が形成されたと考えても、あながち飛躍し過ぎではないと私は考える。

    『世界や人類が「自動的に」消滅しないのであれば、誰かがその存在意義を吟味して、「継続」か「終了」かの審判を決定づけてあげるべきではないのか?
    さもないと、世界や人類は間違ってばかりいて中途半端に破滅と存続を繰り返し、無為に生きながらえることになってしまう・・・』

    大杉重一郎の行動は、まさにそういう視点からのものであったし、三島についても、大杉の「宇宙人」というのを三島の場合「憂国烈士」と置き換えることで、大杉の描写も三島の人生と同様にがぜん現実味を帯びてくるはずで、この作品を寓話と読み飛ばすことができなくなるはずだ。

    小説世界と現実世界とを混同させるのはもちろん危険だが、もし、この作品が発表された当時、三島の真意どおりに精読できた者がいたとすれば、三島の人生の結末を予想できたのではないか、とすら考えてしまう。
    しかし実際には三島の真意を理解できた者は一人もいなかった。だから三島はああせざるをえなかった。
    逆説的だが、そういうことに違いない。
    (2014/4/21)

  • そのまま読んでも充分楽しめる小説ですが、
    変わった設定ということもあり、
    どうして三島由紀夫はこの小説を書いたのだろうと考えながら読む楽しさもありました。


    僕自身は「理想主義者の物語」と解釈しました。
    それぞれの理想主義者たちが、その理想ゆえ遭遇した類似の現実に異なる解釈を与え、罵倒しいがみ合う…
    実際、UFOとのコンタクトという設定が、そういった理想主義者たちの認知、解釈、思考、行動の対比を描くのにいい仕事してるんですよ。

    宇宙をテーマにしてるだけあり、随所に埋め込まれている星の描写も煌びやかで、表現の面においても、また面白い小説であると思います。

  • 三島由紀夫の本は、前に金閣寺か何かで挫折して以来まったく読む気になれなかったんですけど、この本はすらすらと頭に入ってきて、読みきることができました。

    天才だと思いました。
    いや、天才としか言いようがない。
    異彩を放ってますね、美しい星!
    本来小説ってこうあるべきなのかなとか、つい思ってしまいました。こうあるべきって具体的にどういうことって言われても、うまく説明できないんですけど。笑

    普通、ここまで客観視できないし俯瞰できない!
    発想から何から非凡すぎて、この小説はどれだけのものを内包してるのか…って考えたら、気が遠くなりました。
    もう読んでる間中、無数に枝分かれしてる様が浮かんでました。


    神的視点を持っていると思った。
    三島由紀夫自身が宇宙人なんじゃないの!と思わずにはいわれない。笑


    私が浅いからこんなにも感銘をうけるのか…どうなのか…

    正直、この小説で三島由紀夫が言いたかったこととか、微塵も理解できなかったと思います。
    でも、何か圧倒されるものがあった。
    というか、何も理解できなくても、単純に読んでいて面白い小説でした。
    ユーモアがあるし、三島由紀夫の作品の中でかなり読みやすい小説だと思います。

    いやー美しい星面白いです。
    ぜひまた読み直したい。

    この作品が、三島文学の中でとくに目立った作品ではないということにはびっくりしました。

    どうなってるんだろう。三島由紀夫の思考回路は!

    とにかく、かなり衝撃をうけました。

  • 三島作品にしては異色なSFっぽい内容なんですが、まるで最近の世の中を映してるかのような作品。衝撃で、読みながらなんか頭の中がぐるぐるした。こんなことを書けるなんてさすが天才、しかも書かれたのは昭和37年!今現在に読むのにふさわしい1冊です。

  • 初の三島由紀夫作でしたが、読みやすかった。

    純文学は難しいと思い込んでいた私に、三島由紀夫作品のハードルを下げてくれた一冊。

  • うーん。やっぱり三島文学は自分には合わないということが分かった一作。

    我慢して読み続けてみたものの、終盤の自称宇宙人同士の論争の箇所で本を置いてしまった。なんか非常にくどく感じてしまって、お腹いっぱい。

    何作か三島作品を読んできたが、やはり合わないと決定的に分かったという意味では良かった。

  • 三島由紀夫の(ある意味では)SF小説。読みにくさはあまり無い。
    やはり純文学というか、登場人物の劣等感や渇望感は非常にリアリティがある。SF的な世界観の中にも、現代に生きる我々と似たような息吹を感じることができる。
    宇宙人という設定だからこそ、人間臭さが強調されているように思えた。なんとも巧妙。

    物語は謎の感動を残してフィナーレを迎える。家族小説に弱い読者は、油断してるとホロリと来るかもしれない。

    9章での理念の押し問答は、やや難解で飛ばし読みしてしまった。
    でもそこに三島由紀夫のエッセンスが詰まっていたのかも?再読する時にはきちんと拾いたい。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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