美しい星 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050133

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫の魅力である重厚かつ丁寧で美しい文体に、度肝を抜かれるような突飛な設定がかけ合わさるとこうなるのか、という科学反応が面白い作品。

    宇宙人という主人公を設定することで人間を相対化し、鳥瞰し、論じる技法は実に巧みで、人間の矮小さを認めつつも、人間を諦めない「人間讃歌」を首尾一貫した主題に据えているところが、個人的には好きでした。特に仙台3人組との鬼気迫る問答はお見事の一言。

  • あまりにも杜撰すぎてSFと言いたくないSF小説である。とはいえ家族の物語といった矮小なものにも収斂させたくない。読者の読み取り方で如何様にもカテゴライズできる不思議な小説である。分類不能だから取りあえず思想小説ということなのかも。思想の含まれない小説など無いからね。
    内容はともかく、描写とそれに使っている言葉がとても美しい。おそらくこれだけ美しい日本語で書かれたSFは無いんじゃないかな。その点だけでも本書を読む価値は十分にある。

  • 10年くらい前?に読んでるはずなんですが、記録を残してませんでした。吉田大八監督が映画化すると聞いて再読しようと思いつつそのまま。映画鑑賞前にギリギリ読了しました。いやー面白かった。
    三島由紀夫は生涯に多くの作品を残していますが、その中でもとびきりの異色作ではないでしょうか。
    昭和30年代に書かれた本作は、当時では相当に最先端というかトンデモ作品だったと思います。しかし出てくる設定はSFっぽい、というかわざとチープにしているのですが、その語る内容は人間の矮小さであると同時に人間の輝きを讃えており、人間の皮膚一枚を隔てた中にあるものこそ宇宙である、というあたりは感動的です。
    しかし、まさに「人類補完計画」と言わんばかりの悪役?宇宙人の妄想描写は残酷かつ豪奢な文章で、ここも三島の真骨頂なんじゃないかと思います。その修飾語にはうっとりしてしまいます。内容はとんでもないけど。

    映画の方は大胆に改変していますが、要所要所はきちんと残しており、監督の原作への愛が感じられます。まあかなり変な映画には仕上がっておりましたが。

  • 偶然にも、身近に「あの人は宇宙人だから」というような人がいるので、内容に笑いながら読み進めました!
    なんというか、当時でもこういった、異星人がいるだとか、「信じる・信じない」人たちによる宗教じみた会話は皮肉られたりしていたのでしょうか?
    今現在でも、私のまわりにいるアホで幼稚な人たちと変わらないんだなーと苦笑するばかりでした。
    時代の先読み能力がすごい!とも言えますね。
    (私の周囲の人が古いのか・・・?笑)

    最後の、お父さんと訪問客3人との対話のところがとにかく長くてそこの部分だけは読むのが大変しんどかった(眠かった)です。。。。
    でも概ね、楽しめました。
    文体も面白いですね、現代小説ばかり読んでいましたのでとても斬新でした。かといって読みにくいというほどでもないし、漢字の使い方も「へー!」というものも多くて楽しんで読みました。

  • SFちっくで読みやすい前半にグイグイ持ってかれて、ラストの重一郎パパと助教授andゲス取り巻き2人との人間を信じるか信じないかのバトルは内容が深い感じでなかなか読みづらかったけど、もう最後が気になってて無理無理読んだ感じ。
    三島由紀夫の、人間に対する絶望特に原子力を開発した人類への怯えのようなものの裏にはそれでも見捨てきれない人類愛があることが伝わってきました。
    突然宇宙の諸惑星から来たことに目覚めた家族の不思議な絆も最後にはなんだか人間らしい、やっぱり人間らしい絆になって、でも結末はそうなるわけか!、、
    結末は好きです!
    結局宇宙人だったのか、、
    色々気になるところはあるけど心に刻まれたのはやはり
    平和って何か、ですかね。

  • 代表作ぐらいしか読んでない三島由紀夫だが映画化され、異色作ということで読んで見た。宇宙人に乗り移られたという大杉重一郎一家であるが息子と娘はあまりに人間的な中に埋没して行く、重一郎自身も別星系からきたという羽黒一派との論争に破れ癌で死に至ろうとするが、ついに円盤が迎えにくるというとんでもない話なのであるが、羽黒一家との三つの関心(ゾルゲ)の論争は迫力があった。また時間の不可逆性の問題にもふれ、まるでこの間見て来た映画「メッセージ」のように最新宇宙物理学に通じるものを感じた。

  • 映画の予告編を観て気になり購入。

    初三島由紀夫作品ということでちょっと緊張。

    初めはこういう設定なのねと思って読んでいましたが、次第に彼等は本当に本物なの⁇と思い始めずっとふわふわした疑問が落ち着かないまま読み進めていきましたが最後まで読み終えた時、何だかそんなことはどっちでも良いような気がしました。

    彼等が本物でも本物でなくても。

    そういうことではなかったのかもしれない。
    どっちだって大して変わらないのかもしれない。
    なんて。

    映画は現代版で大分内容を変えているようなので、それはそれで楽しみです。
    吉田大八監督の解釈に期待。

  • 2017/05/09
    率直に言って、難しかった。どんなふうに生きてきたらこんなに物事を難しく解釈することができるのだろう。日頃からこんな壮大なテーマについて考えながら生きるのは、さぞかし苦しかっただろうなぁ。平和とは、美とは、、、誰もが願ってやまないけれど、それぞれの価値観は十人十色だから、人によって平和に対する答えも美に対する理想も違っていて、地球的な規模でいうと永遠に達成することができない。まして個人の価値観でそれらを成し遂げようとすれば、それは誰かにとっての世界に対する破壊行為となり得るかもしれない。三島さんが表現したかったことは私のちっぽけな脳では理解できないけど、そんなことを思いました。さて、こんな文学大作を、いかに映像化するのだろう。

  • なんかスゴい話だった。三島由紀夫の新しい側面を見たような気持ちになったけれど、これワタシが生まれる前に書かれた小説なのだということを知ってなおびっくり。解説の人はカラマーゾフの大審問官をあげていたけど、ワタシは埴谷雄高の死霊を思い出しました。

  • 1962年に書かれた思想小説。全10章で、対話討論の始まる8章途中から漸く面白くなる。人間の欠陥として物語中に挙げられた3つの関心は現代にも当てはまるかもしれない。どこかの将軍様がクシャミして押しかねないボタンを、はたまたISらの組織を、そして、それらと同等以上に、科学の行先を私達は恐れている。人が人を滅ぼすとしたら、それは無邪気な好奇心によるものかもしれない。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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