近代能楽集 (新潮文庫)

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レビュー : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050140

感想・レビュー・書評

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  • やはり三島由紀夫の戯曲は面白い!
    素早い展開に美しい言葉…一気に引き込まれその勢いのままにスルスルっと読めてしまいました。

    全8篇、どれも魅力的な作品でしたが特に気に入ったのは『綾の鼓』と『卒塔婆小町』。
    どちらのお話も妖しく夢幻的な雰囲気を湛えた作品です。小説にしろ舞台にしろそういう雰囲気のものが好きということもあって印象に残りました。

    今回、今まで読んできた戯曲と違ったのは、読みながらこんな風に演出したら面白そう!とかセットや衣装はこんな感じというイメージが沸々と湧いてきた点。
    今まで戯曲を読みながらそんな気分になったことは無かったので、自分でもびっくりでした。
    『熊野』に至っては「ユヤ」をちょっと演じてみたくなったりもして…笑
    戯曲を読む時の新たな楽しみ方を知った気分です!

  •  お、面白かった……滅茶苦茶面白かった……。休日、何か色々書こうかと思っていたけれど、読むことに夢中で一日が終わってしまった。
     美しい序破急だなと思った。「邯鄲」で、赤ん坊を軽々殺してしまうような、自暴自棄な主人公が、全財産寄付したり、毒を飲まされそうになるところで生きようとしたりして、夢の中の悟りを開かせる存在を翻弄して、最後は、井戸の花がキレイだなーと終わる、その鮮やかな、大地への戻り方!「綾の鼓」の、聞こえているのに、聞こえてないそのやり取りの後の、「あと一つ、うっていたら、聞こえていたのに……」という終わり方のSっぷり! 「卒塔婆小町」の、いきなり若返る演出、生まれ変わりと巡り合わせの後の、ちゅうちゅうたこかいなというギャップと戻り方! 「班女」の、ずっと待ち続ける女が、ついにその男がやってきても、「素晴らしい人生!」と女二人で待ち続けることを選んで叫ぶ所! 読んでて、「なんて、最後にかましてくるんや~うわーかましてくるわ~」と思った。もう完璧やねん。「道成寺」の、あの紳士のところへ、死んだ男のことを乗り越えて、元気よく顔でやってくぞーっと怖いもの知らずになって進んでいく終わり方。「熊野」の、偽物のお母さんやらが出てきて、なんかもうようわからんようになって、宗盛がみんなをかえしてユヤと二人きりになったあと、実にいい花見をした……という静かな終わりの感じ。「熊野」についてはあと10回くらいは読み直そうと思う。「弱法師」も素晴らしい。藤原竜也が演劇していたそうだが、人間じゃないと評する人がいた。誰からも愛されるんだよと、一人ぽつんとなる終わり方のにくいことにくいこと。
     一編一編読み終えるたび、三島が「ドヤ! ドヤサ!」と言ってる顔が思い浮かぶ。舞台を見終わった時ぐらいの疲労と「おお~」という感嘆の吐息を洩らしてしまう。完璧やん……としか言葉が出ない……。

  • 「邯鄲」「綾の鼓」「卒塔婆小町」「葵上」「班女」「道成寺」「熊野」「弱法師」の戯曲8編で、題名の通り能の演目を、近現代を舞台にしてリメイクした内容。

    解説曰く、単純な時代設定の置き換えではなく結末も変えているとのことで、どうやらより業の深い筋書に変更をしているらしい。たしかに大半の話がハッピーともバッドともつかない虚無的な終わり方でした。

    個人的に一番面白かったのは唯一元の話を知っていた「邯鄲」。これもかなりアレンジが効いていて、夢で女、金、娯楽、名誉すべてを与えられても下らないとまるで興味を示さない主人公に対し、枕の精が面目丸つぶれと殺しにくる話になっていました。終わり方も秀逸。

    「君ってほんとにきれいだ。でも皮をむけば、やっぱり骸骨なんだ。」

  • この本との出会いのきっかけは弱法師の一部だった。全文ではなかったが、衝撃、いや、震撼した。それから半年、いくつかのご縁の後、手元に一冊手に入れた。どれも傑作。能が現代的感覚に書き換えられ、理にかなっているようで、でも、手を伸ばしても全部は掴みきれなくて。その掴みきれない部分が知りたいような知らない方がいいような。それでいて美しく魅惑的。とにかく、心に残る大きな読書体験だった。

  • 何度読んだだろう 大好きな作品です。三島の才能、魅力がいっぱいです。

  • 結城座で2本観てから読んだ。人間のためにかかれたと思えない不可思議。

    何かよく判らない、そういうものが減っていっている今だからこそ、それが嫌で仕方が無いからこそ余計にするする読めたのかもしれない。

  • 文学の教科書でした。
    どんだけ語彙力があるんだー。憧れます。
    「道成寺」の変身が素敵。「綾鼓」はなんだか不完全燃焼。「卒塔婆小町」が有る意味世界の本質を言い当てている気がする。綺麗で残酷で強いおんなのひとがいっぱい。それが世界の構成要素。舞台で見たいなー。よく美輪さんがやってるみたいですけどね。
    とにかくこの人の作る言葉は原作のお能に劣らず美しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「綺麗で残酷で強いおんなのひとがいっぱい」
      確かに。。。
      三島由紀夫の作品の中では、もっとも好きな1冊です。
      「綺麗で残酷で強いおんなのひとがいっぱい」
      確かに。。。
      三島由紀夫の作品の中では、もっとも好きな1冊です。
      2012/05/17
  • 三島らしさが如何なく発揮されてる作品集でした。「綾の鼓」と「卒塔婆小町」が一押し。やっぱ三島って言葉が綺麗。ト書きなので地の文がないのが残念。ものすごく綺麗な世界観なんだろうなぁ・・・。顔だけじゃない名優そろえた劇で見てみたい。

  • 永遠に愛せるこの本は、蜷川演出白石加代子主演で観た。年に数回は読み直して、どうして芝居が好きになったのか考え直している。

  • 一生を仮想体験させてくれる枕、皮の代わりに綾が張られた普通では鳴らせない綾の鼓、人が暮らせるくらいの空間を持つタンス、時も見えるものも遡らせる幻影、などなど、不思議な道具立てを使いつつ、語られる戯曲集。個人的には、生きる意味などないと嘯いていた青年が、一生の仮想体験を通じて、不思議にも生きたい、と思って現世に帰ってきた話が一番好きかな。他の話にある複雑さ、妙味、濃厚さにも心惹かれはしたけど。/それでもぼくは生きたいんだ!(邯鄲)/生甲斐?冗談をおいいでないよ。こうして生きているのが、生甲斐じゃないか。(卒塔婆小町)/薬をさきに下さって、傷をあとからお与えになるの。(葵上)/正気のときのあの人の凡庸な夢は、今ではすっかり精錬されて、あなたなんかの及びもつかない貴いふしぎな夢、硬い宝石になっているんですわ(班女)

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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