午後の曳航 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 175
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050157

感想・レビュー・書評

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  • 少年たちの「悪」に対する純粋な軽蔑と残酷さが非常に美しい小説だ。情景描写も優れており、描かれるもの全てがはっきりと目に浮かんでくるようだ。やはり三島はすごいと感じる。
    『豊饒の海』、特に『奔馬』が私は三島の中では特に好きなのだが、それと同じくらいこれも好きだ。
    長さも丁度良くて、折にふれては読み返したくなる。

  • なんといったらいいのか。
    物語のさわりを書くことがなんと難しいこと。
    三島の筆力に、悔しいけれども、レビューさえできないほど屈服した。

    「世界の圧倒的な虚しさ」を論ずる13歳の少年たちの賢くも愚かな精神と、
    彼らが敵とするこれまた賢くも愚かな船乗りの男の美しき精神と。
    13歳の少年たちは、船乗りが失った「栄光」へと曳航するのだ。
    その手段がまた、賢くも愚かであるのだけれど、
    何が正しいのか、そんなことはどうでもよかったりする。
    不気味であり、甘美である。

    ラストは、秀逸だと思う。
    というか、私が「秀逸」と評するなんておこがましい。
    「誰も知るように、栄光の味は苦い」

    はっきりいって、上記の言葉から想像できる内容とは程遠い物語。

  • 最高

  • ミシマミシマミシマ。

  • 最後の一文を読み終わった瞬間、背筋を走る悪寒と快感!
    栄光のために死ぬ、しかし竜二が思う栄光など本当は存在せず、肥大した自己愛が生み出した妄想に過ぎないのだけど、それにまみれ、しかも登という少年時代の自分とも言えるものに殺される=自分で自分に鍵をかける、こんな幸福があるだろうか?
    更には、精神的には自分に近い、けれど肉体的には自分よりもずっと非力な子供にむざむざ殺されることのマゾヒスティックな喜びも感じられ、単に「恐るべき子供達」の話や行き過ぎた通過儀礼の話として片づけられないのがこの小説の秀逸なところ。
    竜二はもちろん、登や首領達、房子や依子の心理描写の丹念さ、比喩の巧みさには何度読んでも驚かされる。
    三島作品で上位に入る好きな小説。

  • 読書メモ。
    ・塚崎は自分の成功を確信している。世の中を俯瞰している。群れるのは性に合わない
    ・登は世の中のあらゆるものに敵意を抱き、蔑視している。彼もまた俯瞰視点に立っている。全ては虚構だと考えている。
    ・栄光とは、最上の女のために戦い、果ては孤独に死ぬことである。
    ・海とは女のことだ。きまぐれで、だた美しく、それでいて船乗りの乾きを癒すことはできない。

  • 文体が美しくそれだけで読書欲をそそる。世界との完璧な一体感という作者の美意識が良く伝わってくる。そういった心性だからこそ、少年の抱く全能感を少年の目線で違和感なく描けるのだろう。父と子になぞらえた俗と聖の対立の図式も分かり易い。夏と冬の横浜のどこか煤けた風景、とりわけ丘の上の宅地開発地から眺める昼下がりの冬の海の描写と、男が女性の硬くなった乳首を愛撫する時の触感を描写したところは絶品。

  • 三島由紀夫は比喩がとんでもない笑 あと、情景がすごく綺麗に浮かんでくる。景色がきらきらしてる。登の心情が複雑に思えてよくわかりませんでした。ただ単に大人が憎くて、成長したくなかっただけなのか?難しい。房子と竜二と登の三人の心情にかわるがわるスポットが当たって、人間の心って色々だなーと思った。子供の考えもおもしろい。結末にいくにつれてじれったくなって、ところどころすっとばして読んでしまった。なのに結末があれって!じりじりさせる終わり方だった。あと関係ないけど、都会の人たちって昔からあんなに裕福な暮らしをしてたのか。

  • 物語物語

    少年だ

  • 今のところ三島由紀夫の中で一番感動しました(豊穣の海が未読なのですが…)

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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