宴のあと (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050164

感想・レビュー・書評

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  • 生き生きとしたやり手の料亭女将、福沢かづと、あまりにも貴族的な革新主義者、野口雄賢。ひょんなことから結婚し、野口の都知事選を戦うことに。政治に疎いかづの政治性と、政治家であるはずの雄賢の政治に向かない姿。2人の対比が面白かったです。

  • かづがなんだか可哀想
    あんな男に惚れたばっかりに

    でも、かづには野口と離縁し、
    再起に駆け出した姿の方が似合っている。

  • 文学

  • 政治の世界とは、国の方針を定める深い話し合いの場である
    と同時に
    覇権をめぐって権謀術数のうずまく闘争の場でもあるのだった
    闘争が精神をたかぶらせるとき
    脳内麻薬の作用で人は若返るものらしい
    それゆえ、民主主義における無血闘争、すなわち選挙というものは
    祭りや宴に例えられることもある
    「宴のあと」は、日頃おだてられて少し勘違いした成金の中年女が
    亭主の選挙活動に魅了されてしまい、首を突っ込む話
    手段と目的が逆転しているのならば
    いずれ全てを焼き尽くすか、自分自身を滅ぼすまで終わらないだろう
    世界を飲み込む自己陶酔
    民主主義とファシズムの関係性をここに見いだすこともできる
    1960年の作品
    それは浅沼委員長襲撃事件をへて
    社会党がポピュリズムに目覚めはじめた頃のこと

  • 三島由紀夫が生きていた時代を思えば、政治的な皮肉も含まれた作品であろうことは想像に難く無いのだけれども、そういった内容的な面白さより、三島由紀夫の人間の洞察の鋭敏さと、それを極めて的確に表現しきる描写力と語彙量がまず目立った。併せて、季節のものや自然のものを色鮮やかに表現しきる叙述力がとにかく凄まじい。二人の恋路も選挙も、どこか俗っぽく、特に野口の語る理念から程遠いところの対比が人間臭い。決して古臭い感じがしないことにも驚く。

  • 読了後の余韻が凄まじい。
    薄い本のはずなのに、大作を読み切った後のような感傷がある。

  • “政治の世界を巧みに描いた小説”というイメージでしたが、違いました。主人公の福沢かづは、政治の世界を自分の情熱の世界にのみこみ、それをエナジードリンクのようにして生きている女性。彼女の内側にあるものと外側にあるものや、静的なものと動的なものが、情熱を媒介に一体化していて、ひとつの強烈な生き方になっている。一方、野口は潔癖なゆえに政治の世界に生ききれない政治家ですが、彼の潔癖には、時代性のようなものを少し感じました。

    (追記)
    内面的な意味での女性性に根ざす情熱と男性性に根ざす情熱、それぞれが現れる形や現れる先が、人生においてこのように異なるということと、また、その対比ということに、社会生活を送る中でふと思い当たりました。

  • 日本の政治風土は今も昔もかわってねーと思うよ。一連の物語はかづの夢なんじゃないかと思う。天人五衰のラストを見せられているようなラスト。

  • 愛した男と結ばれ、終の棲家と骨を埋める安らぎの地を得ても、結局は愛憎入り乱れる狂騒の中でこそ生き生きと輝き、最後は安住の地を捨て鉄火場へと戻ってしまう。
    仇と罵る相手に慈悲を乞う様は業深く、見苦しくもあるが、それゆえに人間の秘める刺激への渇望を最も端的に体現しており、妙な人間的魅力がある。

    行為としてはとても褒められたものではないが、反面常に宴の奔流に身を置きたいと願う心理を全否定できるほど、俗世から超越した人格者というのもそうそう居ないのではなかろうか?少なくとも自分は、ほんの僅かなれど共感することが出来た。

  • G 2016.10.17-2016.10.22

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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