音楽 (新潮文庫 (み-3-17))

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1975
レビュー : 225
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050171

感想・レビュー・書評

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  • 初めてレビューを書いてみようと思う。あわよくば、これで私の稚拙な文章が少しでも改善されることと、レビューを書かずに逃げるという悪癖が治りますように。

    この三島由紀夫著「音楽」を読んでみて。最初に感じたのは、やはり三島由紀夫は素晴らしいということだった。
    不感症の女性を中心に取り巻く愛憎模様がこの作品の中枢だが、やはり精神分析医にかかっているという背景から、フロイトの提唱する心理学を念頭に様々な心理学の詳細な知識が介入する部分があるが、そこは流し読みしても充分楽しめる作品だったと思われる。
    私が三島由紀夫の作品で何よりも好きなのは、決して女性が弱くないということだ。角川文庫の「夏子の冒険」の主人公「夏子」もそうであるように、裕福な家庭で生まれ育った女性であるという背景に違いはなくとも、彼女たちの強さはその自我であったり、美貌であったり、心構えであったり、ともかく男性が決して踏み散らかせない領域であることに間違いはない。実際、男性に振り回されて敢え無くその美貌や性格を台無しにする女性がいても、それは芯が弱いだけであったと思いたい。その上で、そういう女性たちは自我や心構えという点で落第者である。
    実際、この「音楽」の主人公「麗子」であっても、その究極的な美貌と心理学的な悪魔的性格から、男を―――時には主治医の精神分析医さえも―――虜にしていく。その過程は、確かに彼女の美貌、性格が為したといっても過言ではないが、しかしそこには、確かに彼女がこれまでの人生において培ってきた知識や知恵が存在した。つまり美貌と悪魔的性格だけでなく、それなりの知識的素養も身につけている女性の、全てが総合的に作用したからこそ為された業であるということに、私は女性の恐ろしさと、女性の可能性というものを教えられたのである。

    不感症であるゆえに音楽が聞こえない―――つまり性欲を音楽に喩えたこの表現は、この作品の一種のキーワードといえるのであろう。何か感じたことがあるとすれば、私はこの表現がとてつもなく好きだということだ。

    女性の描き方から、言葉の表現から、三島由紀夫は私の憧れる作家である。言葉を自由自在に操り、その言葉で女性を表現する。これが、私がこれからも三島由紀夫を読もうとする理由なのだろう。

  • 三島にしてはわかりやすい平易な文章で書かれており、非常に読みやすかった。三島の作品でここまで内容を理解できたものは他にないと思う。
    麗子とその兄を禁断の行為へ陥れた酒場の女に怒りを覚えた。度をすぎた行為は被害者の人格、人生を大きく変えてしまう。特に傷つきやすい女性や人格のまだ形成途上の若者・子供に対しては殊更にそうであるので、行動に責任を持たなくてはならないと感じた。最後はハッピーエンドで満足。

    新潮文庫の三島由紀夫作品残すところあと8冊。頑張って読みきります。

  • 三島由紀夫が1964年に発表した長編小説です。この"音楽"というタイトルから想像できる内容ではありません。精神分析医の主人公の元を訪れた不感症に悩むある女性患者の治療をする話です。"音楽"は"オルガスムス"の隠語です。近親相姦を取り上げた作品なので、かなり重たい内容ですが、精神科医が女性の深層心理の謎を解明しようとする姿を、サスペンス風に書いているので意外にも読みやすいです。ラストはみんなに救いがあって良かったです。男性を翻弄する麗子の姿がイキイキと描かれているのは、作者が男性ということを考えると凄い。

  • 三島由紀夫の本は難しいと思って手にしていなかったけれど、
    この本は続きが気になっって気になってどんどん読み進めていけた。
    麗子とそれをとりまく登場人物が次は何をやらかしてどう絡んでいくのか…
    また、結末はいったいどうなるのか…
    まったく想像ができなかった。
    先生が冷静に麗子を分析していくので読んだ後、こちらまで冷静になったような気がしたw

  • downyの青木ロビンが勧めていたので読んでみた。

    精神科医の主人公と不感症かつ虚言癖のある女の
    ミステリーのような展開のストーリー。
    オルガスムを音楽に例えている。

    嘘をつく女性、
    それに翻弄される男性、
    嘘を分析する精神科医の主人公の考え方が
    よく描き分けられてるなと感じた。

    嘘が見破られ、真相が出てくる
    新しい登場人物が出てくる
    など、展開もはっきりしていて、読みやすい。

  • the title of this book "Music" means "organism" on sex. what a beautiful expression, Mishima Yukio!! i am his book junkie...

  • 精神病んでる人は美しいですな

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      この話は、読んでて結構辛かったです。。。
      「美しいですな」
      私は、美しい女性を怖いと思いました←今は違いますが、、、
      この話は、読んでて結構辛かったです。。。
      「美しいですな」
      私は、美しい女性を怖いと思いました←今は違いますが、、、
      2012/04/16
  • 三島由紀夫の作品の中で最も論理的で心理学的、そして神秘的な一作。
    兄との過去が原因で不感症となった女を、精神科医が完治させるまでの物語です。

    エンターテイメント型の展開を見せながらも、心理学的には十分に重厚で、一部キリスト教的なテーマも含む傑作かと。

    物語の構成が少し似ている…と思ったのが、フランスの没落貴族ヴィリエド・リラダンの名作「未來のイヴ」です。

    ヒロインとなるのは「音楽」では性的不能者の麗子、「未來のイヴ」では心だけは何よりも人間らしい機械人形(ホムンクルス)のハダリーで、

    どちらの女も心身ともに美しいが、男の性欲を破壊する「冷たい体」を有すこと、即ち性的に不感症という点で共通している。

    また、両作ともに不可能の恋に悩む青年が物語の発端となるところも興味深い。
    青年は「音楽」では精神科医に、「未來のイヴ」では科学者エジソンに出会い、女の不感症を紐解いていく……。

    さて、どちらの物語も青年からの電報によって締められるわけですが、不可能な恋を叶えることに成功したのは、科学者ではなく精神科医でした。

    電報によりハッピーエンドを報せた「音楽」、電報によりハダリーが海に沈んだこと報せた「未來のイヴ」。

    「音楽」のラストシーンでは、麗子の不感が完治したことを知らせる電報が精神科医のもとに届く。
    「オンガクオコル、オンガクタユタルコトナシ」と。
    それはきっと、添い遂げることができなかった機械人形ハダリーの未来。

  • 自分とこに来る患者にまつわる精神科医の手記の形を取っている小説で、フロイトの理論がかなり取り上げられていたり、フロイト自身もまさにこういう患者事例の連なりで本を書いてたりしてたので、さながら三島流フロイト手引書ってとこかなあと思った。

  • 読む前、ネットでの評判は悪かったが読んでみたら文章が読みやすく、また推理小説のようにスラスラ読めたので面白かった。

    ただ、自殺した著者の本はあまり読みハマらない方が良いと思う。
    読者も潜在的に死へ魅了されてしまう恐れがあるから。
    注意されたい。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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