真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

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レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050188

感想・レビュー・書評

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  • 三島の自選短編集。主義主張が前面に出ていない三島は相当に好き。中でも『真夏の死』はマイベストオブゆきお。人間の感情の描写が絶品。シニックで寓話的な『サーカス』みたいな小品もよい。

  • 著者の自選になる第1短編集『花ざかりの森』は、そこに収められた作品群が、いずれも情緒的あるいは情念的であり、小説を読む快楽を味わえた。一方こちらの第2短篇集は、多分に観念的であり、小説を読む楽しみにしても知的な側面を多く持つことになる。巻末にある著者の自註でも、それぞれの作品に対する固有の方法意識が語られており、いずれもその限りでは実験的なものであったようだ。アフォリズム風のうまさは随所に感じられるが、小説世界への投入感はいくぶん弱くならざるを得ない。篇中ではやはり表題作「真夏の死」が白眉か。

  • 三島由紀夫を気にするきっかけとなった本。「翼」という収録作が高校生の自分には割と衝撃的で、映像情報ばかり享受している自分ら世代に比べ、アナログだった先人達の妄想力の凄さを見せつけられる作品だなーと。貞操感とかそういったものが強い方々には支持される一方で、今のフランクな若者達には気持ち悪いで済まされそうな、少し時代錯誤な作品でした。こうした三島由紀夫、安部公房、坂口安吾の世代の作品は先人達の考えの深さをかいま見られて本当に好きです。読み物としては重い物が多いですが、頑張ります。

  • ”ボーイズラブ”の真逆のものとして、キレイな女の子と可愛い女の子がキャッキャウフフする”百合小説”なるジャンルがあるが、私の知る限り、その最強の作品が本作に収録されている『春子』である。三島由紀夫、おそるべし。

  • 文章の美しさ…
    こういう言葉が出てくる作家はごく少数です。
    古い本でも難なく読め
    そのレベルの高さには
    ただただ感服するばかり…

    表題作は子どもをなくした親の
    悲しい心理をリアルに表現しています。
    どんなに月日が経とうが
    子どもができようが、その傷は消えようがないのです。
    それが、最後に結集されているように思えます。

    それと定評の恋愛に関しての作品も秀逸。
    どの作品も、高品質です。

  • 短編集。特に春子がお気に入り。愛し合っている姉妹が、互いに一人の男性と関係を持たせようとする話。とても官能的。

  • バラエティ色豊かな短編集。最初期〜中期にわたる作品がバランスよく配置されている。

  • 最も敬愛する文豪の短編集。
    『花ざかりの森・憂国』も良かったけど本書も素晴らしかった。
    美しく研ぎ澄まされた日本語の洪水。
    一文一文ごとに唸りながら読まざるをえない。
    どの短編も印象に残って鮮明に思い出されるな。

    一編ごとの簡単なレビューでも。

    『煙草』:戦後の混乱期に描いた少年の精神的飛躍。誘惑に揺れる青春期の描写が秀逸。
    『春子』:最後の一節の巧みな表現に感服。
    『サーカス』:人間の闇の部分を描いた作品。全体から伝わる禍々しい感じ。
    『翼』:どこか幻想的で寓話っぽい。
    『離宮の松』:ただただ悲劇。奇怪な行動でも納得させられてしまうのが凄い。
    『クロスワードパズル』:珍しくサスペンス調で楽しく読めた。
    『真夏の死』:表題作。感情描写の巧みさに畏敬の念すら覚える。今まで読んだ短編の中でも指折りの作品。実話ベース。
    『花火』:これもなかなかミステリアス。
    『貴顕』:淡々とした文体にゆるやかな悲劇が描かれる。美とその盛衰がモチーフの作品。
    『葡萄パン』:石原慎太郎や村上龍を思わせるアプレゲール。最近特に好きだわこういうの・・・。
    『雨の中の噴水』:コントの中にも鋭い表現が見え隠れしてる。

  • 初期短編。今年は三島作品の初期によく登場する少年の青々しさにはまってる。
    相変わらずの緻密な描写はいくら読んでも飽きない。
    ぴょこりとあらぬ方向にお辞儀をして逃げた、って場面なんてとても好き。
    個人的には短編がにがてなので、どうしても「ああもう終わり」とおもうけれど、短編好きなひとにはおすすめ。

  • ねちっこく精緻な文章が、とても心地いい。
    表題作は力作。こんな空虚な気持ち、この追体験でしか味わったことがない。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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