真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050188

感想・レビュー・書評

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  • 一番印象的だったのが葡萄パンかな。まさか三島の作品で「ナオン」だの「ハクいスケ」だの「ルービ」だのといった梅宮辰夫が使いそうなセリフが出てくるとはw三島の解説にもあったけど,こういった若者文化はすぐに陳腐化するし,若者もあっという間にオッサンオバサンになり,その若者もすぐにオッサンオバサンになり,永遠の再生産サイクルを見たような。

  • 2016/11/20 読了

  • 2016.11.11

  • 戦時中~戦後を舞台にした短編が収録された一冊。
    筆者の変質的な愛情や性癖を感じる話は少ないが、比喩の上手さを感じる場面が恐ろしく多い。
    表題の「真夏の死」は身近な人間の死に関するエゴ、悲しみ、責任の念がブレンドされた人間の苦悩が伝わってくる。

  • 今月の猫町課題図書、三島由紀夫の自選短編集。三島なんて、高校時代に潮騒、金閣寺あたりを読んで以来。

    表題作の「真夏の死」はなかなか面白く、確かに小説としての妙味があった。また、著者本人による作品の解説(暗示から破局までを逆順にした)も非常に興味深いものがある。しかし、著者が「短編の妙味を数理的に醸し出そうとした」と言われる2編をはじめとする数編は、いかにもとって付けたような不自然さを拭えず小説になっていないという印象で、全体的には凡庸な短編集だった。好みの順で言えば上述の「真夏の死」、官能主義に徹っしたと言われる「春子」、少年の感情が自分の手の内で転がるようなコミカルな短編「雨のなかの噴水」か。

  • 呑気とも思えるふわふわ感。そこから現実的で恐ろしい世界に落とす。
    後に残る余韻をどう処理するか。

  • 表題作「真夏の死」は海難事故で子どもを亡くした夫婦の話だ。
    本の最後に著者自身による解説があります。
    それによると  - 主人公・朝子が、全く理不尽な悲劇からいかなる衝撃を受け、しかも徐々たる時の経過の恵みによっていかにこれから癒え、癒えきったのちのおそるべき空虚から、いかにしてふたたび宿命の到来を要請するか、というのが一遍の主題である。ある苛酷な怖ろしい宿命を、永い時間をかけて、ようやく日常生活のこまかい網目の中へ融解し去ることに成功したとき、人間は再び宿命に飢えはじめる。 - とある。

    どういうことか。
    主人公・朝子は水の事故で子どもを失う。その悲しみがいずれ癒える。(まさに時の経過によって傷が癒える)
    すると、この悲劇は必然性が見出せず偶然の出来事になってしまう。(これが空虚を生む)自分の子どもが死んだ理由が‘たまたまだ’ということに親は耐えられるでしょうか?
    だから悲劇の必然性を見出そうと必死に悲しみに意味付けを行い物語化をしていきます。さらに朝子は物語化によってこの悲しみは宿命だと解釈する。さらに新たなにお腹に宿した子は別の必然性を待つために準備と考える。(ふたたび宿命の到来を要請する)ということです。

    人間には悲しみや苦しみに意味付けをして合理化しようとする心理がある。
    いまある苦しみや悲しみに意味があるように解釈する。ひょっとしたらこれは天が与えた試練かもしれない。悲しみを乗り越えるのがわたしの使命だ。そして苦しみの後には必ず喜びがやってくる、という因果律で経験を物語化していく。世界宗教が生まれる因子もここにある。

    短篇ですが三島らしい緻密な構成と文章で非常によく出来た作品。

  • 三島由紀夫を気にするきっかけとなった本。「翼」という収録作が高校生の自分には割と衝撃的で、映像情報ばかり享受している自分ら世代に比べ、アナログだった先人達の妄想力の凄さを見せつけられる作品だなーと。貞操感とかそういったものが強い方々には支持される一方で、今のフランクな若者達には気持ち悪いで済まされそうな、少し時代錯誤な作品でした。こうした三島由紀夫、安部公房、坂口安吾の世代の作品は先人達の考えの深さをかいま見られて本当に好きです。読み物としては重い物が多いですが、頑張ります。

  • 短編集。特に春子がお気に入り。愛し合っている姉妹が、互いに一人の男性と関係を持たせようとする話。とても官能的。

  • 短編集。

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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