- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050188
感想・レビュー・書評
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川端康成が雑誌に紹介したことで、三島由紀夫が文士になるキッカケとなった短編「煙草」が読めたのが嬉しい。青春を彩る要素として煙草や部室の匂いが出てくる所が三島由紀夫っぽくて好き。
「葡萄パン」を読むと、昭和初期からビールを「ルービ」と呼ぶなど文字を逆に読む流行り言葉があったことが分かり新鮮であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自選の短編集 ベタな設定だけどきれいな物語のもの ものがたりに興味津津な最近の私にはとても楽しくて素晴らしかった きちんとオチ、っていうものが多いんだけど結末はっきり理解できないのいくつか 由紀夫ちゃんは短編がいいのね 三島の特徴の整然とした構成の美しさっていうのがよくわかる
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三島由紀夫文学の入門として読んだ。著者自選の11篇から、著者の思想の輪郭が端的に見えたように感じ、とても良かった。ただ読むのにエネルギーが必要だったので、ゆっくりゆっくり読み進めた。
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解説は三島由紀夫本人
「第三者の手にかかって、とんでもないことを憶測されるよりも、古い自作を自分の手で面倒を見てやりたい」
所収短編リスト⇩ #英語 タイトル
煙草 Cigarette(ラグビー部)
春子 Haruko
サーカス The Circus
翼 Wings(いとこ同士)
離宮の松 The Pinetree on the Palace Grounds
クロスワード・パズル Crossword Puzzle(旅館301号室)
真夏の死 Death in Midsummer(伊豆今井浜での事件から着想)
花火 Fireworks(両国の花火)
貴顕 The Dignitary(きけん=身分が高く、名声のあること)
葡萄パン Raisin Bread(鎌倉、若者のパーティ)
雨のなかの噴水 Fountains in the Rain(丸ビル) -
11の短編。緻密な描写と冷徹な眼、ゾクっと来る感覚は相変わらず。2021.6.5
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短編集。寂しい短編が多い。自分を見失っていたり、空っぽだったりの人物が多い印象。
「真夏の死」は子供たちを溺死で失った母親の物語。過酷な宿命を受けた後の虚しさを描いているらしい。 -
伊豆の海岸で2人の子供を失った女性(朝子)の物語です。
彼女が味わった理不尽な悲劇が、時の経過によって忘れかけている際、彼女がその忘却に対して葛藤している場面で描かれている
『…人間を狂気に陥れて、死なせるのには、どれだけの大事件が必要なのか?それとも狂気は特殊の天分に属し、人間は本質的に決して狂気に陥らないのか?
我らを狂気から救うのもは何ものなのか?生命力なのか?エゴイズムなのか?狡さなのか?人間の感受性の限界なのか?…』
の流れと勢いには、朝子に感情移入している反面、高揚する感情も押し寄せてきて表現し難い複雑な心境になりました。
数段に分かれて累積している雲の上段の部分を表す表現『箒で掃いたあとのような軽やかな雲』はとても綺麗でお気に入りです。
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一番印象的だったのが葡萄パンかな。まさか三島の作品で「ナオン」だの「ハクいスケ」だの「ルービ」だのといった梅宮辰夫が使いそうなセリフが出てくるとはw三島の解説にもあったけど,こういった若者文化はすぐに陳腐化するし,若者もあっという間にオッサンオバサンになり,その若者もすぐにオッサンオバサンになり,永遠の再生産サイクルを見たような。
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2016/11/20 読了