青の時代 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1362
レビュー : 132
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050201

感想・レビュー・書評

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  • 光クラブ事件に興味を持ったことが読むきっかけになった。

    三島はさまざまな要因によって執筆にかける時間が少なく、作品を膨らませる余裕がなかったことから失敗作としたらしいが、しかしまた愛着もあると言っており、私にも心に引っかかる何か不思議なものを残していった。

    幼少期からの父との確執に起因し、自尊心が高く自意識過剰で独善的な性格を形成した誠は最後まで冷酷だったが、その冷酷さは反対にとても脆い部分でもあったし、自分が作った枠以外では何もできないことを表していたと思う。
    序に「贋物の行動の小説」「贋物の英雄譚」を書きたいとあるが、贋物を象徴するもので強く印象に残ったのは、幼少期に欲しがった非売品の作りものの鉛筆、投資詐欺に遭う際に目にして投資を決意した鉛筆の形をした容器、行く末を覚悟したときに自身が嘲笑していた易の鉛筆を目にしたエピソードだ。
    枠を作りそこに全てを当てはめていくことを当然とし、その枠を壊すこともできなければ作ることもやめられなかった誠は、だからこそ独り善がりであり、周囲の人間がどう考えているかなど思いつかなかっただろう。
    手にした大金で人を惹きつけることはできても自身の枠の中でしか行動できない誠は、最初から最期まで孤独であり、そこに同情こそないが多少の哀れみを感じたのかもしれない。

  • 日本におけるアプレゲール犯罪の1つと言われる光クラブ事件を題材にした小説です。
    だけど、ちょっと構成に問題がありそう。

    木更津での幼い頃の家庭の陰鬱さとかがしっかり描かれているのに、一高に入ってから戦争に行って帰ってくるまでの間が抜けています。
    で、いきなり高利貸し金融を始めて、愛人にしようとしていた秘書の女性が実は税務署員の恋人で、会社の情報を横流ししていたので会社をたたもうかな…ってところで終わっていた。

    三島さんらしい奥深い人物描写があって、もっと楽しめそうだったのにちょっと残念。
    光クラブ事件を題材にするのならば、社長だった東大生が自殺するところまで描いて欲しかったな…。

    でも、三島さんは死ぬことよりも生きることの方が難しいって思っていた人っぽいから、案外小説で簡単に自殺させないんだよね。
    『金閣寺』でも実際の犯人は裏山で自殺未遂をしているのに、たばこを吸って「さぁ生きよう」で終わらせていたんだものね。

  • タイトルが気になって読んだ。三島由紀夫はこれが一番好き。

  • 大衆文学が好きなお前らには私の小説は理解出来まい。と大上段より見下すような難しい言い回しは蟲づが走る。啓蒙思想家のつもりなんだろうか?そういう時代に生を受けた悲哀なんだろうか?

  • 三島由紀夫はなんとなくニガテなイメージがあったのだが綺麗な文を書く。実際の事件をモチーフにしているとのこと。

  • 耀子という女のミステリアスなキャラクターが魅力的。

  • 心理描写はさすがでしたが、全体としてぼんやりしている。解説があってやっとなんとなく読んだ気になるかんじ。

  • 後半、主人公は詐欺まがいの仕事を始める。テンポよく話が進んでおもしろいし、女性とのやり取りなども興味がわく。けれど、私にとっては、前半の父親との確執の方がより心に響く。それは、現実の自分と息子との間の問題があるからだ。親子で似た性格であるからこそ磁石のNとNやSとSのように、あるいは電気の+と+や-と-のように、反発が起こるのだろうと思う。それを、この主人公はどうくぐり抜けてきたのか。結局、父親が一番嫌いなこと(不正義、それはまた主人公自身も一番嫌いなはずなのだが)を実践することで、父親への復讐を果たしたということになるのだろうか。そう、せっかく手に入れた売り物でない鉛筆を海に捨てられた、そのときの思いに対する復讐を。できれば、そうして気が済んだなら、この主人公にはその名前の通りに誠実な生き方にもどってほしい。それが親としての思いだ。

  • 解説に助けられてようやく何となくわかった気に。
    そうでなければどれを書きたかったのかが
    掴みにくいと感じた。

  • 心理描写が素晴らしい。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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