豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

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レビュー : 181
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050232

感想・レビュー・書評

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  • 2019.12.07読了。
    今年42冊目。

    豊饒の海第三巻。
    ストーリーも一番面白かったけど、インドのベナレスのくだりが興味深くもう一度そこだけ読み直したいw
    が、とりあえず最終巻天人五衰を早く読もう。

  • 対照的に描かれる、本多の「老い」と「あこがれ」が読んでいて辛いほど。でも「ベナレス」は圧倒的。

  • タイに住んでいるので、舞台を思い浮かべやすく面白かった!

  • 主人公の本多は47歳。もう若い力は残っていない。そんな折タイで「自分は日本人の生まれ変わりだ」という幼い姫に出会う。その姫に惹かれていく本多を描く。本多のタイ・インドでの体験と輪廻の話も出ており、これまでのそしてこれからの輪廻転生の物語を考える上で重要な部分のよう。ただ前の巻よりは劇的ではなかった。

  • 個人的には作品と作者とは切り離して考えるべきだと思ってはいるのだけど
    どうしても、自分の中で勝手に構築していた三島由紀夫に対するイメージを、刷新せざるを得ない
    閃くことと瓦解することが同時に起きている

  • 川島雄三の風船を見たときに感じた、この時代の1890年前後生まれの世代に対する無自覚な印象が盛り込まれている気がする。今と違い格差が大きいから一概に世代とは言えないけど

  • 三島由紀夫「暁の寺 ~豊饒の海(第三巻)」
    そして、村上春樹への影響をめぐる個人的仮説。

    大東亜戦争が刻々と迫る中、弁護士として成功を収めている本多は、出張先のタイで「日本人の生まれ変わり」だと主張する幼い王女、ジン・ジャンと出会うことになる。第2巻で切腹した飯沼勲は今度は女性に転生しているのだった。

    前半のクライマックスは日米の開戦だが、著者がこの瞬間を以て日本の精神(らしきもの)の死を予感していることがよくわかる。開戦に沸く皇居の前で日露戦争の弔いの写真を思い出す場面が鮮烈。
    「本多の目はこの幻を歴然と見た。ふたたび万歳の声と、目に鮮やかな日の丸の手旗の波がよみがえってきた。そのことは、しかし、いいしれぬ悲傷に充ちた感銘を本多の心に残した」(P114)。本多をつうじて、三島はほとんど日本を「弔って」いるのである。

    それだけに戦後のどさくさで巨万の富を得た本多を描く後半はつらい。第1巻、第2巻で日本の精神主義をあれほど嫌っていた本多は、今度は戦後の拝金主義のおぞましさ、米国(というよりそこにおもねる日本)への嫌悪感からひたすら退廃的に生きている。朝鮮戦争の好景気の中、負傷した米兵を芸者があざ笑うシーンは強烈。そして来日しているジン・ジャンを守りたいという感情がいつしか欲望に変わっていく描写の救いのなさもすさまじい。

    この空虚さに、仏教の根本問題、すなわち「我を否定し、したがって霊魂の存在を否定している一方で、前世の業(カルマ)による輪廻転生もあるのだとしたら、転生しているのは一体なにものなのか」という問いについての考察が絡み合うのだ。三島すごすぎ。

    蛇足だが。以前から村上春樹は三島由紀夫の影響を受けている(本人は「日本文学はほとんど読んだことがない」と力説しているが)、というのが私のひそかな確信だったのだが、今回改めて実感した。つぎの二つって同じことを言っている気がしてならないのですがどうでしょうか?

    「自分が望むものは・・・もし手に入ったら瓦礫と化するに決っているから、望む対象にできうる限り不可能性を賦与し、少しでも自分との距離を遠くに保つように努力すること、・・・いわば熱烈なアパシーとでも謂うべきものを心に持すること」(P292)

    「東京について寮に入り新しい生活を始めたとき、僕のやるべきことはひとつしかなかった。あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分のあいだにしかるべき距離をおくこと―――それだけだった」(「ノルウェイの森」、上巻P47-8)。

    なんか、いろんな意味ですげーな、二人とも。

  • 豊饒の海(1)の感想ご参照

  • 豊穣の海4部作の第3作め。起承転結の転。なんとも驚く展開。法と規律の世界に生きていた本多が、タイ・インドを訪れることで大いに変っていく。次はどのように転生するのか、早く第4部が読みたくなる。

  • 豊饒の海、第3巻。
    美しい華族の清顕、右翼テロリストの勲ときてタイの月光姫に物語は流れ着きました。
    解説にもありますが正に起承転結の「転」である本作は、タイ・インドから物語が始まり、三島由紀夫の思う輪廻転生の核について様々な形で描かれていました。
    阿頼耶識という一瞬一瞬の識を、水の飛沫が連なって一本の線に見せている「滝」を例にしており、
    「滝の下で」と言った清顕の一瞬の美しさを引き継いで滝の下に現れまた一瞬で消えてしまった勲。
    今西の変態主義的な「柘榴の国」のコミカルな台詞の中にも、美しいものは死ぬべきことや一瞬の性的な絶頂こそ最上であるという設定の描写があり、
    =人生の1番美しい瞬間に死んでいった清顕と勲
    の運命について納得させられる重要な文章が非常に多かったです。
    流れ行く一瞬を清顕、勲、月光姫と受け継いで
    三島由紀夫曰く「世界解釈」の解答が最終巻に向けて一気に加速した第3巻でした。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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