豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050249

感想・レビュー・書評

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  • 豊穣の海 ようやく読了。仏教用語は理解が及んでいない。興味はあるが・・時間があれば再読したい。

  • 四部作再読了。完結巻となるこちらでは昭和45年、本多76歳からスタート、昭和45年に自決した三島にとっては未知の未来となるその5年後まで物語は続く。

    ジン・ジャンの死から16年、旅先で本多はその生まれ変わりと思われる少年・安永透と出逢い、孤児である透を養子に迎える。このあたりの本多の思惑は複雑。すでに老醜を曝している本多にとって、透の存在は果たして掌中の宝だったのかそれとも人生への復讐だったのか。選ばれし者であった清顕や勲、月光姫、若く美しいうちに死ぬことが運命づけられていた彼らに嫉妬していた傍観者でしかない本多は、透を見届けたかったのか、それとも何もかもぶち壊しにしたかったのか。

    透の邪悪さはおぞましく、それを破滅させた慶子の手腕は鮮やかで溜飲が下がった。四部作通して女性の登場人物では一番好きだったかも。その醜さゆえに狂気に陥り自分を絶世の美女と信じて妄想の世界に生きる絹江というキャラクターも強烈。

    最後に本多が聡子に会いにゆく場面は感慨深い。京都から奈良へ本多がハイヤーで辿る道の途中に私の地元があるのだけれど、私が高校生の頃、通学路として自転車で毎日走っていたあの道を、おそらく本多ではなく三島自身も実際に通ったのだろうなと想像すると不思議な気持ちがする。

  • 源氏物語の「宇治」とリンクしていたことを後になって気が付きました。

  • もう少しゆけば、時間は上昇をやめて、休むひまもなく、とめどもない下降へ移ることがわかつてゐる。下降の道で、多くの人は、ゆつくり収穫にかかれることをたのしみにしてゐる。しかし収穫なんぞが何になる。向う側では、水も道もまつしぐらに落ちてゆくのだ。
    p.149

  • 輪廻転生する人物を追いかけるストーリーの最終巻。
    ただ、今までのお話しが全否定されるような・・・。

    自分を猫だと思い込んだネズミが、自己肯定のために死ぬ挿話と、登場人物の自死(結局失敗するけれど)がリンクする。
    著者の自死まで絡めて考えると面白いのかも? ストーリー中の人物が著者に転生しちゃったんだろう。

  • 過去とは刻々に無に帰しつつある現存である

  • 謎の多い作品。

  • 2016/01

  • 2001 読了

  • 輪廻転生の最終章「生」は、確かに豊饒の海であった。先の3部にあったようなスピリチュアル感は存在しない。むしろ暴力的で人間的。輪廻転生といういわば一本の川から突如大海へ流れ出たようなリアル感。というと情緒的に聞こえるが、三島の最後の仕掛けはそんな緩くない。クライマックスの聡子の一言で、「天人五衰」ならぬ「五人五衰」へと一気に落とし込まれる。そして「暁の寺」で感じた予感は確信へと変わった。透の無様な人生こそ、戦後日本の復興像に対する三島の失望感そのものであったと。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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