豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050249

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫4部作の最終章。
    手にとった瞬間、
    いよいよ来てしまったのだという高揚感を抱きながら読み進めた。

    本作の主人公(という言い方が正しいのかは分からない)である本多が幾年もの年月を重ねて追い求めてきた”松枝清顕”の魂を、透に感じたのは偶然なのだろうか。
    最後の門跡の一言で無惨にも敗れてしまうこの妄想。
    勝手な解釈かも知れないが、
    ひょっとすると門跡自身も転生しているのかもしれない。
    読了後間もないため頭のなかが非常に乱雑な状態であるので、また時間をおいて落ち着いた時にでも振り返ってみれば、
    4作品を通じてまた違った感じを覚えるのかもしれない。
    今の自分にはそんな浮ついたことしか書くことが出来ない。

  • 「暁の寺」の後半でも驚くような出来事が続いたが、
    「天人五衰」はそれ以上に予想外の出来事が
    次々と、畳み掛けるように巻き起こる。
    その中でも透に突きつけた慶子の言葉や、
    最後の最後に本多と相対した聡子が放った言葉など、
    女性の登場人物たちの台詞に強烈なインパクトを受けた。

    聡子との場面で、ずっとよくわからなかった阿頼耶識が
    少し理解できた気がする。
    「見る」ことによって、神の視点を持てたような気が
    していたけど、本多は結局頭の中の認識の世界しか
    見えていなかったのか。

    長く壮大な物語で、読むのにもエネルギーが必要だけど、
    豊饒の海四部作を読んで良かった。
    もう1回初めから読み返したい。

  • 三島由紀夫『豊饒の海』第四部、遺作となった作品です。

    『豊饒の海』第三部、「暁の寺」までは学生時代に読んでいました。特に第二部「奔馬」のラストシーンに圧倒された記憶があります。ところがこの「天人五衰」を読もうとした頃は卒業、引越、入社式、現場実習とドタバタ続きの毎日になってしまい、気づけば段ボールに放り込まれた本書はそのまま7年間放置されていました。そんなわけで第三部までの詳細を覚えているはずもなく、「天人五衰」というひとつの小説と割り切って昨年読み終わりました。

    ストーリーが俄然緊張感を増してきて、かの静謐なラストシーンへと続く後半からの展開は圧巻です。わたしが特に好きな部分は、失明し言葉を発さない透、乾いて萎えた赤い葵を透の黒髪に飾りたてる絹江、それを茫然と見つめる本多、を描いたP.316~のシーンです。怖く、穢く、それでいて美しい。

    そして究極的中二病、とでも表現すべきか、"本多透の手記"(P.197~)も凄い。婚約者を陰惨なまでに苛め抜く透の内面もさることながら、哀しいほど素直な百子の描写が素晴らしく、なんともいえない切なさ、しかしぞくっとするような微かな愉悦を伴う感情が引き出されます。

    舞台は現代の東京(そうはいっても1970年ですから50年近く前、そういえば"白磁の碍子"って最近あまり見かけないような・・)なので、第三部までとはやや雰囲気が変わっているかもしれません。しかし文章そのものは著者の才気溢れる美文で全編一貫しています。傑作です。

  • 最後の展開に驚きました。読書を裏切る点において作家としてすばらしいのかもしれません。
    三島由紀夫初挑戦で豊穣の海シリーズを四冊読んでみましたが、三島は何を描きたかったのか、あまりわからず。でも、三島最後の作品なので読んでみてよかったと思います。通しでは、1巻がいちばんよかったかなー。
    私の理解が浅く、この評価で、三島好きには本当に申し訳ないです。

  • なんなんだこの結末は…この壮大な物語を完結させる頃には間違いなく死を決意していた三島が読み手に投げかけたものは…「真に美しいものは若くして死した者のみ」自らの覚悟を正当化するように醜く老いさらばえていく本多をこれでもかと痛めつける様は正に狂気。そしてこの輪廻転生のクライマックスで聡子が語る言葉をどう解釈するかでこれまでの数千頁がどうとでもなってしまうのだ。第四部の文章は最も美しく表現も三島文学の集大成とも言える仕上がりである。それ故にこの結末は良くも悪くも遺作として未来永劫我々を悩ませるのだろう

  • 正直に、今回の4巻は、ところどころでそうなるか!!前3巻より何!!って感じでした。特にラストは深い。
    全部読んだのですが、この文豪は凄いの一言。正直描写力はハンパではない。殆ど私には理解不能ですが何となくで読めました。
    でも、仏教を知っていたら面白いのかなーと思う。

    でも、読み終わった後の達成感は今までで1番!!
    そしておかげで他の本が、簡単に読めるようになり、読速がかなりあがりました(笑)2013.11.17読破

  • 2013 10/16

  • 『春の雪』『奔馬』『暁の寺』に続く豊饒の海の最終巻。四巻を通すととても長い小説で、読み切るのに丸々一月がかかった。ただ、その労力に見合う価値は十分にある大作。

    暁の寺に差し掛かった辺りから、何か恐ろしさを感じ始めた。老いや死に対する恐怖。年老いてく本田に人生の儚さを発見した。

    読了時の達成感はさることながら、同時に安心感を得た。なんだろう、不思議な小説。

  • [再読]

  •  『豊饒の海』シリーズをついに読破した。『春の雪』『奔馬』『暁の寺』そしてこの『天人五衰』、全部読み終えるのにずいぶんと年数が経ってしまった。これで三島の代表作はほとんど読んだことになるのかな。
     主人公はシリーズを通じて登場する本多繁邦と今までの作品の主人公の転生した姿(だと思われる)である安永透。本多は親を亡くした透を養子として迎え入れるが、徹は「美しいものを傷つけたい」という昏い欲望を抱えていた‥。
     今までの作品とちがって、徹が生まれ変わりかどうかは最後まで分からないし、クライマックスに物語の根底を覆すような事態が起こる。良くも悪くも想像を裏切ってくれた一冊だった。

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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