- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050256
感想・レビュー・書評
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三島由紀夫が描く「美」。空襲によって顔に火傷を負った妻に代わり、娘の朝子を美の女神へと育て上げる男。しかし、美はやがて崩れ去るのが三島の定石。果たして朝子はどうだったでしょうか。表題作ほか10編。
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三島由紀夫 「 女神 」男女小説 短編集
舞台演劇的〜常に2人の人物の対話を中心に構成。色々な読み方ができるが、美とエロスを対立させた 二元論的小説として読んだ
*女神=父から見た娘へのエロスのない美
*美は 神様からの授かりもの〜この世の通常のもは全部捨てる→母、恋、結婚を捨てて 初めて女神となる
*美は崇拝と信仰により到達する
*完全なる美術品たる女性が 他の美術を鑑賞する必要なし
*個性美は禁物〜美は均衡の上にしか成り立たない
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収録されている数ページの伝説という短編が非常に素晴らしい
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最初に読んだ三島作品
内容はともかく、女性として望ましい立ち居振る舞いを学んだ。
朝の光、昼の光、夜の光、全てを考慮に入れて服を選んだり、
服に合わせてカクテルを選ぶこと。
ならいつでもウォッカ(透明)でいいやん、と思った時点で失格だわ笑 -
だめ?オレもこうしたい。
だめ?
女を美しく育てる。
でも、とられちゃしょうがないよね。苦笑 -
ここまで女性を美しく描写できるであろうか
ソレと同時に女性の価値とはなんなのであろうか -
朝子は斑鳩や俊二との出会いと惜別を通して、人間の悲劇や愛欲などに決して蝕まれない、大理石のように固く明澄な芳しい存在に化身する。
→これは人間(女)と言う括りの中で最上級の美を求める周伍という父そのものを超越したことと同義である。
『女神』は(老化という)自然と文化との対立構造を描いた作品のように見えるが、その他の短編はあくまで耽美で自然的な男女の恋愛模様を描いた作品のように感じた。
接吻
哲学
白鳥
どのような時代にも、青春の生きにくさは外部よりも内部にある。 -
三島の美への信仰
ラストに父と娘、邪魔者はいない完成された美とそれを崇めるものという絶対的な関係性が構築される。もはや娘は父の理想のその先へ進んだように思われる。
そのほかの短編も、
ウィットに富んだ珠玉のもの揃いで面白かった。
特に良輔夫婦の話も、美についてのある種残酷な一面の話で好き。よく出来ている。 -
個人的には、ラストまで完ぺき。大好き。
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「女神」
日常生活が忌まわしい繰返しのはてに老化をもたらすとすれば、生死の最も純化された姿は日常生活を否認することによってしか得られない。美もまた同様なのである。
「朝の純愛」
自然な、純な愛のためには、不自然で人工的な努力が必要。二人の愛のためなら他人をも利用する。