- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050478
感想・レビュー・書評
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1960年雑誌「中央公論」連載
政治と情事は、瓜二つだった
三島由紀夫が描く都知事選
フィクションをドキュメンタリーのように描いた
モキュメンタリー
高級料亭の女将・福沢かづ
独身で50を過ぎても女性としての魅力は衰えない
保守党の御用達の料亭であったが、ある日革新党顧問元大臣野口と出会う
野口は妻を亡くし独身の60を過ぎた理想家の紳士
二人でゆっくり老後をと思っていたのかもしれないが、都知事選出馬の依頼が来たところから
かづの情熱的本質が溢れ出す
「宴のあと」はモデルとされた人物からプライバシー侵害で訴えられ裁判
表現の自由が争われ、東京地裁でプライバシー侵害の判決を受ける
三島由紀夫は控訴 お相手が亡くなり和解、出版
“この物語はフィクションです”の始まりの小説として認知されています
そんなこんなでざっくりは知っていたのですが
今回初読
プライバシーの侵害は難しいなと思う
訴えると小説の真実性を認めるようなものだし
大物なら放置でも良いような気もするし
主人公かづは都知事選で圧倒的な存在感を見せるが選挙には負ける 夫とは気持ちのズレがおきる
気持ちは離れて離婚となる
かづは再び自分の店を取り戻し拠り所としていく
新解説は辻原登氏
三島由紀夫最良の小説の一つとする
当時の選挙戦の具体的な戦い方が読めて面白い
この女将の強さ明るさは、誰かの奥様で収まる事はないんだろうなと思う
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日本で始めて「プライバシー権」が認められた有名な「宴のあと事件」のきっかけとなった本。ずっと気になっていたけれど、ようやく読了!
「宴のあと」って三島由紀夫の作品だったのか!
というレベルでしたが、人生初の三島文学、読了しました!日本語ってこんなに美しいの!?とびっくりしました。三島文学にハマってしまいそうですʕº̫͡ºʔ。
作品そのものもとても面白かったですが、作品を巡る裁判や、三島由紀夫自身の生涯の方が正直面白かったです(笑)。事実は小説よりなんとやら…ですね。
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『宴のあと』は高級料亭「般若苑」の女将・畔上輝井と、元外務大臣・東京都知事候補の有田八郎をモデルにした作品で、三島氏は「自分の念頭にあるのは政治と恋愛との対立というような主題で、私は女主人公に非常に美しいイメージをいだいており、小説では一つの理想の姿、肯定的な人間像をあなたを通して描いてみたい」という趣旨の説明をして、後日も何度か交渉を重ねたのち畔上氏の承認を事前に得ていたようです。有田氏へも畔上氏から事前に連絡をしていたのだとか。
しかし、小説の連載が始まると、畔上氏から「自分が淫らな女として扱われている」という連載中止を求める抗議があり(注意書きを入れてなんとか連載を続けたらしい)、単行本として出版されることが発表されると、今度は有田氏から中央公論社と三島に刊行しないよう申し入れがあったと。
中央公論社は出版からは降りたそうですが、代わりに新潮社が刊行本出版を引き受けたことで、有田氏が、三島氏と新潮社に対して慰謝料請求の訴訟を起すことになったそうです。
その結果、「私生活をみだりに明かされない権利」が東京地方裁判所で認められ有田氏側が勝利したのですが、三島氏は控訴、その後、有田氏が亡くなり、ご遺族との和解が成立して出版されたのだとか。
(Wikipediaより)
なんというか、えーと…
読んでしまって、申し訳ありませんでした…
オマケ:
なんか、ちゃんとした懐石料理、食べに行きたくなりますよね。
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文章もわかりやすく、構成もシンプルでとても読みやすい。読み終わるのが惜しくなる本は幾冊かあるが、そのうちの一冊。
女性のしたたかさを感じさせながら、最後は何か切なさを強く感じさせる。
面白い小説を読みたい方はぜひ。 -
てっきり政治家の女性スキャンダルの話と思っていたが違った。まったく情欲の匂いがしない。
かづは情念というより衝動に取り憑かれているように思った。政治家の夫のために情熱的に選挙活動するかづは、夫以上に政治的才能に溢れ逞しくあった。
選挙で熾烈な戦いをしているというのに、野口とかづの愛情や情欲は極めてドライな印象。
政治と情事は瓜二つ。
政治を情事に例えたエンタメ小説として楽しめた。 -
何度読んでも良い。個人的には三島由紀夫のベストはこれだと思っている。
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再読。
この小説のモデルは誰某彷彿させるだとか、政治や選挙にはお金がかかるを、描くところもうまいが、一人の熟女「かづ」の恋ゆくえが、生き生きと描かれているのがさすがだ。
もう恋は卒業したと思ったのに、なぜ、元外相という外交官肌、野口と結婚したか。
「これで身寄りのない私が、立派な野口家のお墓に入れる」とつぶやく「かづ」
そしてなぜ、「お墓なんてどうでもいい」と現代の女性を彷彿させるような別れが来たか。
そのストーリー展開の端正だげど現実的、流れるような文章が味わい深い。
三島由紀夫さんは女性のみかた!? -
「その老いた静脈のいっぱい浮いた枯れた男の手を、かづは美しいと思った」
めっぽうおもしろい。
分別さかり、老境に差し掛かった者同士の抑制された恋の色気。
貴族的な生活のディテールも楽しい。 -
太宰の後に読んだら、なんて美しく整理整頓されているかつ力強い文章なんだ!とすごく感動してしまいました(太宰の文章も個人的にとても好きです)。情景がザァッと頭に浮かぶ。
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三島由紀夫は感情の澱を描くのが得意で、その技巧的な言葉選びが大好きだ。この作品にはそう言った場面は他の作品に比べると少なく、若干の物足りなさも感じたが、こんな正統派の作品も書けるのねという何様だよという感想をもった。私は野口派の人間なので、かづに付き合わされてもうウンザリだったのだけど、終わり方が爽やかで疾走感があるね。
著者プロフィール
三島由紀夫の作品






ツキイチミシマは確かにきつそう笑
ツキイチミシマは確かにきつそう笑
読めるんだけど
レビューすることがないのよね_| ̄|○
読めるんだけど
レビューすることがないのよね_| ̄|○